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第一種金融商品取引業者とは

第一種金融商品取引業者とは

このページの目次
第一種金融商品取引業の大分類証券会社FX業者暗号資産等関連デリバティブ取引STO・セキュリティトークン未上場株式等業務・第一種少額電子募集取扱業務有価証券等管理業務第一種金融商品取引業該当性に関する留意点海外無登録業者第一種金融商品取引業への参入諸要件

第一種金融商品取引業者とは、基本的には、平成19年9月30日に金融商品取引法が施行される前の、旧証券取引法の「証券会社」と、旧金融先物取引法の「金融先物取引業者」を統合したものです。

第一種金融商品取引業者の別名を「証券会社」であると考えれば(但し、通貨関連専業の金先業者等、有価証券関連業を行なわない者は証券と商号を付けることはできません。)、第一種金融商品取引業は、社会認知度、知名度ともに銀行と双璧をなす、メジャーな金融ビジネスといえます。

第一種金融商品取引業の定義は、金融商品取引法第28条第1項に定義されています。これに基づき、いわゆる1項有価証券に関連する業務や、セキュリティトークンの取扱等(STO含む)、商品関連市場デリバティブ取引、店頭デリバティブ取引、PTS、引受業務、有価証券等管理業務等が第一種金融商品取引業となります。

※金融商品取引法

第二十八条 この章において「第一種金融商品取引業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。
一 有価証券(第二条第二項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(電子記録移転権利を除く。次項第二号及び第六十四条第一項第一号において同じ。)を除く。)についての第二条第八項第一号から第三号まで、第五号、第八号又は第九号に掲げる行為
一の二 商品関連市場デリバティブ取引についての第二条第八項第二号、第三号又は第五号に掲げる行為
二 第二条第八項第四号に掲げる行為又は店頭デリバティブ取引についての同項第五号に掲げる行為
三 次のイからハまでのいずれかに該当する行為
イ 有価証券の元引受けであつて、損失の危険の管理の必要性の高いものとして政令で定めるもの
ロ 有価証券の元引受けであつて、イに掲げるもの以外のもの
ハ 第二条第八項第六号に掲げる行為であつて、有価証券の元引受け以外のもの
四 第二条第八項第十号に掲げる行為
五 第二条第八項第十六号又は第十七号に掲げる行為

第一種金融商品取引業の大分類

このように、第一種金融商品取引業の業務種別は多岐に渡りますが、こちらでは主要なものを説明していきます。前述のように、第一種金融商品取引業は、いわゆる「証券会社」と「金融先物取引業者」に大別されていますが、証券会社(ここでは、有価証券関連業を行う第一種金融商品取引業者といった程度の意味で使っています)は、典型的には通常の株式や社債、投資信託などの販売をする、もっとも想像しやすい証券ビジネスです。

また、引受や有価証券等管理業務、PTS等もここに分類されます。また、金融先物取引のうち、証券CFD等の有価証券関連デリバティブ取引については、自主規制団体が日本証券業協会であることから、証券業務の一種と考えられます。

一方、旧金融先物取引法に基づく金融先物取引業者に相当する、通称「金融先物取引業者」(各種デリバティブ取引、FX、バイナリーオプション等)は、一般社団法人金融先物取引業協会が自主規制団体です。こうした金融先物取引業務をコアとする第一種金融商品取引業者は、通常は、店頭外国為替証拠金取引が、その収益の中心であることが多いようです。

もちろん、FX会社と証券会社を並行して行う(多くの場合、通貨関連店頭デリバティブ取引と有価証券関連業を同時に行う)のも問題なく可能です。

さらに、令和2年5月1日施行の改正金融商品取引法の施行で、bitcoinFX等の暗号資産関連デリバティブ取引(現・暗号資産等関連デリバティブ取引)を行う者も第一種金融商品取引業者に加わりました。

なお、こちらも法令上は金融先物取引の業務ではありますが、従来の金融先物取引業務と異なり、日本証券業協会及び一般社団法人金融先物取引業協会ではなく、 一般社団法人 日本暗号資産取引業協会が自主規制団体となっていることから、業態としてやや毛色が異なります。

