行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

金融商品取引業の人材の採用

当事務所グループは、厚生労働省より有料職業紹介事業許可を受けています。
金融商品取引業者等の人材採用サポートをワンストップで支援できます。
(トーラス・IHMアドバイザリー(株) 有料職業紹介事業13-ユ-313955)。

このページの目次
金融商品取引業と採用の基礎知識:参入における人材採用の重要性正しいスタートで無駄を削減ハードルの低い例ハードルの高い例どんな人材が必要なのか各業態における登録要件要件は監督指針に書いてある採用判断の支援考えなしに採用すると危険よくある失敗例どうやって採用すればいいのか
金融商品取引業の人材採用に関するよくある質問:必須資格昔の職務経験名義貸し内部監査担当者と監査役の兼務


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金融商品取引業への参入における人材採用の重要性

第二種金融商品取引業投資助言・代理業をはじめとする金融商品取引業の登録拒否要件として、「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」が定められいます。

そのため、新規の金融商品取引業の登録や、金融商品取引業の登録の維持には、過去に銀行や証券等の金融機関で働いたことのある「職務経験者」の確保が必要になります。とはいえ、「職務経験者」とは何のことか、どんな資格が必要なのか、何年以上勤務したことが必要なのかなど、採用する側の立場では、疑問は尽きることはありません。お悩みの場合には、是非気軽にお電話、メールでコンタクトしてください。

金融商品取引業登録に求められる経験者は、例えば金融商品取引業者や銀行に3年務めた方であれば誰でもいいという単純な話ではありません。業態、企業規模、全体構成を踏まえた極めて複雑な読みが要求されます。

これに対して的確な答えを持っているのは、日々膨大な登録申請実務を経験している専門家だけです。

正しいスタートで無駄を削減

職務経験者を採用するにあたっては、登録を受けたい業務種別に応じて、どのようなキャリアの方が何人必要なのか、具体的に検討する必要があります。

これをきちんとやらないと、的外れな採用をしてしまう危険が大いにあります。

実際に、専門家に相談せずに採用を進めてから、当事務所に登録手続きに関するご相談に来る方がいらっしゃいますが、これは時間と費用を無駄にする恐れがあり、お勧めできません。

当事務所では、行政書士事務所としての手続きや、有料職業紹介事業許可事業者としての人材紹介を前提としない「採用に関するアドバイス」のみの業務も承っております。行政手続代行や人材紹介を依頼しない、純粋なアドバイス希望だけでも歓迎ですので、是非お気軽にご相談ください。

ハードルの低い例

登録にあたり、業務を主導する役員や主要株主の方が、かつて、銀行や証券会社等の金融機関で働いていた経験を有するのであれば、そのハードルは比較的低いものになります。

それは、自分自身も経験者の1名にカウントできることはもちろん、以前の職場の知り合い等を集めることにより、比較的容易に人的構成を満たすことのできる人員を集めることができるからです。

そのため、比較的省コストで金融商品取引業を登録できる事業者は、経営者自身もシニアな金融商品取引業の経験者であることが一般的です。

ハードルの高い例

銀行・証券等の金融商品取引業で働いたことのない方を主体とする事業会社や不動産会社等の場合には、社内に金融分野での職務経歴がある人員を確保することが容易ではありません。

また、東京大阪以外の地方都市では、職務経験者を集めるのは容易ではありません。地方都市では、職務経験者は、地元地銀のOB、地場証券のOB及び東京等の大都市部からの移住者等に限られ、候補者が人数的に非常に少ないためです。

いずれにせよ、第二種金融商品取引業投資助言・代理業をはじめとした金融商品取引業者の登録のためには、金融の職務経歴を有する方を確保することが絶対に必要であり、人を確保できるかどうかは、ダイレクトに金融商品取引業への参入の可否を分ける決定的問題です。

近年では、新型コロナウイルスの感染拡大によりリモートワークによる遠隔地勤務が以前よりも認められやすくなっています。しかし、代表者、営業部長、コンプライアンス部長等の枢要な役職者が本店から遠く離れた遠隔地在住であるという状況は、やはり当局から認められにくいのは事実です。

どんな人材が必要なのか

職務経験者を採用するにあたっては、登録を受けたい業務種別に応じて、どのようなキャリアの方が必要なのか検討する必要があります。

金融庁は、人的構成の具体的な基準を、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針に示しています。例えば、第一種金融商品取引業の項目のIV-4-1 登録では、以下のように書かれています。

