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金融ビジネスの概観

金融ビジネスの概観

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金融ビジネスの分類投資商品を販売したい金融商品取引業になる典型的スキーム外国ファンドその他商品ファンドを運用したい投資サービスを提供したいプラットフォームビジネスをしたいお金を貸したい・預かりたい金融勤務経験はないがトレードビジネスをしたい経験がない場合はどうすればいいのか根本的には人間性の問題ベスト・アンド・ブライテスト海外ライセンスは有効か「金融業務」という大げさなことにしない選択肢

金融ビジネスの分類

金融ビジネスには多くの領域があり、無数の関連法令が存在します。また、銀行・証券・保険等、それぞれの業界に、特有の規制と慣行があり、いずれも複雑な規制に服しています。そのため、横断的に金融ビジネスを整理するのは非常に難しいです。

そもそも自社が行おうとしているビジネスが、規制上「何に分類されるのか」自体がわからないという事業様も多いと思います。

そこで、本ページでは、金融ビジネスを俯瞰して分類したうえで、それぞれの業態が規制上何に分類されるのか概略を整理しました。具体的な許認可・登録・届出には何が必要か、どんな要件があるのかは、それぞれのリンク先を参照してください。

サービス分類

投資商品を販売したい

投資家から資金を預かって自ら「運用」するわけではなく、「出来合い」の投資商品を「販売」したいというニーズがあります。それは、国内外の他社が運用する投資信託やファンドの販売だったり、太陽光発電所だったり、はたまた事業投資、新規発行トークンだったり、事業者により、「売りたいもの」のニーズは様々だと思います。

規制上は、売りたいものの内容・法的性質により、必要なライセンスは大きく異なります。例えば「外国投資案件」を売りたいと抽象的に言っても、実際はその中身と法的性質により適用される規制は全く異なります。

金融商品取引業になる典型的スキーム

株式・社債・投資信託などのいわゆる伝統的な有価証券であれば、その販売代行(取扱)は第一種金融商品取引業(有価証券関連業)、金融商品仲介業(通称IFA)又は金融サービス仲介業にあたります。ここでの第一種金融商品取引業は、いわゆる証券会社のことです。また、金融商品仲介業は、既存の証券会社の傘下で、独立代理店を営むイメージです。

一方、いわゆる事業投資案件や、実物資産の小口投資案件は、通常、匿名組合の形態で販売されます。そういった組合型権利の販売及び販売代行は、通常は、第二種金融商品取引業に該当します。例えば、太陽光発電所の小口投資船舶や航空機リース事業への小口投資、海外のリゾート案件への投資、飲食店事業への投資などです。

また、少し違った切り口として、宅建業者には信託受益権化された不動産の売買等の媒介を行いたいというニーズがあります。こうした場合も、第二種金融商品取引業の登録が必要です。但し、信託受益権の売買等の媒介業務は、経済的には通常の宅地建物取引業とあまり差はありません。「不動産の売買仲介」の変形なので、REIT的なファンドは第二種金融商品取引業では組成できません。

もっとも、かつて流行した不動産の小口化信託受益権は、近年になって再びスキームとしての利用頻度が高まっています。

外国ファンド

また、外国ファンドを国内で販売したいというお話もよく聞くところです。外国ファンドは、そのスキームにより、適用される規制は千差万別です。

外国ファンドのうち、投資信託や投資法人の形式(ユニットトラスト・ミューチュアルファンド等)の場合には、販売代行(取扱)には、前述の第一種金融商品取引業(有価証券関連業)又は金融商品仲介業等の登録が必要になります。そのため、原則として国内証券会社の介在が必要になります。

また、投資信託を運用している外国会社が自ら投信直販する場合や、外国の組合型のファンド(パートナーシップ等)の販売・代理販売(取扱)、外国合同会社の社員権の代理販売(取扱)の場合には、第二種金融商品取引業の登録が必要です。

また、外国の組合型ファンドを主として有価証券又はデリバティブ取引にて運用する場合、投資運用業の必要の有無の検討も必要になります。

他にも、外国合同会社(LLC)の社員権は、特にアメリカでは税務上のブロッカーとして機能するためにスキームで利用されることが多く、比較的頻繁に目にします。

また、セキュリティトークン型の外国合同会社の社員権の代理販売(取扱)の場合には、第一種金融商品取引業となります。さらにトークン化(電子記録移転権利)された一定の形態の外国合同会社社員権は、自己私募又は自己募集であっても第二種金融商品取引業の登録が必要です。

