バイナリーオプション取引の違法性

このページの目次
総論 バイナリーオプション取引と金融商品取引業
合法性 法令上の評価利用者側は適法業者側は違法機関投資家向け業務の登録免除IBの適法性アフィリエイトの適法性
被害対応 取引被害の法的保護お金を取り戻す方法
業界構造 バイナリーオプション取引を巡るお粗末な現状
問題ある事業者 投資助言・代理業の無登録営業海外FXとの比較国内では先細りの現状なぜ悪徳商法に利用されるのかバイナリーオプション取引関連業務での第一種金融商品取引業登録

⇒【一般消費者の方へ】

バイナリーオプション取引と金融商品取引業

バイナリーオプション取引は、金融商品取引法上、店頭外国為替証拠金取引(以下「FX」という。)と同じく、店頭デリバティブ取引(金融商品取引法第2条第22項第4号)と位置付けられていますので、日本の居住者に取引を提供するのは、第一種金融商品取引業者としての金融商品取引業登録が必要になります。

一般社団法人金融商品取引業協会の公表している「個人向け店頭バイナリーオプション取引月次速報」によると、令和3年10月現在、国内において個人向け店頭バイナリーオプション取引を8社が提供しています。これら登録8業者での口座開設、取引は、登録業者でのFXの取引と同じく、事業者、アフィリエイター、投資家とも、法令上問題のない適法な取引です。

これに対して、平成20年代半ば頃から、海外の無登録業者による居住者に対するバイナリーオプション取引の提供が社会問題になっています。現在、海外に本店が所在するバイナリーオプション事業者で、第一種金融商品取引業者として登録を受けている業者は1社もありません。

なお、外資系証券会社で金融商品取引業登録を受けている業者がありますが、これはあくまで外資系企業の日本法人であって、海外所在業者ではありません。

ちなみに、当事務所の代表も、バイナリーオプション取引を提供する外資系第一種金融商品取引業の監査役だったことがあります。外資系業者の国内参入にあたっての財務局との折衝、登録申請手続きやサービスの構築まで、当事者として携わりました。

法令上の評価

無登録のバイナリーオプション取引業者を利用した場合の、当事者の法令上の評価、つまり合法なのか違法なのか、また違法とされる場合にはどのような罰則があるのか、以下に見ていきましょう。

なお、バイナリーオプション関連の自動売買や投資推奨サービスも国内で広く出回っています。その合法性に関しては、この記事の後半の投資助言・代理業の無登録営業に記載しています。

なお、本稿に関する質問、お問い合わせへの回答は事業者様のみとさせて頂きますのでご了承ください。

利用者側は適法

海外FXのケースと同じく、法令は、事業者が居住者に対してこうした金融サービスを提供する行為には制限を設けていますが、居住者側がユーザーとしてサービスを利用する行為には、罰則や制限はありません。

よって、ユーザーが海外無登録バイナリーオプション取引業者に口座を開設したり取引をすることは、利用者側は適法です。無登録で居住者にバイナリーオプション取引を提供するのは原則的には違法行為ですが、利用者側は、「犯罪の被害者」の立場であり、被害者側に罰則がないのは当然ともいえます。

業者側は違法

バイナリーオプション取引を提供する側は、原則として国内の金融商品取引業の登録を受けない限り、一般投資家である居住者に対してサービスを提供することはできません。これは、FX業者の場合とまったく同じです。

金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針「X-1-2 外国証券業者によるインターネット等を利用したクロスボーダー取引」において、金融庁は外国証券業者に以下のような措置を講ずることを求めています。ただし海外無登録バイナリーオプション取引業者の場合は、これらを遵守したとしても、そもそも居住者の口座を開設させて取引をさせる行為自体が違法ですので、法令違反には変わりなく、以下は直接の適用はありません。

しかし、金融庁が海外無登録バイナリーオプション取引業者に警告を行う際の実務としては、FX業者の場合と同じく、以下に倣って日本語サイトの有無や日本からの申し込みの可否を重要な基準として警告の有無を判断しています。

これらの措置なしで日本語サイトを公開していると、関東財務局から業者に対して問い合わせが行くのが通常です。この問い合わせに対して回答せず、または日本の法令に従う意思を見せない事業者が、実務上、警告の公表対象になっています。

(1)担保文言

日本国内の投資者が当該サービスの対象とされていない旨の文言が明記されていること。
上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。
①当該担保文言を判読するためには、広告等を閲覧する以外の特段の追加的操作を要しないこと。
②担保文言が、当該サイトを利用する日本国内の投資者が合理的に判読できる言語により表示されていること。

