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第二種金融商品取引業とは

第二種金融商品取引業とは

このページの目次
第二種金融商品取引業者の実例第二種金融商品取引業の規制第二種金融商品取引業の協会加入義務第二種少額電子募集取扱業務との関係第二種金融商品取引業者の業態第二種金融商品取引業のみで有価証券又はデリバティブ取引に投資するファンドが組成できるかその他出資対象事業に関する制限第二種金融商品取引業に関するよくある質問
Last update 2024.07.24

第二種金融商品取引業者の実例

第二種金融商品取引業とは、基本的には、ファンド(集団投資スキーム持分)や信託受益権などの流動性の低い有価証券、すなわち株や社債等のメジャーな有価証券以外の金融商品取引法第2条第2項各号に掲げるみなし有価証券(以下「みなし有価証券」という。)を販売する業務です。

また、「みなし有価証券」には該当しない投資信託の受益証券を含む、一定の有価証券の自己募集(私募及び募集)、通貨関連市場デリバティブ取引等に関しても、第二種金融商品取引業に位置付けられています。

 

以下、複雑な話が続きますが、第二種金融商品取引業とは、ほとんどの場合、要するにファンドか不動産信託受益権の販売業務です。

第二種金融商品取引業登録だけで組成できるのは事業型ファンドです。株やFX等のファンドはそれだけでは組成できません。

不動産信託受益権は「不動産ファンド」ではありません。不動産ファンドを始めるには、より高いハードルがあります。第二種金融商品取引業だけでは不動産ファンドはできません。

 

株式やFX等のファンドは原則として投資運用業の登録が必要

不動産ファンドは詳細はこちら

 

みなし有価証券関連業務

第二種金融商品取引業務は、「みなし有価証券」に関しては、売買、媒介、募集又は私募(自己募集)、募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い、市場デリバティブ取引等(みなし有価証券の市場デリバティブ取引は実際には不存在)があります。

なお、私募又は募集(通称「自己募集」。他社に委託せず自社の役職員で出資を募集をすること。)が第二種金融商品取引業に該当する「みなし有価証券」は、金融商品取引法第2条第2項第5号又は第6号に掲げる組合型ファンド(以下、本節では「ファンド」は集団投資スキームを指します)及びその他金融商品取引法施行令第1条の9の2に指定された有価証券のみです。

よって、法令上は「みなし有価証券」である持分会社の社員権ですが、通常のものは同施行令で指定されていませんので、その自己募集は第二種金融商品取引業に該当しません。

ただし、金融商品取引法施行令第1条の9の2第2号及び金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第16条の2で、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合で法第2条第2項第3号及び第4号に掲げる権利に該当する場合には、自己募集を第二種金融商品取引業としています。よって、いわゆるブロックチェーン技術を使ったセキュリティトークン(電子記録移転権利)型の合同会社等の持分会社社員権の自己募集は第二種金融商品取引業登録が必要です。

ただし、ブロックチェーン技術を使っている場合であっても、令和6年の金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の改正で、いわゆる合同会社型DAOに該当する場合には、一定の要件の下に、通常の合同会社等の社員権と同様に自己募集に第二種金融商品取引業が不要となっています。

なお、令和4年6月21日付の証券取引等監視委員会の建議は、セキュリティトークン型(電子記録移転権利)に該当しないその他合同会社一般に対しても、その従業員による取得勧誘に関して、金融商品取引業登録を求める方向性が示され、令和4年10月3日から同改正の内閣府令が施行されています。よって、セキュリティトークン型(電子記録移転権利)に該当しないその他合同会社一般の無登録での自己募集は、業務執行社員により自ら行われる必要があります。

みなし有価証券のうち外国LLCスキーム

国内では、持分会社の社員権は、二重課税問題もあり第二種金融商品取引業の取扱業務の対象としてはあまり利用されない傾向にありますが、アメリカでは不動産等の証券スキームで、デラウエア州法等に基づくLLCの利用が活発であり、多層構造のケースも含め、実務上よく目にします。

外国不動産、とくにアメリカの不動産証券化事業では、LLCの利用率が高く、また税務等のスキーム上のいわゆるブロッカーとしてLLCを多層化する(事業を行うLCCと海外居住者から出資を受けるLLCを分離する)ことも多くなっており、こうしたLLC持分に関して、主に機関投資家、富裕層向けに取扱い業務を行う第二種金融商品取引業者は一定数存在します。

また、近年は下火ですが、海外におけるいわゆるランドバンキングも、外国LLCの形態にて組成されているケースがあります。こちらは主として一般投資家向けに外国合同会社の募集又は私募の取扱いに該当するものとして、第二種金融商品取引業者が販売を行っていました。

ちなみに、近年ではシンガポールVCCがオフショアファンドヴィークルとして多用される傾向にありますが、シンガポールVCCはLLC類似スキームではなく、投資信託又は投資法人の一種として整理することが一般的なようです。