なお、ここで詳述しませんが、MRIインターナショナル事件以降、規制及び審査上の理由で、実態として外国に所在する既存の組合型外国ファンドの一般投資家向けの募集は、極めて困難です。

他方、特定投資家向けの募集又は私募の取扱は、上記に比すると平易です。なお、外国の組合型のファンドのうち、外国現物不動産へ投資するファンドは、第二種金融商品取引業ではなく(もしくは「だけではなく」)不動産特定共同事業許可の対象になりますので、ストラクチャリング上の検討を要します。

不動産特定共同事業による外国現物不動産へ投資するファンドは、近年実例が登場しています。

その他商品

近年は上記に記載したような伝統的金融商品以外にも、ブロックチェーン技術を利用したトークンなどの、いわゆる暗号資産(仮想通貨)を国内で販売をしたいというニーズが高まっています。

そうした場合、ビットコイン等のユーティリティートークンは、暗号資産交換業(仮想通貨交換業)の登録が必要です。また、収益分配のあるセキュリティートークンの販売については、電子記録移転有価証券表示権利等(トークン化有価証券)又は電子記録移転権利(狭義のセキュリティー・トークン)として、改正金融商品取引法に基づき第一種金融商品取引業の登録が必要になります。

ただし一定のプロ向けに該当する、通称「適用除外電子記録移転権利」の取扱等や電子記録移転権利の自己募集は、例外的に第二種金融商品取引業です。

また、こうした商品に関して、投資家に直接販売せず、リパッケージする(まずは自社ファンドに投資させて、再投資する)という方法もあります。その際には、第二種金融商品取引業登録又は適格機関投資家等特例業務の届出をして、ファンドを組成することになります。

ただし、第二種金融商品取引業においては、暗号資産やセキュリティー・トークンへの投資を出資対象事業とするファンドの組成は、実務上困難を極めます。暗号資産ファンドはごく少数の実例しかなく、セキュリティー・トークン・ファンドの事例は令和4年秋現在聞いたことがありません。

また、主として有価証券又はデリバティブ取引に再投資する場合には、投資運用業の登録も必要になります。また、ファンドを組成することに代えて、社債等でシンプルにリパッケージする方法もあります。

ファンドを運用したい

「出来合い」の金融商品の販売ではなく、資金を集めて、これを特定の金融商品や事業等で「運用」したいというニーズがあります。

株式・債券・金融先物取引等、主として有価証券又はデリバティブ取引で運用したいという場合には、原則として投資運用業の登録が必要です。

また、信託受益権化された不動産で運用したいという場合も、信託受益権はみなし有価証券なので、ファンドの場合には、同様に、投資運用業(一任業務又はファンド運用業務に係る「不動産関連特定投資運用業」)が必要です。現物を組み入れるREITの場合には取引一任代理に加え、投資運用業の中の投資法人資産運用業務の分類となります。

一方、太陽光発電所や飲食店事業等の実物資産や事業そのもので運用する場合は、運用行為自体は特に許認可は不要です。よって、ファンド資金を集める際に、第二種金融商品取引業を取得するか、または第二種金融商品取引業者に募集を委託すれば、運用行為は無登録でも問題なく行うことができます。

なお、投資運用業(自己運用)及び第二種金融商品取引業(自己募集)については、適格機関投資家等特例業務でプロ又はセミプロのみを相手方に私募する場合や、海外投資家等特例業務で海外投資家等を相手方に募集又は私募をする場合には、届出のみでこれを行うことができ、金融商品取引業の登録は不要です。

他方、ファンドの資産を現物不動産で運用したいという場合には、不動産特定共同事業許可が必要です。また、商品先物取引で運用したいという場合には、商品投資顧問業許可が必要となります。

投資サービスを提供したい

金融ビジネスには、投資家から資金を預かったり、自ら何かに投資をするわけではなく、投資家のために運用を代行したり、アドバイスしたり又は情報を配信したりといった、いわば「販売」ではない「サービス」に特化した業態もあります。