(2)取引防止措置等

日本国内にある投資者との間の有価証券関連業に係る行為を防止するための措置が講じられていること。
上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。
①取引に際して、投資者より、住所、郵送先住所、メールアドレス、支払い方法その他の情報を提示させることにより、その居所を確認できる手続を経ていること。
②明らかに日本国内の投資者による有価証券関連業に係る行為であると信ずるに足る合理的な事由がある場合には、当該投資者から注文に応ずることのないよう配意していること。
③日本国内に顧客向けのコールセンターを設置する、或いは国内投資者を対象とするホームページ等にリンクを設定する等を始めとして、日本国内にある投資者に対し有価証券関連業に係る行為を誘引することのないよう配意していること。

また、以上に掲げる措置はあくまで例示であり、これらと同等若しくはそれ以上の措置が講じられている場合には、当該広告等の提供は、国内投資者向けの「勧誘」行為に該当しないものとする。

(3)なお、以上に掲げるような合理的な措置が講じられていない場合には、当該広告等の提供が国内投資者向けの「勧誘」行為に該当する蓋然性が極めて高いことから、当該外国証券業者は、日本国内の投資者との間で勧誘を伴う実際の有価証券関連業に係る行為が行われていない旨を証明すべきである。

X-1-2 外国証券業者によるインターネット等を利用したクロスボーダー取引

機関投資家向け業務の登録免除

FXと同様に、通貨関連バイナリーオプション取引でも、金融商品取引法施行令第一条の八の六第1項第2号で、第一種金融商品取引業者(第一種少額電子募集取扱業者を除く。)、登録金融機関、適格機関投資家、外国の法令上これらに相当する者及び資本金10億円以上の株式会社を相手方とする場合は、金融商品取引業登録が不要と規定されています。

ただし、この例外は有価証券関連バイナリーオプション取引や暗号資産関連バイナリーオプションには適用されません。

これらの条件を満たす顧客以外の投資家を顧客とする場合は、たとえ勧誘を行っておらず、外国当局の許認可を有する外国所在業者であっても、必ず国内での第一種金融商品取引業の登録が必要になります。金融商品取引業の登録を受けずに居住者に対してバイナリーオプション取引を提供した場合、無登録営業として罰則があります。

IBの適法性

FX同様、海外無登録バイナリーオプション取引業者に送客をする者も原則として違法になります。IB(イントロデューシングブローカー)が行う口座開設等の媒介は、第一種金融商品取引業者に該当します。そのため、IBの無登録営業は、金融商品取引法に違反します。

国内で、バイナリーオプション取引関連投資サービス提供とあわせて、海外無登録バイナリーオプション取引業者の口座開設の斡旋や代行を行う場合には、第一種金融商品取引業に該当して無登録営業となる可能性が高いといえます。金融商品取引業の無登録営業ですので、その罰則は海外無登録バイナリーオプション取引業者に対する罰則と同じになります。

アフィリエイトの適法性

アフィリエイトの適法性の論点もFXと同じです。海外無登録バイナリーオプション取引業者のアフィリエイトやバナー広告の貼り付け等をし、果ては海外無登録業者でも合法であって、安全な取引であると説明しているサイトを散見しますが、そうした海外無登録バイナリーオプション取引業者の広告宣伝行為はグレーゾーンです。

ブログ・メルマガ等のメディア上の情報提供に留まり、個別的な勧誘等の媒介に該当する行為までは行っていなければ、金融商品取引業の無登録営業とは言えないと思います。しかしながら、FXでの議論と同じく、無登録業者の広告宣伝を行うことは、金融商品取引法違反の幇助と解する余地がありそうです。

常識的に考えて、違法行為の宣伝を行うことは慎むべきです。

取引被害の法的保護

こうしたバイナリーオプション取引業者にお金を預けて、出金拒否、不正な約定、システム障害等により被害を受けた場合、残念ながら法的な保護はほぼ期待できません。最悪の場合、業者そのものが資金をだまし取るための詐欺業者である可能性すらあります。そのため、金融庁(下記画像)金融先物取引業協会(動画)国民生活センター等の関係機関は、消費者に対して無登録業者の提供するバイナリーオプション取引に対して警戒を呼び掛けています。