イ. 経営者が、その経歴及び能力等に照らして、金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。
ロ. 常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。
ハ. 常勤役職員の中に、その行おうとする第一種金融商品取引業の業務を3年以上経験した者が複数確保されていること。
ニ. 行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。(特に元引受け業務を行う際には当該業務を公正かつ的確に遂行することができる態勢・人員を確保すること。)
ホ. 営業部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として知識及び経験を有する者が確保されていること。

金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針より引用

これを読んだだけで、具体的にどんな人が必要なのかわかるかといえば、それは無理でしょう。

実務的な勘所としては、例えば、「小規模な新規第一種金融商品取引業の登録であれば社長が金融商品取引業務の職務経験を有することはほぼ必須」「コンプライアンスはコンプラ畑で相当キャリアを積んだ人でないと通らない。」「その行おうとする第一種金融商品取引業の業務の解釈に関して、例えば証券会社の株式業務を有していても、外国為替証拠金取引業務の登録審査上は、経験とは見られない(但し「ハ」以外の項目では経験者と見られる余地はある)が、銀行の外国為替業務であれば準ずるものとして認められる余地がある」といったことが挙げられます。

また、第一種金融商品取引業では上記の「行おうとする第一種金融商品取引業の業務を3年以上経験した者が複数確保」の要件から、当該業務の経験者を少なくとも2名以上揃える必要があります。

各業態における登録要件

これに対して、第一種金融商品取引業者以外にはこの「3年」「複数」要件は定められていませんが、総じて3年が経験年数の目安と見られているほか、業態毎に特有の要請があります。

例えば、投資運用業であれば「 権利者のために資産運用を行う者として、運用を行う資産に関する知識及び経験を有する者が確保されていること」が必要であり、投資助言・代理業であれば「有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の助言を行う者として、有価証券や金融商品の価値等に関する知識及び経験を有する者が確保されていること。」が要件です。

また、投資運用業者では実務上、原則的に投資運用業者のコンプライアンス経験者が必要で、適格投資家向け投資運用業以外では、運用部門での投資判断を行う部門と注文を発注する部門を分離する必要があります。

さらに、適格投資家向け投資運用業では、「金融商品取引業に関し、少なくとも1年以上、法令等を遵守させるための指導に関する業務に従事していた者」というコンプライアンス担当者の要件があります。

これ以外にも、業態に応じて登録に必要な人員は相当に異なります。こうした複雑な要件を正確に読み解いて、必要な人的構成を特定して採用を進める必要があります。

要件は監督指針に書いてある

こうしたことは長年金融商品取引業の登録手続きに関わってきた人間以外にはわかるはずがありません。

さらに、一口に金融商品取引業の登録といっても、投資助言・代理業の登録では、必要になるのは最低2,3人程度(場合によっては1名でも可能)である一方で、第二種金融商品取引業では4名程度、投資運用業第一種金融商品取引業の登録では通常は5人からと、登録にあたって必要な人数には幅があります。また、業態や業務内容により必要になる人材のキャリアや人物像も異なってきます。

採用判断の支援

そうした条件を満たす適任者を、知り合いの伝手やハローワーク等の求人で見つけるのは極めて難しいものがあります。また、実際に求職者のキャリアが本当に条件を満たしているかは、専門家でないと判断がつきません。

実際、過去にある部署の責任者に応募があった求職者のキャリアが、当局の求める経歴に合致しているかといった論点に関して、大手金融機関の関連会社から相談を受けたことがありましたが、内容的に当落線上にあり極めて微妙だったため、当局OBの弁護士や同社のコンプライアンス部門と協議して検討したことがあります。

求職者のキャリアが必要な条件を満たしているのかという判断は、大手金融機関や専門家でも即断できないくらい難しいことであり、金融商品取引業の経験がない事業会社が単独でこれを行うのは至難の業といえます。

その点、当社は、有料職業紹介事業許可事業者として、実際の人材の紹介を行うことができるのに加え、その人材が本当に金融庁、財務局の求める条件を満たすことができるかの行政手続上の予想判断をすることができます。

さらには、金融商品取引業専業では国内有数の行政書士グループである当社の知識と経験を活かして、候補者が金融マンとして本当に能力が高いのかの見極めや、業界での評判に関する情報収集に至るまで、いわば依頼者様のための「情報機関」としてフルでお役に立ちます。