その他のマイナー業務

みなし有価証券関連業務以外には、委託者指図型投資信託の受益証券、外国投資信託受益証券、抵当証券、外国抵当証券及び及び一定の政令指定有価証券の募集又は私募(自己募集。いわゆる「投信直販」の業態を含む。)、通貨関連市場デリバティブ取引(=くりっく365)、委託者指図型投資信託の受益証券及び外国投資信託の受益証券についての転売を目的としない買取り等などがあり、細かく分類ができます。

登録業者のマジョリティー

登録されている第二種金融商品取引業者の業務内容は、実務上、ファンドの募集又は私募(自己募集)及び募集又は私募の取扱いか、不動産信託受益権の売買、媒介又は私募の取扱い業務が多いです。

第二種金融商品取引業の登録をすれば、船舶・航空機などのレバレッジドリースファンド、債権流動化ファンド、飲食店などの事業ファンド、映画等のコンテンツファンドなどの、いわゆる金融商品(正確には「主として有価証券又はデリバティブ取引」)への投資を目的としないファンドを組成・販売することが可能になります。

第二種金融商品取引業でのファンドとは

第二種金融商品取引業における「ファンド」とは、通常は金融商品取引法第2条第2項第5号及び第6号に掲げる集団投資スキームを指しています。集団投資スキームとは、投資事業組合、投資事業有限責任組合、匿名組合及び外国リミテッドパートナーシップのように組合型の投資ヴィークルを指します。

よって、投資信託や投資法人等の形式のファンドは、この狭義のファンドには該当しません。ファンドの分類については、あわせてこちらの記事を参照してください。

また、集団投資スキームの形態をとっていても、金融商品取引法第2条第2項第5号ニ、金融商品取引法施行令第1条の3の3及び金融商品取引業第二条の定義に関する内閣府令第7条に掲げる要件を満たす、共同事業型の組合(JV等)、非営利組合(いわゆる、NPOバンク特例)、不動産特定共同事業法1号2号業務に基づく組合、保険型、組合型士業事務所、分収林契約、各種持株会及び製作委員会などが、集団投資スキームから除外されています。

人数制限と業務範囲

第二種金融商品取引業登録をすると、みなし有価証券(ファンド含む。)について、募集人数の制限なく投資家を集めることができます。

たまに誤解している方を見かけますが、募集(いわゆる公募)又は私募の区別は、有価証券届出書の提出義務等の開示規制に係る論点であり、当該業務が第一種金融商品取引業か第二種金融商品取引業かの区別には関係しません。

みなし有価証券に関連する業務である限り、引受や電子移転記録権利の取扱い等の例外的なケースを除き、基本的に公募でも私募でも第二種金融商品取引業です。

ただし、有価証券投資事業権利等に該当するみなし有価証券を500人以上に取得させる場合には、「募集」に該当するため、有価証券届出書の提出が必要になります。なお、有価証券投資事業権利等とは、出資総額の 100 分の 50 を超える額を有価証券に対する投資に充てて事業を行う国内外の持分会社社員権及び集団投資スキームのことです。

また、有価証券投資事業権利等に該当するか否かを問わず、第二種金融商品取引業は「募集」に際して、契約締結前交付書面を事前に財務局に届出する必要があります。

有価証券届出書の提出が必要になるケースの詳細

有価証券届出書の提出が必要になるケースの詳細をもう少し解説します。

第二種金融商品取引業単体では、主として有価証券又はデリバティブ取引を行うファンドの組成をすることができないのが原則になっています。

しかしながら、投資運用業と併せて登録してファンド運用業(15号業務)を行う場合、ファンドの運用に関して投資運用業者に投資一任契約(12号業務)する場合、ファンドの運用が適格機関投資家等特例業務(金融商品取引法第63条)又は海外投資家等特例業務(金融商品取引法第63条の8)で行われる場合、外国投資運用業者が投資運用業者及び登録金融機関のうち投資運用業を行う者を権利者とする場合(金融商品取引法第61条第3項)並びに外国投資運用業者が適格機関投資家及び特例業務届出者向けファンドの運用に係る金融商品取引業登録義務の一定の除外要件に該当する場合(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第1項第13号)等のケースでは、主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利により運用するファンドを、第二種金融商品取引業として募集することができます。

そうした「主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利により運用するファンド」のうち、「主として有価証券で運用するファンド」(運用財産の50%超を「有価証券」で運用する権利。有価証券投資事業権利等。)について「募集」を行うにあたっては、上記のように有価証券届出義務が生じます。

なお、募集の定義は、実取得者数で500名以上です。第一項有価証券と異なり49名の勧誘制限はありません。そのため開示コストの関係で、組合型の株式等の有価証券への投資を目的とするファンドは、権利者499人までの私募の範囲で発行される傾向があります。

また、集団投資スキームを含むみなし有価証券(2項有価証券)が、同時に電子記録移転権利(セキュリティートークン)に該当する場合、その募集又は私募の取扱い業務は、第二種金融商品取引業ではなく、例外的に第一種金融商品取引業に該当しますので、注意が必要です。なお、プロ向けのセキュリティトークンで、通称、適用除外電子記録移転権利に該当する場合や、いわゆる合同会社型DAOに該当する場合は、本則通り第二種金融商品取引業となります。

