行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

投資助言・代理業に登録する

投資助言・代理業に登録する

このページの目次
投資助言・代理業(投資顧問業)登録までの手続き支援投資助言・代理業登録をするための要件投資助言・代理業に関するよくある質問投資助言・代理業登録までの流れ

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投資助言・代理業(投資顧問業)登録までの手続き支援

当事務所は、投資助言・代理業に登録して新たに投資顧問を開業したいとお考えの方や、既にご登録済みの方を対象に、登録のお手伝いや、手続き面での運営支援をさせて頂いております。当事務所は、証券・金融関連業務の専業事務所として、長年の多数の経験に基づく行政手続のノウハウを有しております。

投資助言・代理業は、金融商品取引法第2条第8項第11号に掲げる投資助言業務及び同第13号に掲げる投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介業務から成り立っています。とはいえ、実務上は投資助言・代理業の登録のうち、9割以上は投資助言業務を行うものとして金融商品取引業登録を受けているものと思われます。

当事務所は、投資助言・代理業を含む、「金融商品取引業」の登録に関し、概ね全国新規登録のうち5%~10%程度の割合を取扱っています。また顧問契約をしている事業者様も数十社を数えます。多数の事例に基づく経験を踏まえた実効的なアドバイスが可能です。

規制範囲の拡大

投資助言業務は、旧法では投資顧問業(助言)に位置付けられていました。平成19年9月30日の金融商品取引法施行に伴い、投資助言・代理業に名称が変更された歴史的経緯があります。かつて、投資顧問業は株式などの一般的な有価証券のみを対象とする登録制度でしたが、法令の改正に伴い、その規制範囲が広がっています。

金融商品取引法の規制下では、株式・債券、投資信託などの一般的な有価証券(一項有価証券)だけでなく、不動産ファンドの匿名組合出資持分や不動産信託受益権など(二項有価証券)も「金融商品取引法上の有価証券」として扱われています。そのため、これらの取得や処分の助言業務(有価証券の価値等の助言)を行う場合は、投資助言・代理業の登録が必要です。

また、日経平均先物取引やFX・証券CFD取引、暗号資産FX、一部商品先物などの、デリバティブ取引の助言業務(金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の助言)に関しても、同じく規制の対象であり、投資助言・代理業の登録が必要になります。

暗号資産に規制が及ぶか

暗号資産FXについては、令和元年(2019年)の金融商品取引法・資金決済法改正により、金融商品取引法の規制対象範囲が暗号資産関連デリバティブ取引まで拡大されるとともに、もともと有価証券への該当性のあった一部の仮想通貨(電子記録移転有価証券表示権利等及び電子記録移転権利。いわゆるセキュリティートークン)も、金融商品取引法上の位置づけがはっきりとしました。

そのため、同法が施行された令和2年(2020年)からは、これらに関する投資助言業務も、登録を要する「投資助言・代理業」と位置付けられています。

ただし、引き続きビットコインやイーサリアム等の仮想通貨(暗号資産)の現物に関する投資助言業務は、登録を要せず行うことができます。ただし、令和5年の改正でステーブルコインデリバティブ取引を新たに規制に組み込み、暗号資産関連デリバティブ取引は、暗号資産等関連デリバティブ取引となっています。

こうしたデリバティブ取引(仮想通貨FX)と、現物取引、なかでも現物の信用取引は、ショートポジションの可否を除き、実質的には同じ取引といえます。そのため、両者の違いを特定することは非常に難しく、令和4年現在、暗号資産の無登録投資顧問業者が、金融商品取引業の無登録営業として警告された例は見たことがありません。

商品先物取引に規制が及ぶか

総合取引所構想により、近年、一部の商品先物取引が、商品関連市場デリバティブ取引として金融商品取引法に取り込まれたことから、金融商品取引所に上場されている商品先物取引の銘柄の価値や、それに係る金融指標の動向の分析に基づく投資判断の助言に関しても、投資助言・代理業や投資運用業の対象になっています。

一方で、商品CFDに関しては、商品を原資産とする差金決済取引が店頭デリバティブ取引の定義から除外されているため、投資助言・代理業の対象にはなりません。

但し、商品取引に関連する店頭デリバティブ取引全般が除外されているわけではなく、一定の商品デリバティブ取引は店頭取引であっても金融商品取引法の規制対象になりうる条文構造なので、注意が必要です。