投資家の代わりに、投資家の証券口座で、株式・債券・金融先物取引等の有価証券又はデリバティブ取引のトレーディングの代行をする場合には、投資一任業務に該当しますので、投資運用業が必要になります。

また、投資家に対して、有料で株式銘柄などの有価証券又はデリバティブ取引の投資情報を配信するサービスを営んだり、または投資家個別に、有価証券やデリバティブ取引に関してアドバイスしたりする行為等は、原則として投資助言・代理業に該当します。

なお、現物不動産に関する投資助言のサービスに関しては、不動産投資顧問業の登録は可能ですが、義務のない任意登録制になっています。また、BTC、ETH等の暗号資産「現物」に対する投資助言業務も投資助言・代理業の登録の必要はありません。金融商品取引法の規制対象になるのは、「暗号資産等関連デリバティブ取引」のみです。

プラットフォームビジネスをしたい

いわゆるFINTECHの盛り上がりとともに、具体的な商品の販売や、自社の知識・経験を活かしたサービスの提供をしたいわけではなく、システムを利用して、既存の金融商品の取引インフラを構築・提供する「プラットフォーム」ビジネスをしたいというニーズが強まっています。

典型的なモデルとしては、取引所(又は取引システム)業態があげられると思います。株式や社債等の伝統的な商品の、いわゆるネット証券の業態は、第一種金融商品取引業(有価証券関連業)に該当します。また、私設取引所を作る場合には、第一種金融商品取引業のPTS業務になります。

取引商品が、FX、CFD、バイナリーオプション等のデリバティブ取引の場合も、第一種金融商品取引業(金融先物取引)に該当します。ただし、一部市場デリバティブ取引業務(くりっく365)に関しては、第二種金融商品取引業の登録になります。このうち、いわゆる証券CFDなどの有価証券や有価証券指標に関連するデリバティブ取引を行う場合は有価証券関連業に該当し、いわゆる「証券会社」を名乗ることができます。なお、商品CFD取引の場合には、第一種金融商品取引業ではなく、商品先物取引業になります。

また、暗号資産CFDの場合には、第一種金融商品取引業の登録が必要にはなりますが、証券業務とは位置付けられておらず、日本暗号資産取引業協会が自主規制団体です。

一方、投資型クラウドファンディング・ソーシャルレンディングで小口の事業投資資金を集めるのは、第二種金融商品取引業にあたります。特に投資型クラウドファンディングに関しては、電子募集取扱業務の登録電子申込型電子募集取扱業務)も必要です。ただし、小口の株式のクラウドファンディングに関しては、第二種金融商品取引業ではなく、第一種金融商品取引業又は第一種少額電子募集取扱業者の登録となります。

取引所業態で、取り扱いの商品が暗号資産(仮想通貨)の場合には、暗号資産交換業(仮想通貨交換業)の登録が必要になります。また、前述のように暗号資産デリバティブ取引(先物取引等)に関しては、第一種金融商品取引業です。

また、システムトレード・ロボアドバイザーなどの、自動化された投資支援サービスに関しても、多くの場合には投資助言・代理業に該当します。

お金を貸したい・預かりたい

「お金を貸し、またそのための資金を元本保証して預かり、決済サービス(為替取引)を提供する」というビジネスは、いわゆる銀行・信託銀行・信用金庫・信用組合等の金融機関しか行うことができません。しかしながら、その銀行の機能の一部だけを切り出して、特別な登録で行うことができる業態がいくつかあります。

貸し出しに関しては、貸金業がこれにあたります。また、貸し出しを法定通貨ではなく暗号資産(仮想通貨)で行う、いわゆるレンディングを行う場合には、現在のところこれに対する規制はありません。ただし、令和4年に入って規制議論が持ち上がっています。

また、資金の預かりに関しては、元本保証での受け入れ(預金)は金融機関以外にこれを行うことはできませんが、暗号資産(仮想通貨)によるウォレットサービスについては、暗号資産交換業(仮想通貨交換業)があれば行うことができます。また電子マネーに関しては、前払い式支払い手段として前払式支払手段発行業の登録、自家型プリペイドサービスに関しては、自家型前払式支払手段発行者として届出が必要になります。