考えなしに採用すると危険

金融商品取引業の登録に向けて、深い考えなしに正社員に採用すると、いわゆる整理解雇四要件が適用されます。いったん採用すれば、正社員は容易に解雇することができないのです。また、役員もいったん選任すれば任期完了までの間で中途退任させるには解任する必要があり、同じく容易ではありません。

また、言葉巧みな求職者に乗せられて採用したものの、実際に採用して財務局に対する登録手続きを進めると、実際に金融商品取引業の登録に求められる人材とは全然違った、又は、全然使い物にならなかったという事態は、採用する側が事業会社であるケースを中心に非常によく生じます。

事業会社にとって、金融マンは異世界の人間であり、人物、キャリアに関して正確な評価ができないのは当たり前といえます。その点、当事務所では、相手方の専門知識やキャリアに、十分比肩匹敵しうる専門性とキャリアを背景に、御社の立場に立って「悪い意味で丸め込まれないように」採用戦略をアドバイスすることが可能です。

「金融商品取引業の登録が手詰まり状況になって、退職させようにも多額の退職金を要求される」といった状況にならないよう、是非、事前に経験豊富な専門家を選任してください。

よくある失敗例

例えば「不動産ファンドを始めたいので第二種金融商品取引業を取りたい」「経験者として地銀のOBを1名確保している」といった宅建業者からのご相談がよくあります。これに対しては、「第二種金融商品取引業だけでは不動産ファンドはできない」「経験者1名では登録できない」「不動産ファンド業態と地銀の業務には差異が大きく人的構成上の経験者としては不十分」といった問題が挙げられます。

とりわけ令和に入ってからは、銀行、信金等の登録金融機関業務での経験だけでは、金融商品取引業者における営業又はコンプライアンス担当者の登録要件上の知識経験を有する者とは認められにくくなっています。

こうした場合の正解は、はじめに不動産関連の投資運用業者の運用経験者又はコンプライアンス経験者1名を採用し、その方を中心に他部署の採用も進めて4、5人の態勢を確保して、第二種金融商品取引業及び投資運用業登録をすることです。

事前調査を十分せず的外れな人を採用した後、登録ハードルをクリアすることができないと判明したら、採用された人にとっても迷惑そのものでしょう。

とくに第二種金融商品取引業、投資運用業、第一種金融商品取引業等の「重い業態」では、株主や経営者自らが、金融商品取引業又は登録金融機関業務のプロフェッショナルである場合や、母体企業が相応の大企業である場合を除き、門外漢の中小事業会社が、縁故等で費用をかけずに、中途半端な人材を採用して登録申請や買収に臨んだ例で、手続きが上手くいった例を殆ど見ないように感じます。

どうやって採用すればいいのか

コロナ禍の中でも、金融分野における人材の採用難は解消しておらず、引き続き求人側にとって厳しい社会情勢が継続しています。

また、金融分野は総じて年収水準が高く、一般に事業会社や中小企業にとって、求職者が満足する十分な待遇を提供することも容易ではありません。

こうした状況では、口コミ、知り合いの採用も限界があります。

また、大手の人材紹介会社は、中小規模の金融商品取引業者や、新規参入する事業者に関するコンサルティングに十分なノウハウもなければ、どういった人材が必要なのかという実践的なアドバイスをすることもできません。これはある意味当然であり、金融商品取引業登録にあたり必要な人材を特定できるということは、金融商品取引業登録のプロセスや要件を知り尽くしているということに他なりません。

私共のように金融商品取引業の登録に特化した、全国でも片手に足らぬであろう専門家以外が、「誰を採用すればいいのか」という疑問に、正しい答えを持っているわけはありません。

そもそも、自社の金融商品取引業の登録のために必要な人材を特定すること自体、容易ではないのです。

具体的な業務内容を勘案して必要になる人材像を具体的に提案できる専門家が必要になります。その点、金融商品取引業の人材採用に関して、当グループは他の人材紹介事業者とはレベル的に圧倒的に隔絶した知識経験面での優位があると考えています。

金融商品取引業の人材採用に関するよくある質問

証券外務員資格や内部管理責任者資格など必須になる資格はありますか?