当事務所は、証券・金融関連業務専門事務所として、日々投資助言・代理業を含む金融商品取引業全般の業務支援を行っております。そのため、事業者様に専門的なアドバイスが可能です。

FX、株式、日経平均先物などの助言を行う投資顧問会社を作りたい

シストレ・自動売買・ロボアドバイザー・オンラインサロンなどの技術を利用した事業を始めるため、投資顧問に登録したい

証券会社を独立して起業するにあたりまずは投資顧問に登録したい

第一種や第二種金商業の登録も考えているので、投資助言・代理業だけではなく金融ビジネス全般について色々と相談したい

登録後すぐに営業開始出来るように書面を整えて欲しい

柔軟に対応してくれるレスポンスの良い専門家を探している

 

上記のような需要があれば、是非ともお問い合わせ下さい。行政書士トーラス総合法務事務所は柔軟な対応と素早いレスポンスには定評のある事務所です。

合理的報酬における高品質の職務遂行を通じて、クライアント様の金融ビジネスを成功させるべく、最大限の努力とサポートをさせて頂きます。監督強化により金融商品取引業をめぐる情勢は、毎年大きく変化しています。ネット上の情報など、既に過去のものになってしまっている場合もありますのでまずはお気軽にご相談ください。

投資助言・代理業登録をするための要件

投資助言・代理業に登録するためにはいくつか満たさなければならない要件があります。「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」VII. 監督上の評価項目と諸手続(投資助言・代理業)の体制審査の項目では、以下のように記載されています。

イ.経営者が、その経歴及び能力等に照らして、金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。

ロ. 常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。

ハ. 有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の助言を行う者として、有価証券や金融商品の価値等に関する知識及び経験を有する者が確保されていること。

ニ. 行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員及び内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。

ホ. コンプライアンス担当者として知識及び経験を有する者が確保されていること。

ヘ.行おうとする業務について、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。
a. 帳簿書類・報告書等の作成、管理
b. ディスクロージャー
c. リスク管理
d. 電算システム管理
e. 顧客管理
f. 広告審査
g. 顧客情報管理
h. 苦情・トラブル処理
i. 内部監査

人的構成等

投資助言・代理業の登録には、代表者、コンプライアンス、内部監査で3名の金融経験者が必要と俗説で語られていますが、これは常に正しいわけではありません。

登録に必要な体制や人数は業態、業務規模、顧客層、当事者のキャリアにより変わってきます。以下、監督指針上の投資助言・代理業の人的構成に関する登録要件を見ていきましょう。

はじめに、「経営者が、その経歴及び能力等に照らして、金融商品取引業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。」の要件の関係では、代表者となる方の金融業界での職歴又はこれに準ずる経験知識とともに、経営管理の経験が求められます。

また続く、「常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。」との関係で、法人での登録の場合には、常勤役員には必ず1名以上、金融商品取引業者又は登録金融機関での職歴に基づく「プロ」といえるレベルの方を配置する必要があります。

さらに「有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の助言を行う者として、有価証券や金融商品の価値等に関する知識及び経験を有する者が確保されていること。」に関しては、投資助言者になる方の知識経験が問われます。職務経験や証券外務員等の保有資格を通じて業務に対する知識がしっかりしていれば問題はありません。

なお、「コンプライアンス担当者として知識及び経験を有する者が確保されていること。」の要件に関しては、社内で設置する場合には、金融商品取引業者又は登録金融機関での職務経歴と一定程度のコンプライアンス知識を有する担当者の設置が基本的に必要になります。

弁護士等への部分的な外部委託は認められていますが、知識のある担当者を置かない全面委託は不可と明示されています。

部分的な委託の場合も月額数万円程度の単なる「顧問契約」では不十分で、態勢面及び担当弁護士の知識面で、十分にコンプライアンス態勢を確保できるように構築しなければいけません。しっかりしたコンプライアンス担当者を設置することが、企業存続のために実質的にも必要な時代になっています。