商品先物取引に関しても、東京商品取引所の上場商品の一部であった貴金属、ゴム、農産物が、金融商品取引法上に位置づけられる取引所である大阪取引所に移管されたこと(総合取引所)を受けて、総合取引所における商品関連市場デリバティブ取引が第一種金融商品取引業と位置付けられています。

また、従来より金融商品取引に関連して、顧客から金銭や有価証券の預託を受ける行為は、一定の例外(特定有価証券等管理業務)に該当する場合を除き、有価証券等管理業務として第一種金融商品取引業に位置付けられています。

第一種金融商品取引業は、流動性の高い有価証券の取扱や、デリバティブ取引の提供などを行っている、いわば投資者にとっては「流動性とリスクの高い」商品の提供者であるところに特徴があります。

以上、第一種金融商品取引業者の主要な業務内容を大きく整理すると、証券業務(有価証券・証券CFD等)、従来型の金融先物業務(FX)等、暗号資産等関連デリバティブ取引業務、商品関連市場デリバティブ及び有価証券等管理業務の5つに大別することが可能です。

証券会社

業界の歴史的には、金融商品取引業の中核の業態ですが、近年では新規参入の動きは限定的です。近年の証券会社の新規参入事例では、自社に関連する投資信託の販売を行うための証券会社を設立する例が多いです。自らが委託者ではない投資信託の販売は、投資信託受益証券の募集又は私募の取扱い業務に該当し、第一種金融商品取引業です。

また、投資信託関連に加え、直近ではFINTECHに関連する第一種金融商品取引業の登録事例が増えています。また、令和2年末から議論されている「最良執行のあり方等に関するタスクフォースの報告書」(案)を踏まえ、今後は第一種金融商品取引業であるPTSの利用拡大も期待されています。

さらに、いわゆるセキュリティトークンの流通の促進を巡り、店頭取引の拡大と並んで、PTSの活用も中長期的な政策課題として意識されるようになっており、金融庁もかねてより「電子記録移転権利についても、私設取引システム(PTS)の利用が排除されているものではなく、認可の申請等があった場合には、他の有価証券と同様に、法令等に基づいて適切に審査を行ってまいります。」(令和2年 パブリックコメントP53 No.196-197)としています。

その一方で、伝統的な株式等の有価証券を扱う昔ながらの証券会社の新規参入例は、少なくなっています。近年では、証券と商号に掲げながらも、主力業務はクラウドファンディング・ソーシャルレンディングなどの第二種金融商品取引業であるという例も増えています。従来型の証券業務では、なかなか大手証券会社の牙城を崩す高収益のモデルが描きにくいのが実情です。とはいえ、令和に入ってから海外の株式や社債等の伝統的有価証券の販売のために新規登録した外資系証券会社も存在します。

FX業者

かつて百花斉放を誇った外国為替証拠金取引も、規制強化で業者数は激減。10年以上続く参入抑制政策により、いまや、我が国の個人向けのFX業者は数十社しかありません。FX業界への新規登録での参入は非常に難しくなっています。

とはいえ、日本のリテールFX市場は規模が大きく、高収益を上げているFX業者も存在しています。FX業界の特徴を把握するうえで、不招請勧誘の禁止、国際性、拡張性、信託保全、寡占の5点が重要です。

不招請勧誘の禁止

不招請勧誘の禁止に関しては、FX等の通貨関連店頭デリバティブ取引は、不招請勧誘を法令で禁止されています。そのため、「ネットビジネス」との親和性が高くなっています。そのため、ネット企業が母体の業者が非常に多数存在します。

2005年の改正金融先物取引法施行により、FX業者の不招請勧誘が定められたことにより、金融先物取引法施行以前に主要な位置を占めていた商品先物取引業から派生した事業者の割合は低下し、代わってIT企業を母体するFX業者がむしろマジョリティーとなったためです。