海外無登録業者に対して日本の金融当局が規制監督をすることは不可能です。そのため、無登録業者に対しても、警告を発するに留まっています。また、金融商品取引法違反であっても現実的に被疑者を逮捕、起訴することは不可能に近いです。

「海外FXの違法性」無登録営業のエンフォースメント」に記載の通り、金融庁は、海外銀行やカード会社への圧力で決済手段を封じたり、外交ルートにより外国金融当局から圧力をかけたりの方法で、運営手段を封じる方法を採るケースもあります。しかしながら、これは将来の被害を防止するための取り組みであって、既に被害を受けている個人の救済につながるものではありません。

お金を取り戻す方法

ほとんどの日本の弁護士は、海外無登録バイナリーオプション取引業者相手の請求など、回収の現実味がないので事件として受任しないでしょう。
実際、こうした海外無登録バイナリーオプション取引業者にお金を預けたとして、例えば法人の所在するマルタ、ケイマン、英領バージン諸島等で訴訟を起こして資金を取り返すことは現実的でしょうか。訴訟を起こすとしても、英語で現地の弁護士に依頼し、日本の弁護士費用より遥かに高額な費用を支払う必要があります。

さらに、こうしたタックスヘイブン地域では、法人数に対して裁判所のキャパシティーが小さすぎるために、訴訟の審理が始まるまでに数年かかり、事実上、裁判を起こすことが不可能になっている地域すらあります。

クレジットカード入金に関連してクレジットカード会社に苦情を申し立てる方法はあります。しかし、海外取引で、かつ自分の意志で入金している場合には、クレジットカード会社がチャージバックに応じるかは不透明です。とりわけ全くの無登録業者ではなく、いずれかの地域のライセンスはもっている無登録業者の場合、どこまで期待できるかは微妙でしょう(なお、当事務所は消費者相談はお受けしませんのでこれに関する消費者からのお問い合わせは回答しません)。

バイナリーオプション取引を巡るお粗末な現状

一時期は、店頭金融先物取引業者にとってFXに続く新しい収益の柱として期待されたバイナリーオプション取引ですが、現在は総じて冴えない展開になっています。

商品性の限界もあって、一般消費者以外には取引の裾野が広がらないことに加え、規制強化により一般消費者にとっての魅力が低下。取引は低迷しています。

我が国では、その隙間を縫うように海外無登録業者やそれに関連するグレーな投資関連サービス事業者が跋扈している現状にあります。

以下、順に見ていきましょう。

投資助言・代理業の無登録営業

海外バイナリーオプション取引業者に口座開設をして取引をすることを前提として、自動売買(USB型含む)、売買推奨等のサービスを行っている個人・法人の事業者が多数存在しています。海外バイナリーオプション取引に関して、国内でこうしたバイナリーオプション取引関連投資サービスを提供している事業者は、インスタグラムやtwitter等のSNSを利用したり、MLM(いわゆるマルチ商法)の手法を使って、主に若者を中心に集客しているという特徴があります。

こうした事業者で、きちんと投資助言・代理業の登録を受けて運営している業者は極めて稀です。ただし、自動売買で継続サービスを提供しない、いわば売り切りの商品は、そもそも投資助言・代理業の登録義務を負わないので、自動売買提供事業者を一概に金商法違反と断定することはできませんので注意が必要です。

通貨関連バイナリーオプション取引は、基本的には有価証券に関連しないデリバティブ取引ですので、投資助言・代理業に該当するかどうかの判断はFX同様、金融商品取引法第2条第8項第11号ロに従い、売買ポイントにおける投資判断(売買等)を具体的にアドバイスした場合のみが規制対象になります。

取引の基礎知識、ルールの伝達、特定の通貨ペアの上がる下がるだけの予想等は投資助言・代理業に該当しません。

また暗号資産関連のバイナリーオプション取引もこれと同じです。

ただし、株バイナリーオプション取引等の有価証券に関連するバイナリーオプション取引は、金融商品取引法第2条第8項第11号イが適用され、上記と異なり、有価証券の価値等の助言、すなわち株や株式指標が上がりそう下がりそうの助言だけでも投資助言•代理業に該当します。

海外FXとの比較

海外FXも、海外バイナリーオプション取引と同じく、海外所在業者による居住者への違法なサービスを提供が問題になっています。しかしながら、金融商品取引業の規制対応に携わる立場から見ると、同じ海外に所在する無登録業者及びその関係ビジネスといっても、海外FXと海外バイナリーオプションには「民度」に若干の違いがあるような感じを受けています。