必要な部署と配置

かつては、登録後に行おうとする業務が小規模で、そもそも多量の業務量を前提とした場合、きわめて高度な金融商品取引業の知識経験がある代表者であれば、コンプライアンス担当者を代表者が兼務することも認められる場合がありました。その場合は、1名でも登録できるとされていました。

しかし、令和6年現在では、法令・ガイドラインの改正等の手続き等を伴わない、運用変更による登録要件の引き上げにより、関東管内では1名での登録はほぼ不可能になっています。

前述のように、コンプライアンス業務は部分的な外部委託(補助・補佐を受けること)は可能ですが、その場合にもいずれにせよ銀行や証券等の金融商品取引業者での経験を有する者が必ず1名は社内に必要ですので、留意が必要です。つまり、金融商品取引業者及び登録金融機関での職務経歴者が1名もいない会社は、投資助言・代理業の登録をすることは絶対に不可能です。また、1名でも不可能に近づいています。

なお、ロボアドバイザー、システムトレード、自動売買、AI等のシステムを利用して投資助言・代理業を行おうとする場合には、上記に加えてシステムに関して知識経験を有するシステム担当者が必要になる可能性が高いです。システムが関連する業態に対しては、その保守管理体制やシステムの安定性に関して、当局も慎重に審査する傾向にあります。ただし、MT4を利用した自動売買等、必ずしも高度の知識を有するシステム担当者を置かなくとも問題がない場合もあります。

なお、システムトレードと投資助言・代理業の関係に関しては、こちらの記事でも詳しく説明しているので併せてご覧ください。

登録に必要な人数

前述のように、一般的には、投資助言・代理業の登録にあたっては、原則として、代表兼営業、コンプライアンス担当者、内部監査担当者の3名が必要であるといわれています。とはいえ、上記のようなシステムが関連する業務内容の場合には、システムに関する知識経験者が必要(但し代表兼営業とは兼務可)であったり、業態によっても必要な人数や知識経験も異なってきます。

顧客の数がさほど多人数にならないことが見込まれ、投資者保護上のリスクが比較的高くない業態では、コンプライアンス担当者と内部監査担当者の兼務や、内部監査担当者は弁護士等による外部監査に代える形で、代表兼営業、コンプライアンス兼内部監査担当者の2名体制で登録する例も見られます。

さらには、代表となる方が長年金融商品取引業者又は登録金融機関で職務を行ってきた経験豊富な方で、かつ行おうとする業務の内容も、機関投資家向けや、FP業務など、多人数を相手にせず、投資者保護上のリスクがとくに低めの業態では、役職員総数が1名の態勢でも、投資助言・代理業に登録する余地があります。

なお、1名体制での登録は、例えば一般投資家向けの銘柄配信、オンラインサロンサービスといった、比較的大人数を相手にする業態では難しいものと考えられます。

また、金融商品取引業での職務経験がない動画配信者等が投資助言・代理業の登録希望するケースを、令和に入ってから多く見るようになりましたが、「業者」である金融機関と、「消費者」である個人投資家を混同してはいけません。

基本的に個人投資家は金融サービスの「消費者」であって、規制官庁や業界から見ると、運用実績や知識に関係なく、個人投資家、配信者等の登録上のキャリア評価は「ゼロ」です。業界経験者がいない場合、数千万円の人件費を確保して経験者を雇用できる規模感の事業者でないと、登録不可能です。

資金面での要件

資金面では、管轄の法務局に供託金500万円を納めることが義務になっています。この500万円は、会社の資本金ではなく供託金です。最低資本金の要件はありません。供託金の500万円はあくまで供託ですので、登録を抹消すれば手元に戻ってくるものなのですが、登録期間中はずっと預けておかなければなりません。

