具体的なスキームと人数制限

適格機関投資家等特例業務の具体的なスキームと募集人数制限について

適格機関投資家等特例業務を用いて、同一の運営者(適格機関投資家等特例業務届出者)が同一の出資対象事業で運用する複数のファンドを運営することが出来るかというご質問をよく頂くのですが、条件を満たせば同一の運営者が同一の出資対象事業で複数のファンドを運営する事は可能です。

言い換えれば、条件さえ満たしていれば、2号、3号と新しくファンドを組成する事で、その都度、出資者が大口投資家、セミプロや密接関係者のみであれば、「適格機関投資家1名以上」と「適格機関投資家に該当しないが一定の要件をクリアする投資家(特例業務対象投資家)49名以下」を出資者として集めることができます。

具体的にどんな条件を満たせばいいのか、先に結論から見てしまいましょう。

出資対象事業が事業(※)の場合

※有価証券またはデリバティブ取引に係る権利に投資する比率が50%未満の場合

・過去6か月間に発行した同一の出資対象事業を行うファンドの特例業務対象投資家の総数が通算で49名を超えない範囲でファンドを設立することが可能です。各ファンドは、1名以上の適格機関投資家及び49名以下の特例業務対象投資家から出資を受けることが出来ます。

例えば、株式への投資比率が40%で、その他事業(有価証券またはデリバティブ取引に係る権利に投資しないもの)に係る資産への投資比率が60%であればこれに該当します。但し、いわゆる「事業投資」と称して、第三者に資金を投資する行為は、当該出資権利の持分が集団投資スキームに該当する可能性があり、有価証券への投資事業に該当する可能性がありますので注意が必要です。

運用が主として有価証券またはデリバティブ取引に係る権利の場合

※有価証券またはデリバティブ取引に係る権利に投資する比率が運用財産の 50%超の場合

・同一の適格機関投資家等特例業務届出者が同一の出資対象事業に投資する場合は、6か月の期間の通算規定に関わらず特例業務対象投資家の総数は49名を超えることは出来ません。

・同一の適格機関投資家等特例業務届出者が別の出資対象事業を行う場合は、出資対象事業ごとに1名以上の適格機関投資家及び49名以下の特例業務対象投資家を集めて、運用することが出来ます。

出資対象事業が同一であるかの判定には、法令上厳密な定義がなく、具体的な案件ベースで検討する必要があります。例えば、ドル円ファンドとユーロドルファンドは同一の出資対象事業と見なされる可能性がありますが、株式ファンドとFXファンドは別物と見なすことは出来ると解釈する事は無理がないと解されます。 以下のように、出資対象が主として有価証券やデリバティブ取引に係る権利であるとしても、明確に異なる種類のものであれば問題なく複数のファンドを運営する事が出来ます。

スキームの応用

同一運営者が同一の出資対象事業で運用するケースで、6か月通算規定を用いて新たに49名の特例業務対象投資家投資家を集めることが出来るのは、出資対象事業が主として有価証券やデリバティブ取引に係る権利で運用するもの以外のときです。つまり、有価証券やデリバティブ取引に係る権利への投資比率が50%未満であれば、いわゆる「事業型ファンド」扱いになり、金融商品取引法の自己運用の規制対象から外れます。

また、投資運用業者に運用を委託すれば、自社では運用を行っていないとみなされますので、外部の投資運用業者と投資一任契約を締結して運用を委託する事で以下のようなスキームを組むことも可能です。

さらに、貸付や金銭債権への投資という形を取れば、金融商品取引法の定める有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に投資を行う出資対象事業に該当しませんので、以下のようなスキームを組むことも出来ます。ただし、貸付を反復継続意思をもって行う場合は、貸金業法の適用外であるグループ貸付等に該当する場合を除き、原則として貸金業に該当し、貸金業登録が必要ですので注意が必要です。

ファンドオブファンズ(二層構造)の制限

特例業務対象投資家が49名に制限されることから、一般投資家を適格機関投資家等特例業務を行うファンドに間接出資させる何らかの方法はないかと聞かれることがありますが、適格機関投資家等特例業務の制度は、そうした脱法的な手法を用いることができないよう、精密な設計がなされており、特例業務対象投資家に該当しない一般投資家に対して間接投資をさせることは困難であると解されています。

