金融商品取引業の人材の採用

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金融商品取引業への参入における人材採用の重要性どんな人材が必要なのか正しいスタートで無駄を削減考えなしに採用すると危険どうやって採用すればいいのか当事務所の人材採用支援サービス

金融商品取引業への参入における人材採用の重要性

第二種金融商品取引業投資助言・代理業をはじめとする金融商品取引業の登録拒否要件として、「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」が定められいます。

そのため、新規の金融商品取引業の登録や、金融商品取引業の登録の維持には、過去に銀行や証券等の金融機関で働いたことのある職務経験者の確保が必要になります。

ハードルの低い例

登録にあたり、業務を主導する役員や主要株主の方が、かつて、銀行や証券会社等の金融機関で働いていた経験を有するのであれば、そのハードルは比較的低いものになります。

それは、自分自身も経験者の1名にカウントできることはもちろん、以前の職場の知り合い等を集めることにより、比較的容易に人的構成を満たすことのできる人員を集めることができるからです。

ハードルの高い例

銀行・証券等の金融商品取引業で働いたことのない方を主体とする事業会社や不動産会社等の場合には、社内に金融分野での職務経歴がある人員を確保することが容易ではありません。

また、東京大阪を除く地方都市では、職務経験者を集めるのは容易ではありません。地方都市では、職務経験者は、地元地銀のOB、地場証券のOB及び東京等の大都市部からの移住者等に限られ、候補者が人数的に非常に少ないためです。

いずれにせよ、第二種金融商品取引業投資助言・代理業をはじめとした金融商品取引業者の登録のためには、金融の職務経歴を有する方を確保することが絶対に必要であり、人を確保できるかどうかは、ダイレクトに金融商品取引業への参入の可否を分ける決定的問題です。

どんな人材が必要なのか

職務経験者を採用するにあたっては、登録を受けたい業務種別に応じて、どのようなキャリアの方が必要なのか検討する必要があります。

金融庁は、人的構成の具体的な基準を、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針に示しています。例えば、第一種金融商品取引業の項目のIV-4-1 登録では、以下のように書かれています。

イ. 経営者が、その経歴及び能力等に照らして、金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。
ロ. 常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。
ハ. 常勤役職員の中に、その行おうとする第一種金融商品取引業の業務を3年以上経験した者が複数確保されていること。
ニ. 行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。(特に元引受け業務を行う際には当該業務を公正かつ的確に遂行することができる態勢・人員を確保すること。)
ホ. 営業部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として知識及び経験を有する者が確保されていること。

金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針より引用

これを読んだだけで、具体的にどんな人が必要なのかわかるかといえば、それは無理でしょう。

実務的な勘所としては、例えば、「小規模な新規第一種金融商品取引業の登録であれば社長が金融商品取引業務の職務経験を有することはほぼ必須」「コンプライアンスはコンプラ畑で相当キャリアを積んだ人でないと通らない。」「その行おうとする第一種金融商品取引業の業務の解釈に関して、例えば証券会社の株式業務を有していても、外国為替証拠金取引業務の登録審査上は、経験とは見られない(但し「ハ」以外の項目では経験者と見られる余地はある)が、銀行の外国為替業務であれば準ずるものとして認められる余地がある」といったことが挙げられます。

監督指針を読み解く難しさ

こうしたことは長年金融商品取引業の登録手続きに関わってきた人間以外にはわかるはずがありません。

さらに、一口に金融商品取引業の登録といっても、投資助言・代理業の登録では、必要になるのは最低2,3人程度(場合によっては1名でも可能)である一方で、第二種金融商品取引業では4名程度、投資運用業第一種金融商品取引業の登録では通常は5人からと、登録にあたって必要な人数には幅があります。また、業態や業務内容により必要になる人材のキャリアや人物像も異なってきます。

そもそも、自社の金融商品取引業の登録のために必要な人材を特定すること自体、容易ではないのです。具体的な業務内容を勘案して必要になる人材像を具体的に提案できる専門家が必要になります。

正しいスタートで無駄を削減

職務経験者を採用するにあたっては、登録を受けたい業務種別に応じて、どのようなキャリアの方が何人必要なのか検討する必要があります。

専門家に相談せずに採用を進めてから、当事務所に登録手続きに関するご相談に来る方がいらっしゃいますが、これは時間と費用を無駄にする恐れがあり、お勧めできません。当事務所では、採用に関するアドバイスのみの業務も承っておりますので、是非お気軽にご相談ください。

よくある失敗例

例えば「不動産ファンドを始めたいので第二種金融商品取引業を取りたい」「経験者として地銀のOBを1名確保している」といった宅建業者からのご相談がよくあります。これに対しては、「第二種金融商品取引業だけでは不動産ファンドはできない」「経験者1名では登録できない」「不動産ファンド業態と地銀の業務には差異が大きく人的構成上の経験者としては不十分な可能性がある」といった問題が挙げられます。

こうした場合の正解は、はじめに不動産関連の投資運用業者の運用経験者又はコンプライアンス経験者1名を採用し、その方を中心に他部署の採用も進めて4、5人の態勢を確保して、第二種金融商品取引業及び投資運用業登録をすることです。

事前調査を十分せず的外れな人を採用した後、登録ハードルをクリアすることができないと判明したら、採用された人にとっても迷惑そのものでしょう。

判断の難しさ

そうした条件を満たす適任者を、知り合いの伝手やハローワーク等の求人で見つけるのは極めて難しいものがあります。また、実際に求職者のキャリアが本当に条件を満たしているかは、専門家でないと判断がつきません。

