投資運用業に登録する

投資運用業に登録する

このページの目次
総論 投資運用業の大分類
(1)投資一任業 投資一任業投信の運用での利用集団投資スキームでの利用
(2)ファンド運用業 ファンド運用業GKTK主として有価証券又はデリバティブ取引海外ファンドのファンド運用業該当性規制対象ファンド形態協会加入
(3)投信委託業 投資信託委託業外国投信委託業務
(4)投資法人資産運用業 投資法人資産運用業
投資運用業の登録 登録要件人的構成登録審査不動産関連特定投資運用業登録要件不動産特定共同事業との関係
内部管理態勢 社内規程整備投資運用業の内部管理の重要性
支援内容・費用等 当事務所の支援内容報酬、費用及び所要期間

投資運用業の大分類

資産運用関連ビジネスのうち、投資者の資産又は投資者から拠出された資産を有価証券又はデリバティブ取引の一定の様態で運用する場合には、「投資運用業」の登録が求められることになります。投資運用業の業務の内容には、大別して、以下の4種類があります。

(1)投資一任業(12号ロ)
投資一任契約に基づき、投資者から投資判断や投資に必要な権限を委任され、有価証券又はデリバティブ取引に投資をし、金銭その他の財産の運用を行う業務。

(2)ファンド運用業(15号)
集団投資スキームの運用として主として有価証券又はデリバティブ取引に投資し、金銭その他の財産の運用を行う業務。

(3)投資信託委託業(14号)
自らが委託者となる投資信託の運用として、金銭その他の財産の運用を行う業務。

(4)投資法人資産運用業(12号イ)
投資法人と資産運用委託契約を締結して、同契約に基づく投資として金銭その他の財産の運用・指図を行う業務

(1)投資一任業

投資一任業(金融商品取引法第8項第12号ロ)は、旧投資顧問業法の投資顧問業者が認可を受けて行うことができた、「投資一任契約」を行う業務です。そのため、古くからの証券マンの間では、いまだに「一任」が投資運用業の代名詞になっているほどに、以前からの馴染みがある業務です。

なかには集団投資スキームの自己運用も投信委託業も、一括りにして「一任」と呼んでいる方も見かけます。

投資一任業は、単純化して言えば、顧客の財産の運用権限を任されて、顧客等の名義のまま、顧客の財産を有価証券やデリバティブ取引で運用し、利益が出たらその一部を報酬として受け取るビジネスです。顧客資産を投資運用業者に預けさせるのは法令で禁止されています。

そうした行為は投資一任から外れ、次に述べるファンド運用業に近づきます。 ただし、信託銀行の提供する特定金銭信託を利用して、いわゆる投資顧問付き特定金銭信託を組成してもらい、ファンドに近い運営を行うことは、広く行われています。

投信の運用での利用

投資一任契約に関し、投資信託の組成の際に、委託者としての業務(投信委託業)を外部の投資運用業者や外国において投信委託業を行うものに依頼し、組成された投資信託の資産運用のみを投信委託業者から投資一任契約に基づき受託し、投資一任業務として投資信託又は外国投資信託の運用を行うスキームもよく利用されます。

そうしたスキームでは、顧客資産の投資信託形態での運用を、投信委託業を自ら行うより低い社内体勢ハードルで実現することができます。投信委託業を行うには、一般社団法人投資信託協会の入会金及び会費や、投信委託の計算担当者の設置等のコストがかかりますので、小規模な投資運用業者の場合には、このスキームを採用する例も多く見られます。

ただし、投資信託の委託者が自ら投資信託受益証券を販売する場合(投信直販)には、第二種金融商品取引業の登録によりこれを行うことができますが、自らが投資一任契約に基づき運用する投資信託受益証券を取扱う(販売する)には、第一種金融商品取引業(証券業)の登録が必要になります。これを避けるため、投資信託を運用する投資運用業者が自ら投資信託受益証券の取扱いをすることを避け、証券会社に販売を担当させるスキームもよく見るところです。