供託の時期は、登録が完了したときです。ただし、第二種金融商品取引業等の他の金融商品取引業を同時に行う場合には供託金は不要になります。

オフィスの要件

オフィスは施錠可能な専用部分を確保できるレンタルオフィスで登録可能です。

正式な登録申請までには事務所を確保する必要があります。

シェアオフィス及びバーチャルオフィスは不可となります(令和5年金融庁Q&A)。

オフィスに関する要件の詳細はこちらの解説記事をご確認ください。

登録拒否

登録の拒否事由が以下のように定められています。

登録の拒否事由
・登録申請書もしくは添付書類に虚偽の記載があった場合
・過去に金融商品取引業の登録を取り消され5年経過していないもの
・金融商品取引法等の一定の法律に違反し罰金以上の刑に処せられている場合は刑の執行が終わるか、その刑執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないもの
・禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者を含む
・他に行う事業が公益に反すると認められる者
・金融商品取引業を適格に遂行するに足りる人的構成を有しない者
・役員、重要な使用人に欠格事由に該当するものがいる場合

登録の拒否事由に該当してしまった場合、登録は受けられません。こちらも事前にチェックしておきましょう。また、上記の明文上の登録拒否事由に加えて、審査上、いくつか、事実上申請が拒否される事由があります。よくあるのが、無登録で業務を開始してしまっている場合です。

例えば当事務所では、依頼者様から、シグナル配信、投資の学校、投資の分析システム・EAの販売など、投資助言・代理業に抵触するかどうかグレーな業務を既に行っており、正式に登録して業務をするために手続きしたいとのご相談を頂くことがあります。

しかしながら、こうした事例では、消費者からの苦情が多かったり、悪意をもって無登録営業をしていることが明らかだったり、あるいは行っている行為が不適切だったりという場合には、基本的に登録は認められません。財務局としては、既に違法行為を行っている業者が登録しても、業務を適切に行うことができるとは思えないということなのだと思います。

既に無登録営業をしてしまっている場合でも、直ちにこれをとやり止めて、改善状況に関して財務局に報告し、誠実に対応をすれば、登録が認められる余地はあります。ただ、こうした場合は、やはり通常の新規申請に比べると、登録まで長い時間がかかってしまいます。

また、申請者自身や、申請者が法人の場合の役員に、インターネットで検索可能な経済犯罪に関する逮捕歴及び有罪の前科がある場合にもほぼ登録は無理です。金融庁・財務局はそれほど甘くありません。経済系の事件で有罪判決を受けて公開されている場合、金融商品取引業のフィールドで活動することは、基本的に生涯無理です。当局も業界もそうした属性の人間を歓迎していないと考える必要があります。

もっとも、かなり以前の脱税事件であったり、同じく経済犯罪以外の犯罪、すなわち交通業過のような軽微な刑法犯や公民権に関わる犯罪のように、あまり経済活動とは関係ないような事案の場合には、上記の5年の欠格要件に該当しなければ登録又は就任できる可能性はあると解されます。

なお、事務所では、こうした複雑な事情の案件に関しましても、故意の法令違反や反社会性がない場合であれば、当局への率直な相談を前提として、適切な対応策を検討させていただきます。お気軽にご相談ください。

投資助言・代理業登録

最低報酬(税別) 着手金40万円~ 成功報酬20万円~(スキームにより個別見積)

投資助言・代理業に関するよくある質問

●●というサービスの提供を計画しています。登録は必要でしょうか?

当事務所では、(1)金融商品取引業者又は登録金融機関で勤務経験のある方及び勤務経験のある役職員がいる法人様、又は、(2)必要な役職員を雇用して、投資助言・代理業の登録をすることを検討している事業者様に対しては、初回無料にて、登録の要否及び登録要件に関し、詳しく説明させていただきます。メール・電話等にて是非お気軽にご相談ください。

金融商品取引業者又は登録金融機関に勤務経験のある役職員が在籍しておらず、また、投資助言・代理業へ登録する予定もない事例で、登録の要否を相談したいというケースは、無料相談の対象外となります。ご相談の上、有料にて登録の要否に関する一般的なアドバイスも承っております(相談料1時間2万円及び消費税。ただし、投資助言・代理業の登録を要しない業務の構築・整理の依頼や、投資助言・代理業の登録手続きの依頼時には、当該報酬から、受領済み相談料を差し引きます。)。

当社は誰も金融機関で働いたことがありません。
ただし、トレードの経験は十分にあります。登録は可能でしょうか?