第二種金融商品取引業の規制

ファンドビジネスを行ううえでは、第二種金融商品取引業は設計の自由度が非常に高い一方で、金融商品取引業者としての分別管理義務や書面交付義務、法定帳簿等のさまざまな規制は、法令及び協会規則に従い非常に厳格に定められています。

第二種金融商品取引業者は、ファンド、すなわち有価証券たる集団投資スキームを販売し、場合によってはお客様のお金を預かる(資本金5000万円以上の会社は特定有価証券等管理行為として、顧客に口座を開設させることも可能。ただし電子申込型電子募集取扱業務の場合は、信託保全義務あり)こともできるなど、いわば「金融機関」としての重い責任を負っています。

電子募集取扱業務

平成27年5月29日からは、インターネット上でのファンド(貸付型等の金融商品取引法施行令第15条の4に掲げるものを除く)の募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い(募集要項の掲載等も含む)に関しては、電子募集取扱業務と位置づけられるようになりました。そのため、ネット上で、貸付型ファンド及び自社発行ファンド以外の集団投資スキームの勧誘行為(取扱)を行う際には、第二種金融商品取引業だけでなく電子募集取扱業務の登録も必要になっています。

電子募集取扱業務の定義は広く、平成27年5月12日付け金融庁パブリックコメント及びこれを受けた一般社団法人第二種金融商品取引業のQ&Aでは、「一般的に、個別の有価証券について、その商品概要や手数料、予想リターン、申込期間などをホームページで掲載している場合には、当該ホームページにおいて商品の申込みを受け付けていないとしても(実際の申込みの手続きは、電話や対面などによるとしても)、電子募集取扱業務に該当する可能性が高い」としています。

そのうえ、電子募集取扱業務のうち、電子募集取扱業務であって、インターネット上で有価証券の購入の申込みが完結する業務(つまりファンド等のネット申し込みを受け付ける)である「電子申込型電子募集取扱業務」を行う者に対しては、発行者に対する審査、投資者への情報提供の確保、クーリングオフ、目標募集額の取扱いの明示等の追加的な義務が新設され、いわゆるクラウドファンディングへの規制が大幅に強化されています。

また、令和5年金商法改正では、貸付型ファンド(貸付事業等権利)に関し、その電子募集業務に関して、電子募集取扱業務とほぼ同等の規制に服することを求める方向性が示され、令和6年7月現在では同改正にかかる政令内閣府令案がパブリックコメントに付されています。

自主規制規則

一般社団法人第二種金融商品取引業協会でも、事業型ファンドの場合、電子申込型電子募集取扱業務に該当する場合、それぞれにつき、審査やモニタリング等に関する自主規制規則が定められており、業務を実施する場合にはこれら規則を遵守して行う必要があります。第二種金融商品取引業では、協会への加入の有無にかかわらず、協会規則はルールとして拘束性があります。

当然ながら、第二種金融商品取引業者は、証券取引等監視委員会(財務局)の臨店検査の対象であり、実際に多くの検査が実施されています。第二種金融商品取引業への登録を希望する場合には、法令はもちろん、自主規制にも違反せず適切に業務ができるよう十分な態勢整備をする必要があります。

なお、かかる自主規制は、令和5年金融商品取引法改正に伴い、令和6年中に改正がなされる可能が高いです。

電子募集取扱業務について正しく知る

正確な知識を持たないと、やりたいことが、なんでもかんでも電子募集取扱業務に見えてきます。しかし、令和3年7月末日時点で、第二種金融商品取引業者のうち、電子募集取扱業務の登録を受けている業者は、第二種金融商品取引業者の1221社の中で、41社に過ぎません。

しかも、これは大手金融機関も含む数字です。第二種金融商品取引業者の中で、電子募集取扱業務を持っている業者は例外的少数であり、さらに言えば電子申込型電子募集取扱業務まで持っている業者は、ほとんどおらず、いわば「はぐれメタル」のような存在です。

これはどういうことかというと、電子募集取扱業務の定義は、オンラインでのファンドの販売行為全般に及ぶわけではないからです。

よく、「ネットでファンドを販売したいので、電子募集取扱業務が必要だ」とか、「電子募集取扱業務がないので、ホームページでは一切ファンドを販売できない」という声を聞きますが、これは正しくありません。

電子募集取扱業務は、「貸付型ファンドを含まない一定のファンドの」、しかも、「ファンドの発行者が第二種金融商品取引業者自身ではなく、他社やSPCのファンド」である場合のみ、登録を受ける義務があるからです。

第二種金融商品取引業者自身が発行者であるファンドの電子募集(自己募集)や、ソーシャルレンディング等の貸付型ファンドの電子募集は、電子募集取扱業務の登録は必要ではありません。ただし、こうした場合にも金融商品取引法第35条の3及び金融商品取引業等に関する内閣府令第70条の2に掲げる業務管理態勢の整備義務は適用されますので、登録義務がなくても、きちんとした体制構築は必要になります。