なお、適格投資家向け投資運用業では、そうした場合でも、第一種金融商品取引業ではなく、第二種金融商品取引業とみなして登録できる(みなし二種)とされおります。そのため、プロ向けの投資運用業では、販売行為における登録義務は、一般の投資運用業者が投資一任契約に基づき運用する投資信託受益証券を取扱いするの場合に比べて、緩和されています。

集団投資スキームでの利用

ファンド運用において、次節のファンド運用業としてではなく、投資一任契約で受託してファンドの運用を行うことがあります。

こうした場合、ファンドの発行者(営業者、無限責任組合員等)は、投資運用業者と投資一任契約を締結するとともに、通常は第二種金融商品取引業者と募集又は私募の取扱い契約を締結して、勧誘を委託することとなります。

(2)ファンド運用業

ファンド運用業(金融商品取引法第8項第15号)は、自己募集(自社自らがGPとして発行)する投資事業組合、投資事業有限責任組合、匿名組合等の契約に基づき出資された集団投資スキームの財産を、主として(運用財産の 50%超)有価証券又はデリバティブ取引に投資する場合に該当します。VCやPEがファンド運用業の典型的な業態となります。ファンド運用業の特徴としては、他の業態と比較して、未上場企業株式等の非上場有価証券を投資対象とすることが多いことが挙げられます。

こうした場合の、投資判断分析に係る意思決定プロセスや、投資後のモニタリングの方法及びそのための社内規程の整備は、登録審査上非常に重要になります。また、関係会社発行有価証券を組み入れする場合には、一般社団法人日本投資顧問業協会規則に留意しつつこれを行う必要があるなど、各種利益相反管理も重要になります。

GKTK

なお、上述のように必要に応じて倒産隔離されたSPCを組成して、そのSPCの発行する集団投資スキームを投資一任契約に基づき運用する場合(GKTK等)には、ファンド運用業ではなく投資一任業に該当します。また、SPCが投資運用業者に投資運用を一任する場合には、SPCそれ自体は投資運用業の登録を要せず、事前に届出を行えばよいものとされています。

主として有価証券又はデリバティブ取引

このようにファンド運用業が投資運用業である関係で、例え第二種金融商品取引業のみ登録を受けていても、資産を主に株式やFX等で運用する場合には、追加的に投資運用業の登録も必要になります。そのため、主として有価証券又はデリバティブ取引を行うファンドを、第二種金融商品取引業だけでは組成・運用することはできません。

一方で、ファンド運用業はあくまで「主として(運用財産の 50%超)有価証券又はデリバティブ取引」を行う場合に適用される規制です。そのため、例えば太陽光発電設備現物の取得ファンドなど、有価証券でもデリバティブ取引でもない投資を行うファンドであれば、第二種金融商品取引業の登録を受けて勧誘を行えば適法であり、投資運用業の登録は不要となります。

海外ファンドのファンド運用業該当性

海外のファンド等、他社が有価証券又はデリバティブ取引で運用しているファンドの募集だけであれば、第二種金融商品取引業があれば募集できるのではないかと質問を受けることがありますが、その場合には、当該運用をしているファンドの運用者に原則として投資運用業登録が必要になります。

そのため、そのファンドが海外でどんなライセンスを受けていようと、ファンドの運用者に投資運用業の登録がない限り、原則としては日本の居住者である一般投資家を相手方として、有価証券又はデリバティブ取引で運用しているファンドの取得勧誘を行うことはできません。

規制対象ファンド形態

ファンド運用業の規制する「ファンド」とは、ヴィークルが金融商品取引法第2条第2項第5号及び第6号に掲げる集団投資スキームの場合を指します。会社型のヴィークルの場合には、そもそも発行者の自己私募であれば法令上規制されておらず、またその取扱いは、日本証券業協会規則「店頭有価証券に関する規則」の範囲内(一般投資家への勧誘の禁止等)にて、第一種金融商品取引業として行うことができます。

ヴィークルが投資信託、投資法人の形態の場合には、その運用行為は投資一任業務、投資法人資産運用業務又は投信委託業のいずれかに該当しますので、ファンド運用業を構成しません。また、その取扱いは、第一種金融商品取引業として行うことになります。

