行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

船舶・航空機ファイナンス

船舶・航空機ファイナンス

当事務所は、国際的な船舶及び航空機取引におけるアセットファイナンス・スキームの支援をしております。船舶・航空機ファイナンスは、アセットファイナンスと総称され、必ずしも一般投資家に広く販売するスキームではありませんが、典型的な第二種金融商品取引業の分野のひとつです。

第二種金融商品取引業の登録及び事務手続に関する専門性を生かし、主にレバレッジド・リースを出資対象事業とする匿名組合のストラクチャリングをします。

航空機ファイナンスは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた世界的な航空業界の低迷により直近では当事務所での取扱事例が少なくなっています。

これに対して、船舶関連ファイナンスやJOLCOに関しては、新型コロナウイルスの感染拡大前後を問わず、継続的に取扱実績が高水準にあります。船舶及び航空機ファイナンスは、再エネ関連、貸付型ファンド、不動産ファンド等と並ぶ、第二種金融商品取引業務のメインストリームといえます。

ファイナンスリース・日本型オペレーティングリース(JOLCO)

海運立国である我が国ではレバレッジドリースのメイン・フィールドは、米国と異なり、航空機ではなく船舶です。当事務所は、船舶のリースに関して、貨物船やコンテナのみならず客船の証券化にも関与実績があります。

船舶ファイナンスでは減価償却費の計上による税務上のメリットが着目されるため中古船等完成船舶の取得を行い傭船者にリースするスキームが主流です。しかし、過去の事例では造船所における造船段階から証券化した特殊なケースもあります。

船舶ファイナンスや、JOLCOのプレーヤーは限られており、関係事業者も関係する海事専門家もバイネームとなる狭い専門領域です。また、こうした案件への投資者も、いわゆる今治船主をはじめとして、業界関係者や機関投資家等の属性のいい投資家である傾向が強く、投資家側のリテラシーが高いこともあり、従来、目立った投資者保護上の問題が国内では生じたことのない業態です。

さらに、近年では、船舶・航空機以外にも、減価償却を目的として、トラック等の輸送用機器を証券化する事例も増えています。航空機の中でも、旅客機からヘリコプターまで、証券化の裾野が広がっています。

なお、かつては太陽光発電ファンドも、グリーン投資減税による一括償却を狙って、アセットファイナンス的な節税商品として売り出されている時期がありましたが、グリーン投資減税の廃止及びFITの制度縮小に伴い、こうした観点からの再エネ関連ファンドの組成は下火になっています。

レギュレーション

船舶・航空機ファイナンスにおいて、投資家に匿名組合持分を取得させる場合には、第二種金融商品取引業者が販売を行う必要があります。第二種金融商品取引業者は、資産保有者となるSPCの発行する匿名組合持分を取扱し、または特定引受行為によりいったん取扱者が取得したうえで、投資家に販売を行うことになります。

レバレッジドリース・アセットファイナンスで、自己私募、自己募集、募集の取扱の形態は想定しがたく、第二種金融商品取引業務としては特定引受行為後の売買、顧客間の売買の媒介及び私募の取扱であることが殆どです。

当事務所は、第二種金融商品取引業の登録をはじめとして、実際のファンド組成の際の匿名組合契約書・契約締結前交付書面等のドキュメンテーションから、収支見込みを含むスキーム全般のアドバイザリーまで、幅広い業務に対応することができます。

オフショア法人の利用

船舶の保有はパナマ法人が行うことが多く、いわゆる便宜置籍船の形態を利用します。傭船者との船舶の傭船契約その他海事関連のドキュメンテーションは、海事専門の事務所でないと対応が難しいことから、実際の組成案件では他の専門家と協調して業務を進めていきます。

特定引受行為

ファンドの発行にあたり、いったんファンドの持分をすべて関係者が購入して、その後投資家に転売することを前提とするスキームは、第一種金融商品取引業である引受業務に該当し、第一種金融商品取引業の登録がないと行うことができないのが原則です。

しかしながら、資本金5000万円以上の第二種金融商品取引業者が100%子会社である株式会社の発行する匿名組合契約の私募の取扱を行う場合、その匿名組合の出資対象事業が機械類その他の物品又は物件を使用させる業務であるものに限って、引受を行うことが許容されています。

これを、特定引受行為((金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第 16 条第1項第5号)と呼称します。

特定引受行為は、平成19年金融庁パブリックコメントのP55.No93.94の通り、リース業界の要望で導入された、航空機等のレバレッジドリースのファンドを想定した例外規定であり、実務上船舶・航空機ファンドの発行の際には、前述の通り一般的に利用されています。

ストラクチャリング

当事務所は、船舶を保有するSPCにオフショア法人を利用したスキームの支援に関しても多数の実績があります。また内国でいわゆる「GKTK」の形式で匿名組合化する場合には、スキームに付帯する一般社団法人を利用した倒産隔離スキームの設立関連事務も手掛けております。省コストでの船舶・航空機ファイナンスの組成をお考えの関連事業者様はぜひともお問い合わせくださいませ。

なお、船舶関連法務は海事専門の法律事務所でないと話にならないと言われる高度の専門性があります。また、リース会計や、商品設計に関しても、これを専門とする会計事務所でないとおいそれと手出しできるものではありません。

そこで、当事務所がこうした案件を支援する際は、こうした専門の事務所と連携し、主にライセンス取得をはじめとする財務局関連の諸手続きを担当したり、金融商品取引法に基づく契約締結前交付書面や契約締結時交付書面の検証等の金融商品取引法の業規制周りの事務を担当することが一般的です。

船舶・航空機ファイナンスに関するよくある質問

 資産を保有するSPCへの貸付を出資対象事業とする「融資型」のスキームを取ることは可能でしょうか。

 法令上は可能ですが、融資の態様によっては、貸金業登録又は貸金業法施行令に定めるグループ貸付の形態で行う必要があります。また、「事業型ファンドの私募の取扱等に関する規則」「貸付型ファンドに関するQ&A」が適用されるため、ファンド審査・融資審査・利益相反等各種開示・モニタリング等の義務が課せられます。

実務上、関係会社を利用したダブルSPCスキームに関しては相当綿密な利益相反管理と開示が必要とされています。よって、組成にあたってのドキュメンテーションは相応の分量になりますので、綿密な準備が必要です。

 資産保有会社の倒産隔離を行う必要はありますか。

 法令上は、いわゆる倒産隔離は求められていません。しかしながら、国内スキームの場合には、実務上、オリジネーターが一般社団法人の基金を支出し、かかる一般社団法人の子会社として匿名組合の発行者になる合同会社を設立する、いわゆるGKTKスキームで組成するのが一般的です。

なお、平成10年代の倒産隔離は、中間法人法に基づく中間法人(廃止)やケイマン籍チャリタブル・トラスト(慈善信託)が親会社になっていました。

しかし、現在では倒産隔離は一般社団法人の利用に上書きされ、旧来のスキームが採用されることは、ほぼなくなっています。

 船舶・航空機ファイナンスで第二種金融商品取引業を登録するにあたり注意すべき事項はありますか。

 船舶・航空機ファイナンスの登録審査では、匿名組合の契約期間終了時の組合財産の取り扱い(処分・換価方法)が重要なポイントになります。契約期間終了時の資産処分見込価格の妥当性や、流動性の観点からの換価の確実性を、客観的説明資料に基づき説明する必要があります。また、かかる資産処分時の利益相反の管理態勢や透明な処分決定プロセスの構築等も必要になります。

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