なお、ソーシャルレンディング等の貸付型のファンドは、「当該権利を有する者が出資又は拠出をした金銭その他の財産の価額の合計額の百分の五十を超える額を充てて金銭の貸付けを行う事業に係るもの」に該当する限り、金融商品取引法施行令第 15 条の4の2第7号の規定により、電子募集取扱業務を行う者として登録申請書に記載を要する者には該当しないものの、令和元年5月23日付の「貸付型ファンドに関するQ&A」の適用対象になりますので、Q&Aの定めを遵守する必要があります。

ただし、貸付型のファンドに関する除外規定は、令和5年金商法改正に伴う政令及び内閣府令案では、廃止されることが示されており、今後は貸付型のファンドであっても、電子募集取扱業務又は電子募集業務として、従来の電子募集取扱業務及び電子申込型電子募集取扱業務と同様の規制に服することになりそうです。

第二種金融商品取引業の協会加入義務

前述の一般社団法人第二種金融商品取引業協会規則は、あくまで法的には自主規制規則に過ぎないのですが、法令と同様の拘束力があります。それは、既存の会員に対しては、協会員の遵守すべき規則として定められた自主規制であることに加えて、協会員でない第二種金融商品取引業にも、法令がその規則に準じた社内規則を制定することを求めているからです。

金融商品取引法第29条の4第1項第4号二は、「一般社団法人第二種金融商品取引業協会に加入しない者であって、協会の定款その他の規則(有価証券の売買その他の取引等を公正かつ円滑にすること又は投資者の保護に関するものに限る。)に 準ずる内容の社内規則(当該者又はその役員若しくは使用人が遵守すべき規則をいう。)を作成していないもの又は当該社内規則を遵守するための体制を整備していない者」を金融商品取引業の登録拒否事由に該当するとしています。

また、一般社団法人第二種金融商品取引業協会は、任意加入団体であり、新規登録の際にも加入を予定しないで金融商品取引業の登録を受けることができるのではないかという質問を受けることがありますが、現在は新規登録業者に対して、一般社団法人第二種金融商品取引業協会に加入するように行政指導がなされていることから、事実上、ファンドや信託受益権関連の業務を行う新規登録業者には一般社団法人第二種金融商品取引業協会への加入義務があると考えられています。

ただし、第二種金融商品取引業のうち、投資信託受益証券の自己募集や通貨関連市場デリバティブ取引等の業務に関しては、一般社団法人第二種金融商品取引業協会の自主規制の対象に含まれておらず、業務範囲の対象外となります。

第二種少額電子募集取扱業務との関係

投資型クラウドファンディングを行う場合には、第二種少額電子募集取扱業務として登録を受けなければいけないのではないかという質問がよくあります。結論から言えば、この制度は無視して問題ありません。

法令は、集団投資スキーム持分の募集の取扱い、私募の取扱いであって、発行価額の総額及び取得する者が払い込む額が「少額」であるものは、一定の要件を満たす場合、「第一種少額電子募集取扱業務」又は「第二種少額電子募集取扱業務」として一定の緩和的な規制を設けています。

「少額」要件については、発行価額の総額1億円未満(金融商品取引法施行令15条の10の3第1号)かつ1人あたりの払込額50万円以下(同条2号)とされています。また、総額1億円未満の要件については、(1)募集又は私募を開始する日前1年以内に行われた同一の種類の有価証券の募集若しくは私募と(2)申込期間が重複する同一の種類の有価証券の募集又は私募の発行価額の総額とを合算(金商業等府令16条の3第1項)、1人あたり50万円以下の要件については、払込日前1年以内に同一の種類の有価証券について応募又は払込みが行われたものを合算(同条2項)する、いわゆる合算要件があります

しかし、株式等のエクイティークラウドファンディングを手掛ける第一種少額電子募集取扱業者は、数社存在しているのですが、令和3年現在、第二種少額電子募集取扱業者は存在していません。それは、第二種少額電子募集取扱業者の受けられる規制緩和が、資本金の金額等ごくわずかであるのに対して、第二種金融商品取引業及び電子募集取扱業務の登録を受ければ、上記の金額の制限なくファンドの募集が可能だからです。

電子募集取扱業務の登録をすると、上記の少額要件や合算要件の対象になってしまうのではないかという誤解がよくありますが、第二種金融商品取引業者として電子募集取扱業務を行えば、電子申込型電子募集取扱業務のケースも含めて、上記の少額要件や合算要件は適用されません。

ただし、前述のように、みなし有価証券を500人を超えて募集する場合には、募集(いわゆる公募)に該当するため、事業型ファンドの場合には、事前の契約締結前交付書面の届出義務を負います。また、前述のように主として有価証券に投資を行うファンド(金銭その他の財産の価額の合計額の百分の五十を超える額を充てて有価証券に対する投資を行うファンド(金融商品取引法施行令第2条の9))は、募集を行う場合には、有価証券届出書を提出する必要があり、いわゆる開示規制に服することになります。そのため有価証券投資型のファンドは、499人までの私募の範囲で発行されることが一般的です。