なお、集団投資スキームを500人以上に取得させる場合は、募集(公募)に該当します。事前に契約締結前交付書面を届出する必要があるほか、出資対象事業として資産の50%以上を有価証券の取得に充てるものは、有価証券投資事業権利等として有価証券届出書の提出義務を負います。

協会加入

投資一任業務とファンド運用業に関しては、一般社団法人日本投資顧問業協会が自主規制団体となります。同じく、一般社団法人日本投資顧問業協会が自主規制団体となっている投資助言・代理業の協会への加入割合は、必ずしも高いものではありませんが、投資運用業者ともなると、大抵は協会に加入しているようです。

(3)投資信託委託業

投資信託委託業(金融商品取引法第2条第8項第14号)は、自らが投資信託の委託者となりその投資信託の運用を行う業務です。受託者である信託銀行との連絡や、投資信託に関する各種計算なども行わなければならないので、投資信託の計算に関する担当者が必要になるなど、単に投資一任契約で投資信託を運用するだけの業態に比べて、必要な社内体制がハイレベルです。

投資信託の計算に関する担当者は、実際に当該業務の経験のある人員を配置する必要がありますので、投信委託業の登録にあたってはこれが大きなキーポイントになります。前述のように、投信委託業を行う投資運用業者が投資信託受益証券を募集する際(投信直販)には、第二種金融商品取引業でこれを行うことができます。発行した投資信託受益証券を継続開示する(有価証券届出書及び有価証券報告書)ことにより、少人数私募又はプロ私募のみならず、公衆を相手方とした募集(公募)も可能になることから、個人投資家向けに公募投信直販を行うビジネスモデルの投資運用業者も複数存在しています。

投資信託委託業を行う場合には、一般社団法人投資信託協会に加入することになりますが、入会金500万円、会費は均等会費及び変動会費となっており、他の金融商品取引業協会と比較してもやや高額になっています。

もっとも、人数面では10人以下の役職員数でも登録できている事例があり、必ずしも大規模な事業者以外は参入できない業態ではありません。とはいえ、投資信託委託業は、金融庁も監督の重要性が高い業態と認識しており、通常、投資信託委託業を行う金融商品取引業者は、地方財務局監理ではなく金融庁の本庁監理業者となり、霞が関が直接監督を行います。

外国投信委託業務

なお、金融庁は、金融商品取引法施行時のパブリックコメントにおいて、「金商法施行令第1条の11の規定により、金商法第2条第8項第14号に掲げる行為のうち「金融商品取引業(投資運用業)」となるものの範囲は国内投資信託に係る投資運用に限定されており、外国投資信託に係る投資運用については、「金融商品取引業(投資運用業)」とならないものと考えられます。」と回答しており、投信委託業務は国内投資信託の場合のみに適用される規制です。

これは、外国集団投資スキームの自己運用業務については、運用拠点が海外に所在している場合であっても、国内の居住者から拠出を受けている場合には、一定の例外を除き原則として投資運用業に該当することと対照的な規制であるといえます。

(4)投資法人資産運用業

投資法人資産運用業(金融商品取引法第2条第8項第12号イ)は、投資法人から資産運用を委託され、資産運用をする業務であり、J-REITなどに典型的です。投資法人とは、資産を主として一定の資産(特定資産)に対する投資として運用することを目的として、投資信託及び投資法人に関する法律に基づき設立された法人です。

投資運用業の登録

登録要件

投資運用業の登録難度は、第二種金融商品取引業と比べても非常に高いものになっており、第一種金融商品取引業の登録難度に匹敵すると思います。 例えば、別項目で説明する、適格投資家向け投資運用業(プロ向け投資運用業)での登録の場合を除き、資本金及び純資産額はいずれも5000万円以上が必要であり、また、株式会社(取締役会及び監査役、監査等委員会又は指名委員会等を置くものに限る)又は外国の法令に準拠して設立された取締役会設置会社と同種類の法人である必要があります。

