届出から募集開始の流れ

届出から募集開始までの流れ

届出のタイミング

適格機関投資家等(1名以上の適格機関投資家+49名以下の適格機関投資家に該当しないが一定の要件をクリアする投資家(特例業務対象投資家))を対象に適格機関投資家等特例業務を行う場合は、あらかじめ「届出」を行う必要があります。

そのため、実務上はいつまでに届出を行う必要があるのか、つまり、どの段階から私募に該当するのかということが問題になります。金融商品取引法上は、集団投資スキーム持分等のいわゆる二項有価証券の募集に関しては、実際に勧誘に応じた所有者の数を基準にカウントされます。また、適格機関投資家等特例業務の届出時も、適格機関投資家の名称を届出書に記載することが求められています。

よって、適格機関投資家へのヒアリングを行った上で目途を付ける行為が届出前に行われることは、制度上当然に予定されていると解釈することができます。

届出前後の流れ

適格機関投資家に該当しない、すなわち特例業務対象投資家への具体的な出資勧誘は届出後とすべきでしょう。また、気を付けて頂きたいのは、適格機関投資家からの出資を受けることが出来なかった場合は、適格機関投資家等特例業務の要件を満たしませんので、特例業務対象投資家から資金を集める算段がついたとしても、スキームそのものが機能しません。そのため、業務の順番としては、以下のようになります。

適格機関投資家からの出資内諾の取りつけ

適格機関投資家等特例業務の届出

適格機関投資家との契約
投資事業有限責任組合の場合ファンドを登記


ファンド用別段名義銀行口座開設

適格機関投資家からの出資金払込

特例業務対象投資家への私募及び出資金払込受付

運用開始

適格機関投資家等特例業務に関する留意点

先例の集積

平成19年の金融商品取引法の施行から10年を超える年月が経過し、当局による事業者への処分事例が積みあがってきた結果、当初はあいまいだった適格機関投資家等特例業務の要件に関する行政の解釈が徐々に明らかになってきました。

以前は、適格機関投資家からの出資の順序は(1)自己募集業務(ファンドの募集)に関しては、最終的に適格機関投資家の出資があれば、その他の投資家との出資の先後は問わない(2)自己運用業務(主として有価証券又はデリバティブ投資を行うファンドの運用)に関しては、運用開始までに適格機関投資家の出資が必要であると担当者ベースで説明がなされていた時期もありました。

しかし、現在では、平成27年の某業者に関する関東財務局の警告書の発出を通じ、自己募集業務・自己運用業務いずれに関しても、適格機関投資家等特例業務を行うには、適格機関投資家が最初に出資する必要があるうことが示されています。

また、適格機関投資家等特例業務届出者自身を、自ら運営するファンドの適格機関投資家とすることができないことは当初より明示されていたものの、適格機関投資家等特例業務届出者自身が無限責任組合員として業務執行する投資事業有限責任組合を適格機関投資家として、別途自ら組成したファンドで適格機関投資家等特例業務に基づく自己募集を行うことができるのかという点に関しても、従来ははっきりしておらず、当局も明瞭な回答を避けていました。

しかし、現在では適格機関投資家等特例業務届出者自身が無限責任組合員として業務執行する投資事業有限責任組合では、適格機関投資家への取得勧誘行為がないと考えられるため、適格機関投資家等特例業務の自己募集業務を行う上での適格機関投資家にならないことが平成26年の某社への行政処分を通じて明らかになっています。

臨店検査の実施

かつては、適格機関投資家等特例業務届出者に対する検査はあまり行われていませんでした。しかしながら、関東財務局で証券監督第三課が発足したことに象徴されるように、適格機関投資家等特例業務届出者への監督は、金融商品取引法施行時よりもはるかに強化されており、業者に対する報告命令も頻繁に発出されています。上記のような留意点を的確に把握して適切に業務をする必要性が高まっています。

また、報告命令にとどまらず、平成27年には、適格機関投資家等特例業務届出者に対して、証券取引等監視委員会・財務局の集中的な臨店検査が実施されました。そして、検査の結果問題が見つかった事業者に対しては、警告書の発出による社名及び代表者名の公表が極めて頻繁に行われています。

抜本的規制強化

平成27年の金融商品取引法改正で、規制が強化されました。適格機関投資家等特例業務に対する当局の考え方は、純粋なプロ向け業務に制度を縮小させたうえで、「金融商品取引業者並みの規制、監督体制を敷く」ということにあることは明らかです。

旧法時代に存在していた「届出だけで誰でも簡単にファンドが作れます、適格機関投資家も紹介します。」という、安易なやり方は通用しませんし、一般の個人投資家相手に勧誘することもできなくなりました。こういう発想で適格機関投資家等特例業務によりファンド組成することは不可能と考えるべきです。金融機関を立ち上げるのだという意識と責任感を持って事業に当たらない限り、事業者様にとってもリーガルリスクが非常に高いと考えます。

当事務所は、適格機関投資家等特例業務を行うのであれば、事業者様自身が相応の知識、経験を有するか、もしくは専門家や証券会社等を十分に関与させて適切に業務ができる体制を整備したうえで、適格機関投資家から純投資を受けることができるように取り組むことが、依頼者様の利益にかなうと考えています。

当事務所が組成や運営に関与した適格機関投資家等特例業務届出者は膨大な数に上っており、事例ベースでの豊富な知識と経験があります。
適格機関投資家等特例業務を検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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