国際性

国際性については、FX取引の商品性に地域間の差異が少ないため、外資企業の対日マーケティング、対日参入ニーズが旺盛であることが注目されます。

我が国のリテールFX市場は非常に大きいため、現在我が国で展開していない海外大手FX業者の中には、歴史を紐解くとメージャーどころは対日参入した経験があるか、又は真剣に対日参入を検討した歴史を持つ業者が多数があります。

拡張性

FX業務は証券CFD取引や商品CFD取引(商品先物取引業)、バイナリーオプション取引等も提供することが多いようです。FX業務は、ITシステムとネットマーケティングとカバー取引の集合体です。

海外では、FXも証券CFDや商品CFD並びに場合によっては暗号資産CFDも基本的に仕組みは同じCFDの一種であるため、同じ取引プラットフォームを利用してサービス提供される例が多くなっています。

しかしながら、日本では規制の縦割りから、FX業務は金融先物取引業協会を自主規制団体とする金融先物取引業務、証券CFDは日本証券業協会を自主規制団体とする証券業務、さらに、商品CFDに至っては、商品先物取引業であるとして農林水産省と経済産業省の許可が必要になっています。そのため、提供サービスをあえてFXのみに絞り込むケースも多いです。

信託保全

FXやCFD業務では、顧客資産を信託で区分管理することが義務付けられています。そのため、事業を展開するには豊富なキャッシュが必要です。信託保全の義務化により、FX業界全体で自己資本収益率が低下したことにより、ひところは廃業や事業譲渡が増えました。

さらに個人・法人向けレバレッジ規制、ロスカットルール及び非対称スリッページ規制等の段階的な導入に加え、近年では自主規制規則に基づき、ストレステスト及びこれに基づく自己資本への反映、取引データの保存・報告等の義務も設けられました。これら一連の規制強化も加わり、事業収益性はその後も年々低下しているとも指摘されます。

寡占

FX業界は寡占状況であり、個人向けのFX業者で、取引高世界上位の会社は、ほとんどが日本の会社です。2020年の取引高はGMOクリック証券が世界一でした。

FX業務での新規の登録が困難であることと併せて、登録業者への業規制も厳しく、既存業者の位置を突き崩すような後発組は長いこと現れていません。海外のFX・CFD業者にとって本邦への参入は非常に高い障壁があります。

また、FXと並び海外業者から参入ニーズが強いバイナリーオプション取引に関しても、自主規制規則が厳格であることにより現実的には高い収益を上げることが難しくなっています。

また、世界的な業界の成熟化、安定化も加わって、もはやFX業務は外資や新規参入組のこれからの成功は容易ではない分野であるといえます。

暗号資産等関連デリバティブ取引

令和2年5月1日の改正金商法の施行で、暗号資産等関連デリバティブ取引((現・暗号資産等関連デリバティブ取引。いわゆるBitcoin FX)が第一種金融商品取引業に位置付けられたことにより、証券会社でも金先業者でもない、第三の類型の第一種金融商品取引業者が誕生しました。

暗号資産等関連デリバティブ取引は、日本証券業協会でも一般社団法人金融先物取引業協会でもなく、一般社団法人日本暗号資産取引業協会が自主規制団体となっています。既存の証券・FX業界からは切り離された新たな業態です。

その後、ステーブルコインも同規制体系に取り込まれ、暗号資産等関連デリバティブ取引に名称を改めました。一般社団法人日本暗号資産取引業協会のサイトでは、令和5年2月現在、暗号資産等関連デリバティブ取引の提供する事業者に関して、14社が掲載されています。

STO・セキュリティトークン

令和2年に施行された金商法、資金決済法の改正により、ブロックチェーンに関連するトークン・暗号資産交換所、デリバティブ等の金融規制法上の位置付けが明確に整理されました。

株式や社債等のいわゆる「1項有価証券」をセキュリティ・トークン化した有価証券に関する業務は、伝統的な証券業務として、日本証券業協会を自主規制団体とした、いわゆる証券業務に分類されることになりました。