適格機関投資家向け投資運用業では、これらの規制は一部緩和されています。

金融機関等の機関投資家を相手に業務を行う限りは、比較的審査も早く進みますが、一般投資家を広く相手にする業態の場合には、登録の審査も非常に厳しいものになり、登録完了までの期間も長くかかります。

人的構成

人的構成の面でも、「経営者要件」や「常務役員のコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験要件」、「コンプライアンス担当者の知識経験要件」はもちろんのこと、「権利者のために資産運用を行う者として、運用を行う資産に関する知識及び経験を有する者が確保されていること。」と監督指針に明記されており、実際に運用対象資産の実際の運用業務に携わったことがある方が必要とされています。

また、原則として注文の判断と執行は分離されている必要があるので、運用の部署に人員2名の配置が基本的には必要となります。

一般に、適格投資家向け投資運用業に該当しない一般的な投資運用業では、常勤の総人数は5-6人程度は必要と考えられています。登録要件上、運用部門に2名、コンプライアンス部門に1名、内部監査部門に1名の配置が必要になるほか、営業担当者や、業務担当者を配置することが多いようです。また、投資信託委託業を行う場合には、別途常勤で当信託の計算担当者を配置する必要があります。

監督指針上の記載は、以下の通りです。

①その行う業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保の状況及び組織体制として、以下の事項に照らし、当該業務を適正に遂行することができると認められるか。
イ. 経営者が、その経歴及び能力等に照らして、投資運用業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる資質を有していること。
ロ. 常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。
ハ. 権利者のために資産運用を行う者として、運用を行う資産に関する知識及び経験を有する者が確保されていること。
ニ. 資産運用部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として十分な知識及び経験を有する者が十分に確保されていること。
ホ. 上記ハ及びニのほか、行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。
ヘ. 行おうとする業務について、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。
a. 帳簿書類(VI-3-2-4に規定する帳簿書類を含む。)・報告書等の作成、管理
b. ディスクロージャー
c. 運用財産の分別管理
d. リスク管理
e. 電算システム管理
f. 管理部門による運用状況管理、顧客管理
g. 法人関係情報管理
h. 広告審査
i. 顧客情報管理
j. 苦情・トラブル処理
k. 運用部門による資産運用業務の執行
l. 内部監査
m. 投資信託財産の運用を行う場合にあっては、投資信託財産に係る計算及びその審査

金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針

投資運用業は、第一種金融商品取引業と並んで、役職員の人数の面でも、求められる知識経験の面でも他の業態よりも高い水準が求められます。投資運用業の登録事例は、総じて大手証券会社や外資系投資銀行で相応のポジションにあった方が元同僚等を集めて独立する場合、上場企業等で資本的人的資源が十分に確保できる場合、既存業務がうまくいっている金融商品取引業者が変更登録をする場合などが主流です。相応のリソースがないと参入が難しいのが実情になります。

登録審査

投資運用業は第一種金融商品取引業と並んで、登録審査の際の、いわゆる概要書審査における社内規程等の作りこみが非常に大変です。

とりわけ、金融商品取引業等向けの総合的な監督指針の関連記載に関して、一問一答形式で、登録希望者がどのような社内体制を採用し、その体制がどの社内規程の何条に定められているのかを具体的に記載することが必要になります。概要書のページ数たるや、適切に作成すると通常100枚レベルになります(社内規程も含めればとてもそんなものではすみません)。

投資運用業者は、登録審査を受けるにあたり、他の業態に比べても一層深い金融商品取引法と内部管理態勢に関する理解が必要とされます。

不動産関連特定投資運用業

登録要件

不動産関連の投資運用(いわゆるアセットマネージャー業務)を行う投資運用業者に関しては、不動産関連特定投資運用業と位置付けられており、金融商品取引業等に関する内閣府令第7条第7号に掲げる特別な登録要件があります。ここでの不動産関連の投資運用とは、「投資運用業(投資法人資産運用業及び投信委託業務を除く。)のうち、不動産信託受益権又は組合契約、匿名組合契約若しくは投資事業有限責任組合契約に基づく権利のうち当該権利に係る出資対象事業が主として不動産信託受益権に対する投資を行うものを投資の対象とするものをいう」とされています。