海外FX業者及びその周辺サービスは、それなりに歴史が長い業界であることもあり、無登録海外FX業者や、その周辺でサービスを提供する国内の無登録関連サービス事業者も、もちろん全部ではないですが、最低限のルールは弁えている事業者は多いように思います。

これに対して、海外バイナリーオプション取引業者は、海外FX業者に比較して企業規模や歴史の面で信用性が低い会社が多い傾向があります。

また、バイナリーオプション取引関連投資サービスを国内で無登録で勧誘している事業者は、SNS上で瀟洒なマンション、高級車、高額な食事等の生活を見せびらかしたり、合理的に考えて継続的に実現できるとは到底考えられない異常な高利回り等を謳う傾向があります。

さらに、こうした宣伝により誘引した若年で社会経験が不十分な個人に対して、不適切な高額なサービスを提供する傾向があります。なおこうした案件でも悪質なものは金融商品取引法違反のみならず、詐欺罪として立件される場合もあります。

ちなみに、海外FXの無登録営業や脱税行為が、いわば”昭和の香りがする古臭いスキームであることは海外FXに関する解説に記載しました。

海外無登録バイナリーオプション取引関連ビジネスも、初めこそ目新しかったものの、令和の今となっては、海外FXと同じく”平成”の香りが漂う古色蒼然としたスキームと言えます。

国内では先細りの現状

バイナリーオプション取引は、いわゆるファンドや機関投資家の資産運用手段としてはほぼ利用されておらず、基本的には個人向け取引です。

また、バイナリーオプション取引に対する厳しい規制も普及の障壁になっています。

我が国では平成25年に、金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針の改正により、通貨関連店頭バイナリーオプションを含む特定店頭オプション取引について、規制が強化されました。これを踏まえ、一般社団法人金融商品取引業協会は個人向け通貨関連店頭バイナリーオプション規制について、個人向け店頭バイナリーオプション取引業務取扱規則(BO規則)並びに同規則に係るガイドライン(BOガイドライン)を制定し、かなり強めの投資者保護規定を設けました。

主に、短時間のHIGH/LOWの禁止、最低取引期間(時間)を2時間以上とした規制、判定時刻の間隔を2時間以上として、1営業日に設定できる判定時刻の最大数は12回とする規制により、バイナリーオプション取引業者は、本来の収益の柱であった、短期間で結果の出る射幸性の強い取引を、1日の間で頻繁に提供することができなくなっています。

こうしたことが、商品性の足かせになり、国内の適法なバイナリーオプション取引は盛り上がっていません。登録業者における取引高はピークに比べて5分の1以下になっています。機関投資家からはアセットクラスとして認識されておらず、また、個人投資家の人気も盛り上がらないため、バイナリーオプション取引は先細りになっている感があります。

なぜ悪徳商法に利用されるのか

こうした中でも、ある種の利殖商法や詐欺の舞台として、無登録業者や悪徳業者により、海外無登録バイナリーオプション取引が頻繁に利用されるのは、そのわかりやすい商品性にあると思います。

取引の勝敗のルールが単純で分かりやすいこと、金融や証券市場に関する詳細な知識がなくとも直感的に取引しやすいことは、ある意味で競馬やカジノのようなギャンブルに類似し、投資リテラシーの高くない消費者には高い訴求力を持っています。

この点を懸念した一般社団法人金融商品取引業協会は、前記の個人向け店頭バイナリーオプション取引業務取扱規則(BO規則)並びに同規則に係るガイドライン(BOガイドライン)で、投資家に対して口座開設の際の知識の確認(テスト)を義務付けていますが、取引が盛り上がらない現状では、投資家に対する知識の啓発も進んでいないのが現状です。

バイナリーオプション取引関連業務での第一種金融商品取引業登録

前述のように、当事務所はバイナリーオプション取引に関する第一種金融商品取引業の登録支援経験があり、バイナリーオプション取引の取引の仕組みや金融商品取引法への対応に関してノウハウがあります。

通貨関連店頭デリバティブ取引という意味では、FXもバイナリーオプション取引も、規制の大枠は同じなのですが、同事例ではカバー取引ではなくマスタースワップ契約で市場リスク対応をしたり、上記の協会規則に適合する商品性の設計及びユーザーインターフェースの構築をしたりと、FX業者とは異なる対応が必要な点も多数ありました。

バイナリーオプション取引事業(第一種金融商品取引業)への参入をお考えの事業者様がいらっしゃいましたら、是非ともお気軽にご相談ください。

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