他方で、信託受益権や集団投資スキーム持分等のいわゆる法2条2項各項の有価証券は、従来は募集又は私募並びに募集又は私募の取扱等の業務が第二種金融商品取引業に位置付けられていたところ、新制度では、電子記録移転権利の自己募集や、いわゆる適用除外電子記録移転権利に該当しない限り、こうした性質を持つセキュリティ・トークンの取扱等につき、第二種金融商品取引業ではなく、第一種金融商品取引業に位置付けられるようになりました。

2019年設立の自主規制団体である一般社団法人日本STO協会の会員企業は、令和4年6月現在ほぼすべてが国際的な大手金融グループ又はその関連会社及び持分法適用会社等により占められています。その点、独立系の登録企業を散見する暗号資産交換業の制度と比べても、STO関連ビジネスはより参入ハードルが高いものと推察されます。

とはいえ、2022年6月7日に閣議決定された、経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる「骨太の方針」。)では、政府施策として「Fintech の推進のため、セキュリティトークン(デジタル証券)での資金調達に関する制度整備、暗号資産について利用者保護に配慮した審査基準の緩和、決済手段としての経済機能に関する解釈指針の作成などを行う」と打ち出しされています。

こうした政府方針に基づき、今後、デジタル証券、STO・セキュリティトークン分野に関しては、ビジネス・フレンドリーな制度改正や監督実務の見直しが行われる蓋然性が高まっています。

スタートアップのFINTECH事業者や外資系業者にとっても、その参入可能性は今後、段階的に高まっていくと見られます。

なお、電子記録移転有価証券表示権利等(セキュリティー・トークン)又は暗号資産関連デリバティブ取引(暗号資産FX等)に関して、金融商品取引法第2条第1号乃至第5号に掲げる行為(実務上は、売買、売買の媒介、店頭デリバティブ取引が殆どだと思われます。)を行う場合は、金融商品取引法第31条第4項に基づき、それぞれ追加的に変更登録を受ける必要があります。

未上場株式等業務・第一種少額電子募集取扱業務

従来、未上場株式等を勧誘することは、日本証券業協会規則により原則として禁止されていましたが、近年店頭有価証券に関する規則の改正等で取り扱い可能な未上場の株式等の範囲が広がっています。

具体的には、同規則では、経営権の移転等を目的とした店頭有価証券の取引に係る投資勧誘(M&Aのケース)、企業価値評価等が可能な特定投資家に対する店頭有価証券の投資勧誘、店頭有価証券の適格機関投資家に対する投資勧誘(プロ向けのケース)、企業価値評価等が可能な特定投資家に対する店頭有価証券の投資勧誘、店頭取扱有価証券の投資勧誘、上場有価証券の発行会社が発行した店頭取扱有価証券の投資勧誘、「株主コミュニティに関する規則」、「株式投資型クラウドファンディング業務に関する規則」又は「店頭有価証券等の特定投資家に対する投資勧誘等に関する規則」の規定によるケースが列挙されています。

なお、M&Aに伴う株式等の売買の媒介業務は金融商品取引業に該当しないと整理することが一般的でしたが、経営権の移転等を目的とした店頭有価証券の取引に係る投資勧誘に関する規則の整備により、これを金融商品取引業として行うことができることが近年に明示されました。

とはいえ、未上場株式等を証券会社が取り扱うケースでは、実務上、適格機関投資家向けに勧誘を行う事例、一般投資家相手にはコミュニティー銘柄又は第一種少額電子募集取扱業務におけるいわゆる株式型クラウドファンディングの形をとる事例が一般的です。

第一種少額電子募集取扱業務は、第一種金融商品取引業の登録要件を緩和した特例的な制度であり、法令及び自主規制規則に基づきインターネットでの少額の電子募集のみで勧誘を行う必要があるため、訪問や電話での有価証券の取得勧誘をすることはできません。

また、令和4年4月1日付で「店頭有価証券等の特定投資家に対する投資勧誘等に関する規則」の制定が行われて、特定投資家向けに非上場株式の取扱い可能な範囲が大きく拡大されたことで、上記以外にも今後、特定投資家向けに非上場株式の取扱いが拡大する可能性もあります。