財務局の審査は、原則として職歴又は資格ベースで行われますので、個人や事業法人でのトレードの経験は、登録上の経験としては扱われません。投資助言・代理業の人的構成に関連するスタッフのうち、代表者、助言者等のメンバーは、金融機関の職務経験がなくとも、証券外務員の資格等の取得でどうにか申請を通せる場合もありますし、コンプライアンスに関しては外部に業務委託可能なので、委託で弁護士等に依頼するという方法もあります。しかし、法人の場合には最低限1名は役員に経験・知識がある方がいることが監督指針上求められていますので、全員が銀行や証券等の金融商品取引業者での職務経験がない場合には、投資助言・代理業の登録は不可能です。投資助言・代理業とはいえ、公共性を有する金融商品取引業者ですので、当事務所の経験上も、まったく経験がない方だけで運営するのは、いい結果を招きません。こうした場合で、登録を希望する場合には、銀行や証券等の登録金融機関又は金融商品取引業者での職務経験者を採用することが必要です。

どのような資格を保有していれば、投資助言・代理業に登録できるのでしょうか。

一般に、金融商品取引業登録において、保有している資格はさほど重要ではありません。

基本的には職歴ベースの判断です。登録要件上重要となる、「常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。」の要件を満たすためには、銀行等の登録金融機関か、証券会社や投資助言・代理業者等の金融商品取引業者で金融商品取引業に携わった職歴が必要になります。

また、そうした職歴がある方は通常証券外務員資格をお持ちですので、論点になりません。

逆に言えば、どんな資格を持っていても、役職員全員が銀行等の登録金融機関か、証券会社や投資助言・代理業者等の金融商品取引業者で金融商品取引業に携わった職歴がなければ、登録は不可能です。

ちなみに、投資助言・代理業においては、証券外務員資格を保有していれば、職歴がなくとも基本的に「投資助言者」にはなることができると解されています(平成24年2月15日金融庁パブリックコメントNo33)。

とはいえ、登録には「投資助言者」だけではなく、役員やコンプライアンスも必要で、いずれにせよそれには経験者が必須です。しかもこれは10年以上前のパブリックコメントです。

実務上、2020年代の投資助言・代理業の新規登録審査における要求水準(非常に事業者に対して敵対的になっています。)では、実際には証券外務員資格を保有しているだけは、投資助言者(とくに上長の存在を前提としたない主たる担当者として)としての適格性を認められるかは甚だ疑問だと感じます。

コンプライアンス担当者

過去に当事務所で扱った投資助言・代理業者の例で、コンプライアンス担当の候補者が、銀行や証券会社での職歴はあるものの、内部管理系の業務の経験がないケースがありました。

その際、当局に照会したところ、内部管理責任者資格(日本証券業協会又は一般社団法人金融先物取引業協会)を保有していれば、コンプライアンス担当者に選任して差し支えないという回答を受けたことがあります。

ただし、近年の登録審査ではそれだけでは足りず、コンプライアンスに直接・間接に関連する実務経験が以前より求められる傾向にあります。これを充足できない場合には、金融商品取引業に関して知識経験を有する顧問弁護士等の補佐等による補強も考えられますが、いずれにせよ、金融商品取引業者での一定年数の職務経験があることが前提になります。

2、3か月で登録ができると書いているサイトもあります。
どうにか業務開始までの時間を短縮できないですか。

金融商品取引業の正式な登録申請は、申請から完了まで2か月が標準処理期間ですが、事前の審査にかかる時間と、登録後に日本投資顧問業協会又は弁護士会紛争解決センターに加入する時間を合算しますと、業務開始まではどうしても6か月程度はかかってしまいます。これ以上、短縮する方法は、特別なコネクションをお持ちの方を除いてありません。登録申請は気長に臨む必要があります。ちなみに当事務所の直近の事例では、正式な登録申請前の事前の審査の最短記録は1か月半強となります。

投資助言・代理業(及びその他の業態)の登録に関する行政書士報酬として、貴事務所より低い金額を謳う事務所もあるようですが、貴事務所が選ばれる理由はどこにあるのでしょう

当事務所の料金体系は、金融商品取引業を専門としており、かつ多数の案件を扱っている事務所では標準~安価に属する料金でありとくに高くありません。今よりもずっと登録が簡単だった10年以上前の料金をそのままホームページに掲載し続けている事務所を散見しますが、普段から多くの案件を取扱っていない事務所が、現在の難化し、かつ高度に専門化している金融商品取引業の申請で、果たして依頼者に的確なアドバイスを提供することができるのか、疑問だと思っています。私共は、365日、金融商品取引業に関連する事務のみを扱っている専門事務所です。餅は餅屋と言います。是非とも、他事務所にも色々と話を聞いたうえで、当事務所と比べてみてください。

必要な経験者の確保ができません。貴社にコンプライアンス業務を委託したり、コンプライアンス担当者を引き受けてもらうことはできませんか?