実際、過去にある部署の責任者に応募があった求職者のキャリアが、当局の求める経歴に合致しているかといった論点に関して、大手金融機関の関連会社から相談を受けたことがありましたが、内容的に当落線上にあり極めて微妙だったため、当局OBの弁護士や同社のコンプライアンス部門と協議して検討したことがあります。

求職者のキャリアが必要な条件を満たしているのかという判断は、大手金融機関や専門家でも即断できないくらい難しいことであり、金融商品取引業の経験がない事業会社が単独でこれを行うのは至難の業といえます。

考えなしに採用すると危険

金融商品取引業の登録に向けて、深い考えなしに正社員に採用すると、いわゆる整理解雇四要件が適用されます。いったん採用すれば、正社員は容易に解雇することができないのです。また、役員もいったん選任すれば任期完了までの間で中途退任させるには解任する必要があり、同じく容易ではありません。

また、言葉巧みな求職者に乗せられて採用したものの、実際に採用して財務局に対する登録手続きを進めると、実際に金融商品取引業の登録に求められる人材とは全然違った、又は、全然使い物にならなかったという事態は、採用する側が事業会社であるケースを中心に非常によく生じます。

事業会社にとって、金融マンは異世界の人間であり、人物、キャリアに関して正確な評価ができないのは当たり前といえます。その点、当事務所では、相手方の専門知識やキャリアに、十分比肩匹敵しうる専門性とキャリアを背景に、御社の立場に立って「悪い意味で丸め込まれないように」採用戦略をアドバイスすることが可能です。

「金融商品取引業の登録が手詰まり状況になって、退職させようにも多額の退職金を要求される」といった状況にならないよう、是非、事前に経験豊富な専門家を選任してください。

どうやって採用すればいいのか

コロナ禍の中でも、金融分野における人材の採用難は解消しておらず、引き続き求人側にとって厳しい社会情勢が継続しています。

また、金融分野は総じて年収水準が高く、一般に事業会社や中小企業にとって、求職者が満足する十分な待遇を提供することも容易ではありません。

こうした状況では、口コミ、知り合いの採用も限界があります。

また、大手の人材紹介会社は、中小規模の金融商品取引業者や、新規参入する事業者に関するコンサルティングに十分なノウハウもなければ、どういった人材が必要なのかという実践的なアドバイスをすることもできません。これはある意味当然であり、金融商品取引業登録にあたり必要な人材を特定できるということは、金融商品取引業登録のプロセスや要件を知り尽くしているということに他なりません。

私共のように金融商品取引業の登録に特化した、全国でも片手に足らぬであろう専門家以外が、「誰を採用すればいいのか」という疑問に、正しい答えを持っているわけはありません。

登録業務は、他の行政書士事務所・法律事務所等の他の専門家にご依頼している方も、人材の採用コンサルティングに関しては、是非当事務所にお任せください。

当事務所の人材採用支援サービス

当事務所では、外部の人材紹介業者と連携して、金融商品取引業を行う上での人材採用の支援をしております。金融商品取引業の登録を希望される方は、是非ともお気軽にご相談ください。御社の予算にあった採用戦略や、金融商品取引業の登録を、最低限の人材の採用予算で実現するための戦略をご提案します。

アドバイス料 1時間2万円及び消費税

※当事務所の支援内容は、金融商品取引業の登録に際しての人的構成に係る充足性に係る助言(行政手続に関する助言)となります。職業紹介事業は行いません。

※当事務所に金融商品取引業登録申請代行又は支援業務をご依頼予定の場合には、アドバイス料はいただきません。

金融商品取引業の人材採用に関するよくある質問

証券外務員資格や内部管理責任者資格など必須になる資格はありますか?

金融商品取引業登録における人的構成の審査は、基本的に職歴ベースの審査であり、特定の資格が必須になったり、逆に特定の資格さえあればクリアできるというものではありません。ただし、例えば、証券業を行うことを予定している場合には、営業部門には証券外務員資格者が必要になりますし、内部管理責任者資格者の配置も必要になります。外国為替証拠金取引であれば、営業部門には金融先物外務員資格者が必要になりますし、同じく内部管理責任者の配置も必要になります。

不動産信託受益権の媒介業務を行う第二種金融商品取引業の登録の際にも、多くの場合には宅地建物取引士資格者が必要になります(例外あり)。さらに、投資助言・代理業の判断・分析者の就任は、金融商品取引業に関する職務経歴がなくても証券外務員資格があれば可能であると金融庁が過去にパブリックコメント回答しています。ただし、常勤役員に職務経験者が求められるので、要件もあるので常勤での職務経験者ゼロでの登録は不可能です。

いずれにせよ、総じて第二種金融商品取引業、投資運用業及び投資助言・代理業の人的構成の審査にあたっては、資格よりは実際の職務経験が占める割合のほうがずっと大きいです。

候補者が金融機関で勤務していた時期が●年前と昔です。経験者にカウント可能でしょうか。

絶対的な基準はありませんが、例えば「昭和50年まで働いていました」といった、あまりに昔過ぎる経験では認められにくい面があります。また、過去に在籍していた総年数も関わってきます。例えば、20年前に辞めているものの、そこまで証券会社に勤続30年であったということであれば、部署により経験者として認められる余地が出てきます。

退職時期が平成19年の金融商品取引法施行以前か以後かでも、大きな差があります。また、銀行出身の場合には、退職時期が金融ビッグバンによる投信窓販をはじめとする銀証分離の緩和以前か以後かも、判断に影響してきます。これらの要素と就任予定部署の業務内容を総合的に検討して判断する必要があります。

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