金融商品取引業登録における人的構成の審査は、基本的に職歴ベースの審査であり、特定の資格が必須になったり、逆に特定の資格さえあればクリアできるというものではありません。ただし、例えば、証券業を行うことを予定している場合には、営業部門には証券外務員資格者が必要になりますし、内部管理責任者資格者の配置も必要になります。外国為替証拠金取引であれば、営業部門には金融先物外務員資格者が必要になりますし、同じく内部管理責任者の配置も必要になります。

不動産信託受益権の媒介業務を行う第二種金融商品取引業の登録の際にも、多くの場合には宅地建物取引士資格者が必要になります(例外あり)。さらに、投資助言・代理業の判断・分析者の就任は、金融商品取引業に関する職務経歴がなくても証券外務員資格があれば可能であると金融庁が過去にパブリックコメント回答しています。ただし、常勤役員に職務経験者が求められるので、要件もあるので常勤での職務経験者ゼロでの登録は不可能です。

いずれにせよ、総じて第二種金融商品取引業、投資運用業及び投資助言・代理業の人的構成の審査にあたっては、資格よりは実際の職務経験が占める割合のほうがずっと大きいです。

候補者が金融機関で勤務していた時期が●年前と昔です。経験者にカウント可能でしょうか。

絶対的な基準はありませんが、例えば「昭和50年まで働いていました」といった、あまりに昔過ぎる経験では認められにくい面があります。また、過去に在籍していた総年数も関わってきます。例えば、20年前に辞めているものの、そこまで証券会社に勤続30年であったということであれば、部署により経験者として認められる余地が出てきます。

退職時期が平成19年の金融商品取引法施行以前か以後かでも、大きな差があります。また、銀行出身の場合には、退職時期が金融ビッグバンによる投信窓販をはじめとする銀証分離の緩和以前か以後かも、判断に影響してきます。

また、近年の審査では銀行での職歴は特にフロント業務では経験者と認められにくくなる傾向があります。これらの要素と就任予定部署の業務内容を総合的に検討して判断する必要があります。

ちなみに、過去に当事務所の取扱いした案件で、経験者として財務局に認められた方の、最も過去に遡った直近の証券会社への勤務時期は1997年です。

知り合いで協力してくれる人がいるが、そうした知り合いに謝礼を払うことで要件を満たすことは可能でしょうか。

金融商品取引業の登録審査は、名義上の常勤者を数名連れてくれば、誤魔化せるような甘いものではありません。実際には金融商品取引業者又は登録金融機関のOBの常勤での勤務実態がないにもかかわらず、名義だけ借りてきても、財務局に雰囲気で必ず見破られますので、登録は不可能です。

もっとも、代表やコンプライアンス等のコアになる人材にきちんとした経験と勤務実態があれば、内部監査や審査等の業務担当者は、非常勤や、常勤であっても比較的緩い勤務形態であっても登録が認められる場合があります。

こうした、ポジションごとの緩急や、どの程度まで認められるかの判断は、日々登録審査の実務に携わっている専門家以外にはアドバイス不可能だと思います。是非お気軽にお問い合わせください。

コンプライアンス担当者と内部監査担当者の兼務は可能でしょうか。

投資助言・代理業では業態次第で可能。第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業及び投資運用業では不可能です。

内部監査担当者と監査役は兼務可能でしょうか。

この議論は、委員会等設置会社以外では、原則的監査役の設置義務がある第一種金融商品取引業者と投資運用業者では、スコラ哲学のように、延々と続いているテーマです。

一部の事業者ではこれが認められて金融商品取引業者として登録されている例があります。また、金融庁の公表している投資運用業等 登録手続ガイドブックでも、監査役と内部監査担当が兼任している適格投資家向け投資運用業者の事例(監査役(内部監査担当者を兼務))が掲載されています。

しかし、監査理論の三様監査や、監査役が使用人たる内部監査担当者を会社法上兼務しうるのかという問題があります。

会社法第335条第2項は「監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。」と定めています。

そのため、内部監査担当者と監査役を兼務で登録申請を行おうとすると経験では7~8割の確率で財務局から上記の法令違反の指摘が入り、両者の分離が求められます。

とはいえ、上記のように実務上の取扱いは揺れており、例外的に許容される例も散見します。そのことが実務を混乱させています。当事務所では、三様監査の理論に基づき内部監査担当者と監査役の分離は必要であるとの立場を採っています。それが登録審査の実務上のマジョリティーでもあります。

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