金融商品取引法第63条第1項では、以下の者が出資をしている場合には、適格機関投資家等特例業務の要件を満たさないとしています。

  • イ その発行する資産対応証券(資産の流動化に関する法律第二条第十一項に規定する資産対応証券をいう。)を適格機関投資家以外の者が取得している特定目的会社(同条第三項に規定する特定目的会社をいう。)
  • ロ 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に対する投資事業に係る匿名組合契約(商法第五百三十五条に規定する匿名組合契約をいう。)で、適格機関投資家以外の者を匿名組合員とするものの営業者又は営業者になろうとする者
  • ハ イ又はロに掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者

「イ又はロに掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者」は、金融商品取引業等に関する内閣府令235条に定められています。同条第1号では「適格機関投資家以外が出資しているSPC」が掲げられており、上記同イの特定目的会社及び同ロの匿名組合とあわせて、適格機関投資家以外の者が出資している場合に、直ちに適格機関投資家等特例業務の要件を満たさなくなるヴィークルです。

上記以外にも金融商品取引業等に関する内閣府令235条では、適格機関投資家以外が出資している集団投資スキーム型ファンド(第2号)から出資を受ける場合、原則として適格機関投資家等特例業務の要件を満たさなくなるとされています。

しかし、こちらには、例外として、LPS又はLLPで親子ファンド人数合算して適格機関投資家以外の人数が49名以下の場合(第2号イ(1))、投資運用業者が運用している場合(第2号イ(2))、親子ファンドの運用者が同一で親子の人数合算して適格機関投資家以外の人数が49名以下の場合(第2号ロ)は、適格機関投資家等特例業務として許容されると定められています。

一 その発行する法第二条第一項第五号、第九号若しくは第十五号に掲げる有価証券若しくは同項第十七号に掲げる有価証券(同項第五号、第九号又は第十五号に掲げる有価証券の性質を有するものに限る。)に表示される権利又は同条第二項第三号若しくは第四号に掲げる権利(その取得の対価の額を超えて財産の給付を受けることがないことを内容とする権利を除く。)を適格機関投資家以外の者が取得している特別目的会社
二 法第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に対する投資事業に係る契約その他の法律行為(当該契約その他の法律行為に基づく権利が同項第五号又は第六号に掲げる権利に該当するものに限る。)で適格機関投資家以外の者を相手方とするもの(次に掲げるものを除く。)に基づき当該相手方から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産を充てて当該投資事業を行い、又は行おうとする者
イ 次に掲げる数の合計数が四十九以下である場合における当該投資事業に係る投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約(これらに類する外国の法令に基づく契約を含む。(2)において同じ。)
(1) 当該投資事業として出資又は拠出された金銭その他の財産を充てて行う出資対象事業に係る契約その他の法律行為に基づく権利を有する適格機関投資家以外の者(当該投資事業を行い、又は行おうとする者を除く。)の数
(2) 当該投資事業に係る投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約(当該投資事業を行い、又は行おうとする者が金融商品取引業者等(投資運用業を行う者に限る。)であるものを除く。)に基づく権利を有する適格機関投資家以外の者の数
ロ 当該投資事業を行い、又は行おうとする者と当該投資事業として出資又は拠出をされた金銭その他の財産を充てて出資対象事業を行い、又は行おうとする者とが同一であり、かつ、次に掲げる数の合計が四十九以下である場合における当該投資事業に係る契約その他の法律行為
(1) 当該出資対象事業に係る契約その他の法律行為に基づく権利を有する適格機関投資家以外の者(当該投資事業を行い、又は行おうとする者を除く。)の数
(2) 当該投資事業に係る契約その他の法律行為に基づく権利を有する適格機関投資家以外の者の数

金融商品取引業等に関する内閣府令

以上に、いくつかのスキーム及び計算方法の例について簡単に説明しましたが、依頼者様の事業内容によって組むべきスキームや、注意が必要な点も変わってきます。もし、何かご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。

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