また、送金などの決済サービスの提供に関しても、一定の要件を満たす少額の場合には資金移動業登録をすれば行うことができます。

金融勤務経験はないがトレードビジネス(シストレ・運用等)をしたい

ここで「どんな方でも簡単に登録できます」「支援のプロなのですぐに登録を実現できます」と甘いことをお伝えして見通しのない仕事を取る不誠実なことをしたくありません。客観的な事実と考えをお伝えすることが正しいと思いますので、オブラートに包まず申し上げます。

「トレードが上手だから、一般市民から資金を預かって運用したい」とか「独自開発した投資ツールを会員制で販売したい」といった話がよくありますが、金融機関での職務経験がない方だけで「一般投資家」相手にこうしたビジネスをすることは、基本的には不可能です。

現在の金融規制の考え方をあえて勝手に意訳させていただくと「きちんと金融機関での職歴を持たない者が、一般市民相手に金融サービスを提供することは社会悪だから絶対にやめさせたい」「なお、勝手にやったら犯罪だから捕まえる」というのが基本的なスタンスです。

また、金融規制上の考え方として、トレーダーは、銀行や証券会社や投資顧問等の金融サービスの「供給者」ではなく、「消費者」とみなされています。消費者がどれだけ経験を積んでも、登録審査上のキャリアはゼロとみられます。現在の法令ではアマチュアがアマチュアに対して金融サービスを提供する方法はありません。

こうした論点に関する当事務所の考え方は後ろ向きでした。金融当局の考え方は妥当だと思っていました。もっとも、令和5年以降は、あまりに抑圧的に過ぎると思います。こちらを併せてご覧ください。

経験がない場合はどうすればいいのか

では、具体的にこうした状況でどのように事業化ができるかといえば、まずは「プロに認めてもらうこと」です。金融商品取引法は、プロに認めてもらえる事業者であれば、コアになる事業主自体は、金融機関での職務経験を持たない事業者でも、金融商品取引業に参入をする方法を用意しています。

(1)数千万~数億円覚悟で事業資金を投入し、銀行・証券・投資顧問出身のプロを人材紹介会社等経由で複数採用して陣容を揃える

(2)本当に自社のサービスに自信があるのであれば、証券会社やFX業者等のプロに案件を持ち込んで共同事業化する

(3)サービス提供を機関投資家や、富裕層(会社経営者や高額所得者等)に絞って少人数プロ向けファンドをやる

これらは、十分に現実味がある話だと思いますし、本当に力があって、客観的に見て価値のあるサービスを創り出せる「本物」の方は、問題なくクリアできるはずです。

金融業界での経験なしで、そこまでたどり着ける方は非常に少ないです。

参入希望者のうち5%以下でしょう。
しかし、少ないながらも実例は一定数存在しています。

金融業界での職務経験がない方は、規制当局や大手金融機関からは、当初色眼鏡で見られる場合もあります。そうした中、ある意味でできることをやりきって、後ろ暗くない形で金融商品取引業に参入できる方は、それはそれで本物のプロといえます。

そうでない場合は、こちらの記事の通り、参入は難しいです。

根本的には人間性の問題

プロを採用するにしても、プロと協業するにしても、プロ向けにサービスを提供するにしても、いずれも本当にいいものであれば、必ず相手が乗ってきます。プロが乗ってこないということは、結局自分がいいと思っているだけで、客観的にはいいサービスではないということです。

ちなみに(1)は経験者が中心になってフルタイムで働いている業者であることが必須ですので、非常勤で証券OBの知り合いなどを2、3人程度を中途半端に連れてきたところで登録はできません。「名義人っぽい」雰囲気は100%露見します。また、隠れた実質支配者がいるような空気も必ず露見します。

金融商品取引業に登録したいのであれば、(1)の申請書は実態通りである必要があり、また、常勤と記載した者は実際にフルタイム採用してコミットしてもらう必要があります。これは嘘で誤魔化しても必ずすぐに露見します。

それに加えて前掲の(3)でファンドに一般投資家を入れる方法がないかと聞かれることも多いですが、ありません。制度趣旨に反しますし、抜け穴はありません。

必要以上の綺麗事を言うつもりはありませんが、隠し事は遅かれ早かれ必ず露見することになります。業界に長くなればなるほど、真面目にやる方が儲かって、また格好いいことが分かってきます。

世間には、商売に対して、なんとなく「悪さして儲かる」「ギリギリを攻める」「脱税して儲かる」というような誤解がありますが、実際に上手くいっている実例を見るとその真逆です。