金融商品取引業において、法令等遵守指導部門が十分な機能を発揮することは、適正な内部管理体制の構築の要です。よって、コンプライアンスを形だけ外部に委託しても、実効性のある体制を構築できない限りは、法令違反、投資者被害、そして行政処分へと繋がります。コンプライアンスを軽く考えることは結局、依頼者様、当社、当局そして投資家と、すべての人が不幸になる結果に終わりますので、多数の個人投資家を相手方とする株式やFXの助言に係る「リテール」モデルで、自力で適正な内部管理体制を構築できない場合は、金融商品取引業登録は基本的にはお勧めしておりません。

ただし、FP業務・リサーチ業務等、顧客数も売り上げ規模も小規模な事業を見込んでいる場合には、委託でも実効的なコンプライアンス態勢を構築する余地はあります。そうした場合、コンプライアンス部門を受託可能な専門家のご紹介は可能です。

なお、金融庁は「助言業務や営業の担当者とコンプライアンス担当者が同一人となることのみをもって一律に人的構成が不適確であると判断されるものではなく、個別事例ごとの判断が必要になるものと考えられます」(平成24年2月15日金融庁パブリックコメントNo36、37)としており、コンプライアンスを業務委託せずとも、もし、助言業務や営業の担当者の方には十分な知識経験があれば、そもそもコンプライアンス業務は兼任で申請を行う余地があるとされていました。

しかし、これは令和6年現在では、関東管内では死文化されています。複数名の経験者を配置して、専任のコンプライアンス担当者の配置が必要と事実上の行政立法が行われていることに留意が必要です。

海外のFX等の取引口座を顧客に開設させたいのですが、投資助言・代理業に登録すればできるでしょうか?

国内居住の一般投資家を相手方とする店頭デリバティブ取引は、第一種金融商品取引業に当たるため、海外のFX業者で日本で第一種金融商品取引業の登録をしていない業者が一般投資家の居住者にFX取引をさせると無登録営業にあたります。取引の媒介も第一種金融商品取引業にあたりますので、投資助言・代理業では行うことはできません。

また、FXに限らず、投資助言・代理業では集団投資スキームをはじめとする有価証券の販売代理店行為(募集又は私募の取扱等)もできません。そのため、10年程前に一世を風靡した「海外積立型保険」(H社・F社・R社等)も同様に販売代理店としての販売行為は、投資助言・代理業者としては、金融商品取引法違反になります。

もっともこうした業態は、今では時代遅れで殆ど見ません。当時エージェントの間で流行ったスリーピースのスーツは、テレワーク時代には時代劇のようですし、ギラギラした高級時計もコロナ禍の金余りで無意味に高騰しており、香港で口座を開こうにも渡航自体ができません。要は、流行りではありません。

金融業界において、ワンテンポ遅いのは致命的です。ちなみに、海外積立型保険は、第二種金融商品取引業を取得しても適法にならないので、事実、海外積立型保険を適法に販売する方法はありません。

某社は国内で金融商品取引業登録をしていますが、新規顧客の開拓は許されておらず、既存顧客のケアのみが許容されていると仄聞します。いずれにせよ、投資助言業務は、金融商品の販売業務ではなく、アドバイザー業務であるのが基本です。

