GKTKスキームとは

GKTKスキームの利用

不動産、船舶、再生可能エネルギー設備等の資産証券化では、通称「GKTKスキーム」と呼ばれる手法が用いられます。GKTKスキームは、典型的には、当初の資産保有者である「オリジネーター」が、流動化対象となる資産を証券化することを目的とした法人である特別目的会社(SPC)を設立します。

SPCは、Special perpose companyの意味であり、和訳すると「特別目的会社」となります。SPCとは何かという質問をよく受けますが、SPCとは「何らかの目的のためにそれ専用に立ち上げる会社」といった程度の意味で、特別な法令に基づくものではありません。その点、資産流動化法に基づくTMK(特定目的会社)等の実定法に基づくヴィークルとは性格を異にします。

とはいえ、金融商品取引業等に関する内閣府令第33条第2項では、特別目的会社の定義が置かれています。同項では、特別目的会社は「資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項に規定する特定目的会社及び事業内容の変更が制限されているこれと同様の事業を営む事業体をいう」とされています。

実務上、「事業内容の変更が制限されているこれと同様の事業を営む事業体」の解釈に関しては広くとられる傾向があり、定款の変更権限が業務執行社員に限定された合同会社は、特別目的会社に該当するという行政解釈の先例があります。

こうして設立されたSPCは、匿名組合の営業者として、投資家(匿名組合員)から、匿名組合契約に基づき出資金の出資を受けます。SPCは出資された金銭を充てて不動産等の流動化対象資産を取得し、そこから得られる収益を匿名組合員に分配することとなります。

SPCの種別

証券化に利用されるSPCは、実務上、合同会社が多くなっています。これは、合同会社が株式会社に比べて定款自治の範囲が広く、柔軟な内部的な意思決定の取り決めをすることが可能な点や、設立費用が安価(株式会社の設立の実費は20万円を超えるのに対して合同会社の場合には6万円強)である点等を考慮してのものです。

合同会社の資本金はどのくらいに設定すべきかという質問をよく受けますが、検討する要素はさほど多くありません。実務上、名目的な合同会社の資本金は10万円に設定されることが多く、資本金10万円というのはひとつの基準となっています。

また、金融商品取引法等の業法に基づく分別管理の必要性から、法人税や税務申告経費等の匿名組合勘定に属さない法人固有の経費に関し、予め資本金として資金を注入しておき、SPCの存続期間中、固有経費を資本金でペイできるよう資本金設定する例も見られます。

GKTK

合同会社は通称「GK」と呼称されます。また匿名組合はTKと呼称されますので、こうした合同会社と匿名組合を組み合わせた資産証券化スキームを「GKTK」と通称します。

GKTKスキームは、不動産証券化に典型的です。不動産証券スキームでは、GKを営業者として組成されるTKの出資対象事業は、不動産信託受益権の保有となります。また、不動産特定共同事業法や資産流動化法に基づく現物不動産投資を目的とするSPCスキームも存在し、いわゆる不特法3号許可、4号許可、TMKのスキームでも、SPCの利用が可能です。

実務上、多くの証券化は不動産信託受益権取得を目的としたGKTK形式により行われています。これは、物件の長期保有を前提としない場合には、不動産信託受益権の売買によるほうが登録免許税等の組成負担が小さくなることも要因です。

信託受益権は、みなし有価証券に該当しますので、主とする運用財産としてこれをファンド運用するには、少人数プロ向けファンド(適格機関投資家等特例業務)に該当しない限り、投資運用業の登録が必要です。それゆえ、不動産信託受益権での運用には、投資運用業者であるアセットマネージャー(AM)を入れる必要があります。

また、かかる運用のうち不動産信託受益権又は組合契約、匿名組合契約若しくは投資事業有限責任組合契約に基づく権利のうち当該権利に係る出資対象事業が主として不動産信託受益権に対する投資を行うものを投資の対象とするものは、不動産関連特定投資運用業に該当しますので、登録要件に、事実上の加重があります。

それに対してFoF(ファンド・オブ・ファンズ)の形態で、出資対象事業として海外不動産等の取得等を目的とする外国パートナーシップやLLCへの出資の形態で登録するファンド及びこれを運用する投資運用業務は、不動産関連特定投資運用業に該当しないため、当該登録要件の加重は直接的には適用されません。

さらに、運用行為のみならず、匿名組合の自己私募行為は、第二種金融商品取引業が必要になります。SPCによる登録は現実的ではないことから、第二種金融商品取引業者に匿名組合の私募の取扱いを依頼して、投資家との契約を代行させるのが一般的です。

さらに、GKTK方式の不動産証券化には、ER(エンジニアリングレポート)・不動産鑑定書の取得や、物件の管理を委ねるPM(プロパティーマネージャー)の専任、ドキュメンテーションを担う法律事務所や、会計処理を担う会計事務所の専任等多くの事務手続きが必要になります。

倒産隔離

GKTKスキームを始めとする資産証券化では、当初の組成、主導した会社が倒産しても、出資している投資家には影響が及ばないように商品組成することが、実務上重要と考えられています。これを、一般的に倒産隔離と呼称します。

そのためには、GKTKスキームの運営者である合同会社の「親会社」がどんな組織になるかが重要です。

その点、「GKTKスキーム」では、GKの親法人となる法人は、かつてケイマン慈善信託(チャリタブル・トラスト)が利用されていました。しかし、平成14年の中間法人法の制定後、しばらく経ってから同法に基づく中間法人の倒産隔離での利用価値が発見され、証券化に利用されるようになりました。

さらに、いわゆる公益法人改革に伴って、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の制定により、社団法人の設立が事実上自由化され、平成20年に同法が施行されてからは、従来のケイマン慈善信託や中間法人に代わって、一般社団法人が利用されるようになっています。

通称、GKTKSHです。

具体的には、一般社団法人の設立時社員及び理事に公認会計士等の中立的第三者を選任し、解散又は一定の年限を経過するまで返還が禁じられた一般社団法人の基金(経済的には「疑似エクイティ」の性質)にオリジネーターが資金拠出することにより、オリジネーターが倒産しても証券化スキーム(GKTK)に影響が及ばないようになります。

第二種金融商品取引業

他方で、船舶、航空機及び再生可能エネルギー関連の証券化では、これら資産は通常有価証券又はデリバティブ取引に該当しないため、投資運用業の登録を必要としないことが通例で、第二種金融商品取引業の登録のみでスキームを組成できることが多くなっています。

ただし、これらの資産が信託受益権化されている場合には、アセットマネジメント行為に投資運用業の関与又は要件を満たす場合にはそれに代わる適格機関投資家等特例業務の届出も必要となるため、第二種金融商品取引業者単独では組成できません。

なお、第二種金融商品取引業者は特定引受行為として、一定の様態のファンドの引受業務を、本来要求される第一種金融商品取引業の登録なしで行えるため、アセットファイナンス(主に船舶・航空機ファイナンス)では、特定引受行為及びその後の有価証券の売買業務として第二種金融商品取引業を行っている例も多くなっています。

特定引受行為及びその後の有価証券の売買業務は、第二種金融商品取引業者がいったんファンドのブリッジをするだけで、実質的には私募の取扱いとの経済的な差異が小さく、一般社団法人第二種金融商品取引業協会の自主規制規則「事業型ファンドの私募の取扱等に関する規則」でも、募集又は私募及び募集又は私募の取扱と同等の、審査、モニタリング等の義務が適用されることになっています。

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