有価証券又はデリバティブ取引ファンドへの制限

第二種金融商品取引業者の業態

市場デリバティブ取引や投資信託受益証券の自己募集のようにマイナーな業態はあえて無視して、第二種金融商品取引業者を分類すると、まずは「ファンドの二種」と「信託受益権の二種」に大別することができます。ここで、あえて無視する理由は、市場デリバティブ取引や投資信託受益証券の自己募集等の典型以外の第二種金融商品取引業の業態は、第二種金融商品取引業のみでは成立しにくいからであり、他の項目に併せて説明したほうが適切だからです。

投資信託受益証券の自己募集(私募及び募集)は、事実上、投資運用業である投信委託業務の付帯業務(投信直販)と見られています。また、通貨関連市場デリバティブ取引等に関しては、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針V-2-2-1法令等遵守態勢の通り、市場デリバティブ取引業者が、通貨関連市場デリバティブ取引等に関し顧客から金銭の預託を受ける場合には、当該行為が有価証券等管理業務に該当するため、第一種金融商品取引業の登録が必要であることから、通常は第一種金融商品取引業の登録を受けて業務を行っています。

さて、上述の「信託受益権の二種」ですが、これは事実上、不動産信託受益権を販売する第二種金融商品取引業であり、信託受益権化された不動産を売買、媒介及び私募の取扱いをする、いわば宅地建物取引業者の上級資格のような業態です。不動産信託受益権は、それ自体はファンドでもREITでもありませんので、第二種金融商品取引業だけでは不動産ファンドは作れません。

もっとも、小口化信託受益権の手法で、特定の不動産を信託を利用して小口化して販売する手法は存在しています。これは第二種金融商品取引業の範囲内で行うことができます。そのため、特定の物件に対して所有権に準じて紐づいた形での不動産の小口化は、第二種金融商品取引業の範囲で可能といえます。

ただし、信託受益権化自体にハードルがあることから、アパマン・区分所有1部屋のような規模・内容の物件は証券化には適さず、いわゆる商業施設、オフィスビル、レジ、ロジ等の相応のグレードの物件であることが前提になります。

「ファンドの二種」には、無数の形態がありますが、「主として」、すなわち運用財産の 50%超を、有価証券(株式、債券等)又はデリバティブ取引に係る権利(外国為替証拠金取引、日経平均先物取引等)に投資をすることがないファンドの場合には、商品投資規制法や不動産特定共同事業法等の他法令で規制されている事業でなければ、第二種金融商品取引業に登録することにより、第二種金融商品取引業者のみで適法にファンドを自己募集及び運用することが可能です。

投資運用業の登録を有せず、第二種金融商品取引業のみで金融商品取引業を行う事業者のビジネスモデルでよくあるのは、「船舶・航空機ファンド」「再エネファンド」「絵画・競走馬等の現物ファンド」「貸付型ファンド」「投資型クラウドファンディング」などだと思います。

ファンドの運用者が、投資運用業の登録を受けている場合には、主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に投資するファンドも、第二種金融商品取引業者が組成・販売することができます。ベンチャーキャピタル、ヘッジファンド、PEファンド、信託受益権化された不動産のGKTKの販売等です。逆に言えば、これら運用業務に原則として投資運用業の登録が必要なため、第二種金融商品取引業だけでは、原則としてベンチャーキャピタル、ヘッジファンド、PEファンド、信託受益権化された不動産のGKTK等は、組成することはできません。

ベンチャーキャピタル、ヘッジファンドは、投資運用業のうちファンド業務(15号業務)と第二種金融商品取引業のうち自己募集(7号業務)として行われるが一般的です。また、信託受益権化されたGKTKスキームの場合は、アセットマネージャーによる投資一任業務(12号ロ業務)及び第二種金融商品取引業のうち私募の取扱い業務(9号業務)として行われるのが一般的です。

なお、ファンドを第二種金融商品取引業者が募集(募集又は私募の取扱)するものの、そのファンドの発行者(匿名組合の営業者等)は第二種金融商品取引業に登録していSPCなどの場合、そのSPCなどの行為も、募集又は私募(7号業務)に該当し、双方に第二種金融商品取引業登録が必要なのかという問い合わせを受けることがあります。

しかし、金融庁は、パブリックコメントで、「金商法第2条第8項第7号イ~トに掲げる有価証券の発行者が、その取得勧誘(同条第3項)を第三者に委託して自らは全く行わない場合には、「有価証券の自己募集(私募)」(同条第8項第7号)を行っているとは認められず、「有価証券の自己募集(私募)」に係る金融商品取引業の登録を受ける必要はないものと考えられます」と回答しています(平成19年パブリックコメントP58 No103-115)。

第二種金融商品取引業のみで有価証券又はデリバティブ取引に投資するファンドが組成できるか

上記の整理を踏まえると、理論上は第二種金融商品取引業に登録すれば、投資運用業者の関与なく、以下のように実質的に有価証券又はデリバティブ取引を営むにファンドも設立することができます。