投資助言・代理業登録までの流れ

1.スキームの決定・申請書類の準備

事業スキームを決定し、それに合わせた概要書・申請書類の準備に取り掛かります。

2.本店所在地の管轄財務事務所にて審査担当官からのヒアリング

事業のスキームの内容及び役職員の経歴等に関する質問があります。
近年はこのヒアリングをはじめとする事前審査が長期化する傾向にあります。

3.申請書類の提出・受理

数か月かけて予備審査が完了すると、担当官から正式に登録申請書を提出するように指示があります。登録免許税15万円はこの段階で納付します。

4.登録

「登録申請書の提出」から「登録完了」までの期間が概ね1.5カ月程(公式な標準処理期間は2か月)です。もちろん、事前審査期間を含めると、より長い期間になります。

5.営業保証金の供託・届出

登録完了後、すみやかに営業保証金として金500万円を供託する必要があります。

6.営業開始

営業の開始に先立ち苦情・紛争等の解決措置を講ずる義務があるため、日本投資顧問業協会又は弁護士会紛争解決センターに加入する必要があります。そのため登録後も、業務開始にはなお2か月程度の時間がかかります。

登録に要する期間

予備審査は、最も早く進んで2か月程度です。そのため、予備審査の期間を含めると、登録完了まで理論上の最速でも4か月程度はかかります。また、その後に苦情紛争処理手続きのために一般社団法人日本投資顧問業協会に入会するか、弁護士会紛争解決センターと利用の契約をする必要があります。そのため、業務開始まで、最短でも6か月程度はかかります。

しかしながら、審査は年々長期化しており、予備審査に長期間要する例もあります。また、問題点や論点があるスキームの場合には、事前審査だけで半年、1年かかることも珍しくありません。当事務所としては、与えられた環境下でできるだけ早い登録ができるよう、経験に基づくノウハウを生かして手続きを進めていきます。

一般に、機関投資家向けの業態よりも消費者向けの業態のほうがより長い時間がかかり、インターネットを利用する業態のほうが対面営業よりも時間がかかる傾向があるほか、システムトレード、アルゴリズム、自動売買等のシステムが関連する業態もまた、審査に比較的長い時間がかかります。

ADR措置と協会加入

苦情紛争処理手続き(ADR)のために一般社団法人日本投資顧問業協会に入会するか、弁護士会紛争解決センターと利用の契約をする必要があると述べましたが、これらの入会または利用の契約には、どうしても一定の時間がかかってしまいます。そのため、とりわけ一般社団法人日本投資顧問業協会に対しては、登録を受ける前に早めにコンタクトをして、あらかじめ入会に関する事前相談を開始する必要があります。

弁護士会紛争解決センターの利用契約は、基本的には契約の申込書や登記事項証明書等の基礎資料を提出するだけです。会社の業務内容に関する詳細な審査があるわけではありません。しかし、一般社団法人日本投資顧問業協会に関しては、加入の申し込みの際に、社内規程や契約締結前交付書面等に関して審査が行われ、面談を経た審査完了後に理事会の承認を経て、初めて加入が可能になります。そのため、一般社団法人日本投資顧問業協会に加入するにはより長い時間がかかる傾向があります。

どちらに加入又は契約をしたほうがいいのかと、よく聞かれますが、登録審査上は基本的には大きな優劣はありません。ただし、一般社団法人日本投資顧問業協会は自主規制団体ですので、法令等遵守上は加入したほうが望ましいと考えられており、一般に当事務所で取扱う新規登録の投資助言・代理業者の7-8割程度は一般社団法人日本投資顧問業協会に加入しています。

一般社団法人日本投資顧問業協会に加入すると、各種変更届の他、自主規制ルール遵守状況等調査票というチェックシートを年次で提出する必要があります。また、協会員への各種研修が不定期に実施されているほか、加入業者に対する不定期の監査が、予告・臨店の形式で随時行われています。近年、財務局検査の件数は減少する傾向にあるため、協会の監査のほうが、より頻繁に行われている印象です。

令和3年時点で、ADRの費用は、東京三弁護士会の仲裁センター・紛争解決センターの場合で協定書締結手数料として、個々の会社の場合6万円及び実際に利用する場合には都度手数料がかかります。一般社団法人日本投資顧問業協会では入会金 20万円、会費 10万円(※分割納入・減額等の特例措置あり)となりますので、費用のみを考えると、弁護士会紛争解決センターのほうが安上がりです。

何か解らないことがあればまずはお気軽にご相談ください。

ここまでの説明で概要はわかったので詳細を知りたいという方は以下へどうぞ。

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