つまり、不動産証券化におけるGKTKとAM契約を締結して、投資一任契約に基づき合同会社(GK・SPC)の発行する匿名組合(TK)に不動産信託受益権を取得させる行為は、不動産関連特定投資運用業に該当します。

不動産関連特定投資運用業として、金融商品取引業の登録を受けるには、「不動産投資顧問業登録規程(平成十二年建設省告示第千八百二十八号)第三条第一項の総合不動産投資顧問業者としての登録を受けている者であること、又はその人的構成に照らして、当該登録を受けている者と同程度に不動産関連特定投資運用業を公正かつ適確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であると認められること」が要件になっています。

これにより、一般に、不動産関連特定投資運用業を行うには、総合不動産投資顧問業の登録を受ける必要があると考えられいます。登録には資本金5000万円以上の株式会社であること、今後3年間に資本が5000万円を下回らない水準に維持されていることが要件であるほか、人的要件として制限が設けられており、なかでも、判断業務統括者の設置が重要な要件になります。

判断業務統括者は、不動産コンサルティング技能登録者、ビル経営管理士、不動産証券化協会認定マスター、不動産鑑定士、弁護士、公認会計士いずれかの資格に加えて、担当する業務の種類に応じて数十億円以上の不動産に関する投資、取引又は管理に係る判断の経験があり、これらの判断に係る業務に2年以上従事し、各業務について適切な判断を行ってきたと認められること等の要件が設けられています(詳細はこちら)。

不動産特定共同事業との関係

不動産特定共同事業法の平成25年改正により、いわゆるSPCスキームが現物不動産ファンドで選択可能になったことから、近年、いわゆる不特法3号及び4号業務として、不動産ファンドを組成する動きが広がっています。不動産特定共同事業の4号業務を行う場合には、第二種金融商品取引業の登録が必要となり、現物不動産ファンドも、従来と異なり金融商品取引法の規制が及ぶこととなりました。

しかしながら、不動産特定共同事業4号及び第二種金融商品取引業登録に伴う不動産証券化スキームの運用業務は、不動産特定共同事業法3号業務であり、投資運用業に該当しません。

社内規程整備

投資運用業の登録及び業務の運営にあたっては、こうした人的構成だけでなく、業務方法書以下、運用ガイドライン・リスク管理規程等の諸規定の整備及びこれに基づく社内体制の構築も重要になります。運用ガイドラインは、いわば投資運用業者の運用業務のコアとなる機能を規程化したものです。運用ガイドラインでは、基本方針(運用方針・運用戦略)、資産運用の方法、資産運用の対象、運用財産管理等の詳細に関して、記載が求められます。

これらの社内規程の制定にあたっては、法令に加えて、協会規則への目配りが重要になります。具体的には、投資一任業務及びファンド運用業務の場合には一般社団法人日本投資顧問業協会規則、投信委託業務及び投資法人資産運用業務の場合には一般社団法人投資信託協会規則です。

投資運用業の内部管理の重要性

一般に投資運用業者の内部管理体制は、高い水準が求められます。とくに、リスク管理に関しては、会社のリスク管理及び運用資産のリスク管理いずれの管理も必要となります。投資運用業は、純資産5000万円の維持要件があるため、会社のリスク管理に関しても、登録要件との関係上、疎かにできません。また、運用財産の運用のうえでも、関係者の発行した有価証券の組み入れ制限をはじめとして、厳密な利益相反管理が求められます。

一般に、こうした内部管理態勢が機能していない場合、もっとも直接的に投資家に大きな損害を与える危険度が高いのは投資運用業といえます。

証券会社・FX業者等の第一種金融商品取引業者には、顧客資産は信託による分別管理又は区分管理が義務付けられており、また、管理に分別管理義務違反があった場合、証券業務は日本投資者保護基金が1000万円までは補填することになっています。これに対して、投資運用業では、仮に不適切な運用による損失により投資資産を消滅させた場合でも、それを補填する制度はありません。