(1)関係会社への貸付をファンドの事業とし、その関係会社で株式投資
(2)FX取引を運用資産の3割までにとどめ、残りの7割は飲食店経営

しかしながら、実務上は規制当局はこうしたスキームを脱法行為ととらえており、本当にファンド資産の50%を超えることがないのか、審査は厳しく行われます。また、1の事例では貸金業登録の必要性(グループ貸付への該当性)も問題になります。

それゆえ、これらを実現するのは至難の業であり、事業ファンドに有価証券又はデリバティブ取引に係る権利を組み入れる必然性が疎明できない限りは、財務局にはこれらスキームは認められないと考えるべきです。すなわち、第二種金融商品取引業は、活用次第ではいろいろな可能性がありますが、投資者保護上の適切性や金融商品取引法制の制度趣旨を踏まえ、その業務の内容及び方法には慎重な検討を要します。

なお、有価証券又はデリバティブ取引に係る権利がファンド資産の50%を超えることがない場合でも、有価証券又はデリバティブ取引に係る権利たる運用資産の投資判断をファンドの発行者(いわゆるGPや営業者)が自ら行わず、アセットマネージャーを外部に置く場合には、当該アセットマネージャーは投資一任契約を締結するものとして、投資運用業の登録が必要になります。

その他出資対象事業に関する制限

下記のQ&Aに記載するように、第二種金融商品取引業に登録しただけでは組成できないファンド類型は多数あります。当事務所のスタンスとして、形式上は可能であるが、経験上、実質的に実現可能性がない案件に関しては、ご相談の時点でその旨をはっきりと申し上げております。

その点を玉虫色にして「行政書士業務」を発生させるやり方は、仮に私どもの「商売」になったとしても後日、問題が生じるもとになります。また、準備期間をかけてあれこれ用意して結局実現できないということは、厳しい言い方をすれば依頼者様の人生を空費させることになります。当事務所でもそれはなによりも避けたいことです。

実務レベルで実現可能な、そして現実的な範囲でビジネスを実現するにはどうすればいいのか、私どもは経験と知識に基づき知りうる限り客観的に状況をご説明し、解決策をご提案します。迷ったら是非ともご相談ください。

ここまでの説明で概要はわかったので詳細を知りたいという方は以下へどうぞ。

第二種金融商品取引業に関するよくある質問

 どういったファンドであれば、第二種金融商品取引業だけで組成販売が可能でしょうか

 典型的には、貸金業登録をしての貸付事業(ソーシャルレンディング)、再生可能エネルギー事業(太陽光発電等)、船舶・航空機ファイナンス(レバレッジド・リース)、店舗経営事業(飲食店等の事業型ファンド)、知財権ファンド(映画製作等)、現物ファンド(ワイン・ファンド、アートファンド等)などが挙げられます。

これらのうち、再生可能エネルギー事業や船舶・航空機ファイナンスのファンドは、比較的案件の実在も証明しやすく、第二種金融商品取引業の申請のなかでは通りやすい類型であるといえます。

一方で、ソーシャルレンディングの業態は、平成末期から令和初頭にかけての大手業者による度重なる不祥事で、新規参入は極めて厳しく規制されており、目下、参入のハードルが高い業態になっています。

また、ワインファンド・アートファンドなどの実物ファンドも、同じく過去の登録業者の事故のイメージが強く、審査が比較的難しい類型になっています。知財権のコンテンツファンドも成功例が殆どなく壊滅状態です。

さらにいえば、アンティークコイン、貴金属採掘などの、よりオルタナティブな投資に関しては、令和の現在非常に下火になっていますし、総じて投資適格な案件自体が少ない印象です。

そのため、平成末期から令和にかけてのファンド業務の第二種金融商品取引業の登録事例は、投資運用業登録に伴い取得勧誘(ファンド運用業の私募又は投資一任業でのSPC等の私募の取扱い)のために登録するスキーム、何らかの形で不動産に関連するスキーム及びに再生可能エネルギー事業及び船舶・航空機ファイナンス等の伝統的オルタナティブ・アセットの証券化スキームに偏っているのが実情です。

 不動産ファンドは組成可能でしょうか

 現物の不動産ファンドは、不動産特定共同事業法により不動産特定共同事業者許可が必要になります。物件を信託して、いわゆるGKTKスキームにより証券化する方法もありますが、投資運用業が必要になります。

なお、不動産特定共同事業法における特例事業においては、いわゆる4号事業者には同時に第二種金融商品取引業の登録が求められますが、いずれにせよ現物不動産ファンドは、第二種金融商品取引業だけでは組成できません。

ただし、不動産取引を営むSPCへの融資を行うファンドを設立する等、金銭の貸借を組み入れた形(貸金業法に違反しないようにスキームを組む必要はあります)であれば、第二種金融商品取引業のみで組成可能な場合がありますので、個別にご相談ください。

 

 仮想通貨ファンド・マイニングファンド等を作りたいのですが可能でしょうか

 令和3年後半まで、行政指導により仮想通貨関連事業を行うファンドの組成に関しては、金融庁・財務局は事実上の行政指導により、一切登録申請並びに業務方法書の変更届出を受け付けておりませんでした。