有価証券等管理業務

有価証券等管理業務とは、金融商品取引法第2条第8項第16号規定される業務であり「その行う金融商品取引法第2条第8項第1号から第10号までに掲げる行為に関して、顧客から金銭、第一項各号に掲げる証券若しくは証書又は電子記録移転権利の預託を受けること(商品関連市場デリバティブ取引についての第二号、第三号又は第五号に掲げる行為を行う場合にあつては、これらの行為に関して、顧客から商品(第24項第3号の3に掲げるものをいう。以下この号において同じ。)又は寄託された商品に関して発行された証券若しくは証書の預託を受けることを含む。)」と定義されます。

つまり有価証券又はデリバティブ取引業務に付随して、顧客からの資金や第1項有価証券を預かる、「口座開設」行為を指します。

第一種金融商品取引業の登録を有していても、有価証券等管理業務の登録をしていない業者は、変更登録をしないと有価証券等管理業務により顧客の口座開設を行うことができません。

実務上重要な点として外国為替証拠金取引の「媒介」のみを行う業者に関しては、業態をホワイトラベル契約等でプリンシパルに切り替え、顧客に自社に「口座開設」をさせるためには、有価証券等管理業務の変更登録を必要とします。

金融商品取引法施行直後には、外国為替証拠金取引の媒介のみを行う事業者はIB(Introducing Broker)と称され、米系業者に所属するIBの第一種金融商品取引業者が多数登録されていた時代もありましたが、同米系業者の廃業等を経て、現在ではIB業態の第一種金融商品取引業者は少数派です。

なお、資本金5000万円以上の第二種金融商品取引業者が私募の取扱を行う場合、有価証券等管理業務に相当する金銭の預託を受ける業務を、特定有価証券等管理行為(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第16条第1項第14号及び同第14号の2)として、第一種金融商品取引業の登録を受けずに行うことが認められています。

有価証券等管理業務と特定有価証券等管理行為は、選択的競合関係に立つとされ、第一種金融商品取引業であり、第二種金融商品取引業で私募の取扱業務を行う金融商品取引業者は、顧客資産の預かりが有価証券等管理業務と特定有価証券等管理行為いずれに該当するか法的立場を整理したうえで、それぞれの義務を履行する必要があります。

第一種金融商品取引業該当性に関する留意点

店頭デリバティブ取引の媒介が第一種金融商品取引業に位置付けられていることから、重要な点として、証券会社やFX業者の代理店業務、代理勧誘業務は、原則として第一種金融商品取引業に該当(但し、証券業務の一部は金融商品仲介業者として登録することにより適法)するということがあげられます。

そのため、一般に行われているアフィリエイト等のいわゆるオンライン広告は、実際に広告の範囲で内容が留まれば「媒介」に該当しないものの、それを超えて、広告媒体側が能動的にユーザーへ個別の電話・メールでの口座開設勧誘等を行うと、アフィリエイトの範囲を超えて、「媒介」に該当し、第一種金融商品取引業に該当する可能性があるので、十分に注意が必要です。

また、無登録FX業者のアフィリエイトプログラムの場合も、アフィリエイターの行為が広告の範囲を超えて無登録営業の媒介行為を行っているものとして、無登録FX業者はもちろんのこと、アフィリエイターにも無登録営業の警告が実施された実例があります。無登録FX業者のアフィリエイトは、登録された第一種金融商品取引業者のアフィリエイトを行う場合と比べて、悪質性、故意性が認定されやすく、当局から媒介に該当する法令違反とみなされやすくなります。

海外無登録業者

FX/CFD分野では、無登録の海外所在業者によって日本居住者に対する勧誘が積極的に行われている実態があります。しかしながら、海外無登録業者による一般投資家に対する店頭デリバティブ取引の提供は、例え事業者の所在が海外にあっても、金融商品取引法の定める一定の除外事由に該当せず、金融商品取引法に違反します。