第二種金融商品取引業者専業の業者は、主としてレバレッジドリースや再エネ等のオルタナティブアセットへの投資商品を取り扱っているため、機関投資家から数十億、数百億といったレベルで出資を受けることは、あまり多くありません。そのため、損失が発生しても、社会を震撼させる規模の事件にはなりにくい面があります。

しかしながら、投資運用業者は、機関投資家から多額の運用資産を預かることが想定される業態です。投資信託や特定金銭信託・特定金外信託の運用等の形態であれば、受託者等による一定の規律は働くものの、投資信託からの再投資先(外国投信等)が不適切な運用状況にあれば、不適切な運用は完全には防げません。

AIJ事件を受けて、投資信託からの再投資先の運用状況の把握に関しては、以前より厳しくルール化されましたが、令和3年には、公募投信の設定に際して、投資対象先の運用財産に係る運用者の実態を把握しておらず、また、運用財産の管理状況の実態について把握していないとして、行政処分が行われた事例が発生しており、こうした制度的な問題を完全に解消するには至っていません。

また、投資信託等と異なり、匿名組合、任意組合や投資事業有限責任組合等の集団投資スキームによるファンドの場合は、会計監査を行わない限り、そもそも第三者の規律は働かず、また、匿名組合と任意組合形式のファンドには法定監査が存在しません。

これらの理由により、投資運用業は、業者自身での内部管理態勢の確立が、強く求められる業態であるといえます。

投資運用業の登録審査を受ける際には、財務局はこうした事項を綿密に審査します。会社及び運用資産のリスク管理や利益相反管理を誰がどうした体制でどんな内容で行うのか、また、その頻度はどのくらいなのか、詳しく社内規程化する必要があり、また、形式的ではない実効的な体制を構築する必要があります。

当事務所の支援内容

当事務所は、過去に複数の投資運用業の登録支援実績があり、またその業態も投信委託業、ファンド運用業、投資一任業にわたりますので、幅広くビジネス展開を支援することが可能です。投資運用業登録を検討されている場合には、お気軽にご相談くださいませ。

なお、投資運用業の例外として、少人数のプロ向けを対象とした適格機関投資家等特例業務の制度があることに加え、権利者をプロ又はセミプロのみ(適格投資家)に絞って、運用資産額200億円以下で投資運用業を行う場合には、適格投資家向け投資運用業という特例が用意されています。登録要件が一部緩和されており、顧客層が機関投資家中心という場合には、適格投資家向け投資運用業の登録から参入を始めてみるというのも選択肢になります。

適格投資家向け投資運用業については、別項目で詳しく論じております。

報酬、費用及び所要期間

投資運用業は、近年の海外資産運用業者の本邦への参入促進のために全体的に登録審査速度が速まっています。金融庁は、こちらの通り英語での規制監督も開始するなど、国策的に参入が歓迎されている業態です。そのため、近年では事前審査数か月、登録完了まで半年以内で登録できる例も増えています。

一方で、資本的、人的に万全な業務体制を構築できていない事業者や、クラウドファンディング等で一般投資家に幅広くファンド持分を販売しようとする事業者等は、これよりもずっと長い時間がかかると考えられます。とりわけ、後者は1年程度を標準と考える必要がありそうです。

当事務所の報酬は、総額方式とタイムチャージ方式いずれを選択にするかにより料金形態が異なります。原則として依頼内容によりどちらか一方を選ぶことになります。

ただし、最初に概要書等の記載例を提供の上、あとの作業は極力自社で行い、当事務所はその監修、助言だけという受任形態場合には、着手金とタイムチャージの併用計算とする場合もあります。

手続き一式の代行や申請書の代理作成をご希望の場合には総額方式、基本的には自社で作成できるが、スポットでのアドバイスや監修等の補助を依頼したい場合にはタイムチャージ方式を選択される依頼者様が多いです。

当事務所の報酬に加え、役職員の人件費や協会費等を含む登録の費用的ハードル感はこちらの記事も併せてご参照ください。

総額方式 400万円~税
又は
タイムチャージ方式 時間数万円程度(担当者により異なる)

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