令和4年以降、暗号資産ファンドは、大手証券会社で販売例が出始めています。しかし、引き続き中小業者での組成、販売は認められていません。中小業者の暗号資産関連ファンドは、適格機関投資家や特定投資家を相手方とするものであればさておき、一般投資家向けの募集はほぼ不可能と見ていいでしょう。

ただし、適格機関投資家等特例業務の場合には、出資対象事業が仮想通貨関連事業であっても、届出は受理されています。直近では、第二種金融商品取引業においても、当局のスタンスにやや緩和が見られますので相談の余地は出つつあります。

 

 主にFXや株式等の金融商品に投資するファンドを作りたいのですが、可能ですか

 前述のように、主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に投資するファンドは、集団投資スキームの自己運用業務に該当することから、一般投資家を相手方とする場合には、投資運用業者に対して投資一任契約で運用を委託するか、ファンドの発行者が投資運用業の登録をするかでないと運用することができません。

ないお、プロ又はセミプロ向けの場合には、少数の適格機関投資家及び適格機関投資家等特例業務届出者に対する適用除外、適格機関投資家等特例業務及び海外投資家等特例業務の利用も考えられます。

 

 海外でファンドライセンスを持っているファンドの「販売」だけを計画しているのですが、可能ですか

 組合・パートナーシップ等の集団投資スキーム型のファンドであることを前提に議論します(ファンド種別の説明はこちら)。制度上、海外ファンドも販売できる余地はありますが、主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利への投資を行うファンドである場合には、一般投資家向けのファンドを販売するのは非常に困難であるとお考え下さい。原則として当該ファンドの運用者に、日本での投資運用業の登録が必要であると考えられます。

また、そのファンドの中身に関しても非常に厳しい審査が実施されるので、この数年、機関投資家向けを除き、そういった商品が販売可能になった例を寡聞にして聞きません。

ただし、そもそも適格機関投資家向けで少人数の場合には一定の例外規定があり、そうした場合には問題なく第二種金融商品取引業の登録も可能ですので、主として機関投資家向けの海外ファンドのプレースメント・エージェント業務その他取扱い業務をご検討の場合、お問い合わせください。

なお、外国の運用業者の運用する金融商品を販売する場合でも、投資信託型の商品の場合は規制が全く異なります。そのファンドが外国籍投資信託である場合、典型的には外国投資信託の私募届出を行ったうえ、国内で証券会社(有価証券関連業を行う第一種金融商品取引業者)が少人数私募又はプロ私募の取扱を行うのが一般的です。

また、集団投資スキーム型であっても、現物外国不動産投資ファンドの場合には、不動産特定共同事業許可の対象になりますので、基本的には第二種金融商品取引業では、またはのみでは販売できません。

とはいえ、一般に外国不動産投資ファンドは、米国デラウエア州LLCの二層化等で、そもそも現物不動産を直接所有するファンド形態ではなく、有価証券への投資の形態として組成されていることが多いとは思います。

 

 経験者の確保が難しいのですが、コンプライアンスの外部委託は可能ですか

 金融庁は、適格投資家向け投資運用業(プロ向け投資運用業)に伴って第二種金融商品取引業に登録する場合を除き、一般には、第二種金融商品取引業の登録ではコンプライアンスの外部委託は不可です。以前は、金融庁はその可能性を認めていましたが、令和5年の国際金融センター特設ページのQ&Aで明確にその余地を否定しました。

令和3年時点でも、当事務所の知る限り、プロ向け投資運用業に伴うケースを除き、ファンドの第二種金融商品取引業者において、コンプライアンスを外部委託で登録が認められた例はありませんでしたし、当局に照会した際も、同様の回答を得ています。

もっとも、これとはやや角度が異なる論点として、事実上社員として勤務するものの、その契約形態は雇用契約ではなく業務委託契約(いわゆる業務委託社員)とすることができないかという質問を頂くことがよくあります。金融商品取引業者における営業部門の業務委託は、業務委託の受託者が無登録営業を構成すると解されますので、法令に違反することは明らかですが、コンプライアンスや内部監査等の間接部門は、実務上、業務委託契約による業務委託社員となっている例は散見されます。

これは、明文で禁止されているわけではなく、とりわけコンプライアンス担当者に関しては、実態的に常勤性が確保できれば、許容される余地が一定程度あるとみられます。もっとも「重要な使用人」の概念を踏まえれば、使用人ではない業務委託先の登用は原則避けるべきです。また、内部監査担当者に関しては、業務委託社員とすることは、外部監査でないのかという理論上の問題もあります。

 

 どのようなキャリアであれば経験者と認められますか。

 令和6年現在、第二種金融商品取引業の登録には、3~4名程度の金融機関等の職務経験者が必要になっています。経験者とは、具体的には、金融商品取引業者又は登録金融機関の職務経歴であり、証券会社、第二種金融商品取引業者、投資運用業者は比較的、登録要件上の経験者として認められやすくなっています。