こうした業者に対して、アフィリエイトをしたり代理店をしたりで、結果的に違法行為を助長することがないよう留意して下さい。

なお、金融商品取引法第58条の2の規定により、「外国証券業者は、国内にある者を相手方として第二十八条第八項各号に掲げる行為を行つてはならない。ただし、金融商品取引業者のうち、有価証券関連業を行う者を相手方とする場合(当該外国証券業者がその店頭デリバティブ取引等の業務の用に供する電子情報処理組織を使用して特定店頭デリバティブ取引又はその媒介、取次ぎ(有価証券等清算取次ぎを除く。)若しくは代理を行う場合を除く。)その他政令で定める場合は、この限りでない。」とあり、金融商品取引法施行令第17条の3でその詳細が定められています。

具体的には外国証券業者の場合には、一定の取引の場合、相手方が一般投資家であっても、勧誘によらずに顧客が自発的に注文する場合は、法令上許容される余地があります。しかしながら、FXやCFDのような店頭デリバティブ取引に関してはそうした規定がなく、たとえ勧誘をしていなくとも、一般投資家である居住者を相手方としてこれらの取引を提供するだけで金融商品取引法に違反します。

第一種金融商品取引業への参入

前述のように、流動性の高い有価証券の販売や、取引に関連した顧客資金の預かり、有価証券の引き受け、店頭での金融先物取引(FX、証券CFD、バイナリーオプション)提供など、いわゆる第一種金融商品取引業に分類されるビジネスを開業するには、第一種金融商品取引業の登録が必要になります。

第一種金融商品取引業者の場合には、開業にあたって、日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人日本暗号資産取引業協会、日本投資者保護基金等への加入も必要に応じて求められます。財務局の審査もさることながら、とりわけ日本証券業協会の審査はこれに劣らず厳しいものとなっています。過去には、財務局の内諾を得ながらも、日本証券業協会の加入審査が通らず、登録を断念する例もありました。

諸要件

業務に係る人的構成要件の面では、投資助言・代理業者や第二種金融商品取引業者のように、社員総数2、3人というわけにはいきません。例え外注などを活用しても、最低限の勤務人数は業態にもよりますが5、6人は必要となるのが通常です。また、第一種金融商品取引業は取締役会又は委員会等設置会社である必要があります。

また、純資産額で5千万円の維持義務がありますので、登録申請時点で純資産も少なくとも1億円近くはないと、そもそも登録は難しいです。これは、仮に純資産額が基準の5千万円をわずかに超える程度では、他事業での収益がよほど上がっている等の事情がない限りは、将来財務に安定性がないと判断されてしまうためです。

登録要件に関する詳細は、こちらの説明をご覧いただければ幸いです。

なお、第一種金融商品取引業者の登録に係る特例として、いわゆる「株式型クラウドファンディング」の制度である「第一種少額電子募集取扱業務」もあります。しかしながら、同制度においても、正規の第一種金融商品取引業者に負けず劣らずの内部管理態勢構築が求められており、第一種金融商品取引業と比べた緩和的規制は財産規制等一部にとどまります。

また、登録後も、FX取引を提供する第一種金融商品取引業者には、ストレステスト、レート保存等の義務が協会規則に基づく課せられており、また、証券業務に関しても金融商品取引法に加えて、業態別に日本証券業協会規則が綿密に定まっており、これらに確実に対応できる体制構築が必要です。

第一種金融商品取引業の登録は、他の種別の登録手続きとは一線を画する一大プロジェクトです。これを推進するには、綿密な相談と緻密な事業計画が必要になります。

第一種金融商品取引業登録をお考えの方は、是非とも早期段階から当事務所にご相談ください。当事務所は、第一種金融商品取引業の登録・変更登録に関する経験を、多数有しております。ご内容に応じて、信託銀行や大手法律事務所等とも連携しつつ、依頼者様に最適なソリューションを提案します。

ここまでの説明で概要はわかったので詳細を知りたいという方は以下へどうぞ。

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