確実に言えますが、真面目にやったほうが、トータルでは遥かに儲かります。

平気で法令違反をしたり、約束を違える会社は、取引先にも顧客にも誠意を欠き、能力も低く、長持ちする例はありません。専門家として関与しても、結果的には手間ばかりかかり、どうせ最後は潰れるので、赤字です。

細く長く、誠実に「飽きないで商い」をする事業者の方が、ずっといいお客様です。

これらは法令とはまた別の次元の商道徳の実態論です。

しかし、経験的には無登録営業を平気でする人は、総じて冴えない、信用できない人が多いです。ビジネスとは、みんなで決めたルール(法令)を守り、誠実と質素倹約に勤めることがすべての基本と感じます。

もっとも、利害関係者がごく少数であるため民主主義の規律がほぼ働かない証券規制分野では、お江戸を中心に未だにお役人様の切り捨て御免の人権侵害がまかり通っていますので、論議には二重性があります。

ベスト・アンド・ブライテスト

当事務所でも、無登録業者から相談を受けたり、上手く規制を出し抜き誤魔化して、あるいは登録をせず又は低い要件で一般投資家向けの投資者保護上のリスクの高い事業ができないか相談を受けることがありますが、そんな方法はありません。

財務局は審査や検査のプロです。そもそも1998年にいわゆる財金分離により大蔵省から金融監督庁が切り離された際、金融監督庁には金融危機に対応した検査要員として検察庁出身者が多数出向で送り込まれました。そのため、未だに検察は金融庁に影響を与えているとされます。

実際、証券取引等監視委員会の委員長には検察庁出身者、同事務局長に大蔵・金融のキャリア官僚を充てる人事になっています。

現在は知りませんが、かつては証券検査官は、警察や検察で被疑者の取調の研修まで受けていたそうです。さらには、証券取引等監視委員会には、刑事告発を任務とし、しばしば検察庁と合同で家宅捜索等の犯罪捜査を行っている特別捜査課という事実上の捜査機関のような部署もあります。

普通のお役所と調査能力が全く違います。素人が誤魔化しきれるわけがありません。

ちなみに、こちらでも書きましたが、金融商品取引業登録の人的構成の判断の際にも、究極的には肩書ではなく、その方の志、良心、人間性が大きく関わってきます。協業のためにプロと向き合うときも、これは同様だと思います。

金融庁の本庁や、近畿財務局等の地方財務局(及びそれ以外もほとんどの方)には、識見や志の高い高潔な職員が多く、勇気づけられます。

海外ライセンスは有効か

オフショア・外国ライセンスを取得して、一般投資家相手に業務ができないかとよく聞かれますが(面白いことに本当のプロはこの質問は絶対にしません)金融商品取引法の規制は、一般投資家相手の場合、基本的には海外業者でも国内業者でも適用されるので、ほぼできません。

外国籍投資信託の委託者としての運用や、外国証券会社特例等の一定の勧誘を伴わない業務では、登録義務の除外がありますが、海外FX・バイナリーオプション取引、日本語サイト、オンラインでの居住者への勧誘等の、素人凡人が考え付く無登録スキームは、全部規制されていています。

「金融業務」という大げさなことにしない選択肢

あわせて補足すると、たまに数百万、千万・二千万等の少額の資金調達で、ファンドの組成等の金融商品取引業関連ビジネスをお考えの方を散見します。金融商品取引法に基づく金融規制に服し、業として規制法令を真面目に考慮するとすれば、その関与する運用資産の規模は、どれだけ少なく見積もっても1億円、望むべくは10億円を超える必要があるでしょう。

数百万や千万二千万そこそこの金額であれば、知り合いの会社社長や開業医等の資産家から信用借りで借りてくればいいのであって、「ファンド」だの「金融商品取引業」だのという大げさな話にする意味はないと思います。

1億円にも届かない調達に「金融商品取引業」を持ち込むことは、コスト的にも手間的にもペイしません。そうした場合、限られた少人数から金銭消費貸借や社債で借入、または会社の株主等(無議決権も可能)になってもらえばいいと思いますし、そこに証券規制の専門家は不要です。逆に言えば、その程度の額を「調達」しなければいけない事業者は、金融商品取引業には向いていないと思います。

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