他方、行政処分を頻繁に受けている金融商品取引業者でのキャリアは、問題がある企業での職務経歴であり適切な経験者とは認められない場合もあります。行政処分を受けた金融商品取引業者の例では前職での反省点等を記載した上申書の提出を求められる場合もありましたので注意が必要です。

また、近年は銀行等の登録金融機関の出身者は、証券業務を専門とする方でない場合、とくに営業やコンプライアンス担当者としては、不適格であると判定される事例が多くなっています。

 

 コンプライアンス担当者を非常勤とすることは可能ですか

 法令・監督指針に明記はされていませんが、コンプライアンス担当者が非常勤で登録を認められた例は、適格投資家向け投資運用業(プロ向け投資運用業)に伴って第二種金融商品取引業に登録する場合を除き、一例も知りません。また、当局に照会した際も、同じく担当官の知る限りは一例もないとの回答を得ています。必ず常勤である必要があります。

 

 代表者がコンプライアンスを兼務することは可能ですか

 法令等遵守部門は営業部門から独立していることが監督指針上の要件です。会社全体の統括者である代表取締役は、当然営業部門も統括することから、代表取締役はコンプライアンス部門を兼務することはできないと考えられています。

代表取締役とコンプライアンス担当者を兼務させるような脆弱な体制では、とくに集団投資スキーム(ファンド)の第二種金融商品取引業の登録希望をしても、当局の相手にされないと考えられます。

 

 コンプライアンス担当者は雇用する必要があるとして、それ以外の部門は雇用せず業務委託することは可能ですか

 営業部門の行う行為(売買等営業)は、金融商品取引行為そのものです。よって、それを業務委託することは、業務委託先が第二種金融商品取引業の登録を受けていない限り、無登録業者への委託となり、法令違反を構成します。つまり営業部門は業務委託できません。それ以外の部門は、内容により業務委託の余地が出てきます。とはいえ、一般投資家向けのファンドの第二種金融商品取引業は、社長とコンプライアンス担当者だけが正規の役職員で、他は全員業務委託のような脆弱な体制で簡単に登録を受けられるような甘いものではありません。

 

 どんなファンドを販売するか具体的に決まっていませんが、とりあえず第二種金融商品取引業の登録を得ることは可能でしょうか

 財務局の審査は、最初に扱う具体的なファンドの内容に関して詳細に審査しますので不可能です。また、審査を通すために内容の薄いファンドを用意しても、専門知識の積み上げのない脆弱な事業計画は確実に財務局に見破られて審査は通りません。よって、専門知識に裏付けられた具体的なファンド内容が決まるまでは、登録手続きを進めることはできません。

 

 トークン発行・STO等の暗号資産を取り入れた資金調達は可能でしょうか

 金融庁は、ブロックチェーン関連事業者に対しては極めて高い参入ハードルを設けています。コインチェック事件以降に登録が認められた暗号資産交換業者、暗号資産関連デリバティブ取引を提供する第一種金融商品取引業者及び一般社団法人日本STO協会正会員は、ほぼ例外なく大企業又は大企業の資本が入っている企業です。

これら事業を行うのは、大企業以外はほぼ不可能とお考え下さい。なお、STOに関しては、その取扱いが第一種金融商品取引業と位置付けられているところ、令和3年に入り大手証券会社では、変更登録の完了事例が出てきています。

 

 暗号資産資産ビジネスやICO/STOは、中小企業には不可能なのでしょうか

 流通性のあるユーティリティ・トークンに関しては、不可能と見ていいと思います。ただし、既存の暗号資産交換業者の協力が得られればその限りではありません。また、みなし有価証券としての収益分配性を持つトークンのSTOに関しては、適格機関投資家等特例業務による自己募集を併用することで、実態的にも少人数プロ向けに限定された内容であれば許容余地があります。一方で、第二種金融商品取引業等の金融商品取引業たる位置付けでセキュリティートークンを私募・募集するのは、令和3年現在は、実務上ほぼ不可能と見られます。

 

 第二種金融商品取引業の登録が非常に難しくなっていると聞きます。登録は可能なのでしょうか

 近年、第二種金融商品取引業への登録にあたって求められる人的構成や社内規程等の整備の水準が上昇しており、かつてと比べて、相当に充実した体制であることが求められるようになっています。

現代(令和6年時点)の登録難度は、とりわけクラウドファンディングやレンディングファンドの場合には、第一種金融商品取引業や投資運用業に匹敵するといっても過言ではありません。とはいえ、十分な職務経歴に裏付けられた知識経験を有する役職員をそろえ、また、役職員が行おうとするファンド事業に対して、確固たるプロフェッショナルとしての知識経験を有している会社の場合、第二種金融商品取引業に登録できない理由がありません。

当事務所が取扱ったケースでも、そうした事例ではほぼ確実に登録できていますし、思ったより短時間で登録できたという例も散見します。逆に、登録できないのは、金融商品取引業に十分な経験がある役職員が揃わない場合や、事業内容に対してプロとしての知見があるとは思えない場合等です。

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