外国業者の金融商品取引法の適用

外国において金融商品取引業に相当する業務を行っている事業者が、国内に拠点を設置し又は居住者を相手方として業務を行う場合には、登録・届出義務に関して業態別に複雑なクロスボーダー規制があります。以下に、その具体的な規制に関して解説します。なお、海外金融事業者の支援に関しては、こちらに特集ページがありますので、併せてご確認ください。

販売関連業務

金融商品取引業者及び銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関以外の者で、外国の法令に準拠し、外国において有価証券関連業を行う者は、外国証券業者と呼称されます。有価証券関連業は金融商品取引法第28条第8項に規定がありますが、ほぼ旧来の証券会社のことです。

外国証券業者に関する法令の基本的考え方として、金融庁は、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針で、以下のように示しています。

※X.監督上の評価項目と諸手続(外国証券業者等)
X-1-1 外国証券業者に関する法令の基本的考え方
外国証券業者は、日本国内における有価証券関連業の本拠として設ける主たる営業所又は事務所について登録を受けない限り、国内にある者を相手方として金商法第28条第8項各号に掲げる行為(以下「有価証券関連業に係る行為」という。)を行うことはできない。他方、国内に拠点を有しない無登録の外国証券業者であっても、有価証券関連業に係る行為についての勧誘をすることなく、あるいは金融商品取引業者(第一種金融商品取引業に限る。)による代理又は媒介により、国内にある者の注文を受けて外国からその者を相手方として有価証券関連業に係る行為を行うことについては許容されている。
また、外国証券業者は、金商法第60条第1項に基づく当局の許可を受けて、国内の金融商品取引所における取引を業として行うことができる。当該業者に対しては、X-2-1で示す留意点を踏まえて監督するものとする。
X-1-2 外国証券業者によるインターネット等を利用したクロスボーダー取引
外国証券業者がホームページ等に有価証券関連業に係る行為に関する広告等を掲載する行為については、原則として、「勧誘」行為に該当する。
ただし、以下に掲げる措置を始めとして、日本国内の投資者との間の有価証券関連業に係る行為につながらないような合理的な措置が講じられている限り、国内投資者に向けた「勧誘」には該当しないものとする。
(1)担保文言
日本国内の投資者が当該サービスの対象とされていない旨の文言が明記されていること。上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。
①当該担保文言を判読するためには、広告等を閲覧する以外の特段の追加的操作を要しないこと。
②担保文言が、当該サイトを利用する日本国内の投資者が合理的に判読できる言語により表示されていること。
(2)取引防止措置等
日本国内にある投資者との間の有価証券関連業に係る行為を防止するための措置が講じられていること。上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。
①取引に際して、投資者より、住所、郵送先住所、メールアドレス、支払い方法その他の情報を提示させることにより、その居所を確認できる手続を経ていること。
②明らかに日本国内の投資者による有価証券関連業に係る行為であると信ずるに足る合理的な事由がある場合には、当該投資者から注文に応ずることのないよう配意していること。
③日本国内に顧客向けのコールセンターを設置する、或いは国内投資者を対象とするホームページ等にリンクを設定する等を始めとして、日本国内にある投資者に対し有価証券関連業に係る行為を誘引することのないよう配意していること。
また、以上に掲げる措置はあくまで例示であり、これらと同等若しくはそれ以上の措置が講じられている場合には、当該広告等の提供は、国内投資者向けの「勧誘」行為に該当しないものとする。
(3)なお、以上に掲げるような合理的な措置が講じられていない場合には、当該広告等の提供が国内投資者向けの「勧誘」行為に該当する蓋然性が極めて高いことから、当該外国証券業者は、日本国内の投資者との間で勧誘を伴う実際の有価証券関連業に係る行為が行われていない旨を証明すべきである。

この監督指針の根拠となる法令として、金融商品取引法第58条の2及び金融商品取引法施行令第17条の3に、国内にある者を相手方として有価証券関連業に係る行為を行うことができる場合が定まっています。

それによれば、外国証券業者が、政府又は日本銀行を相手方とする場合、一定の金融機関や信託会社を相手方とする一定の取引の場合、投資運用業者の投資運用業に関する業務の場合、証券会社の代理媒介による場合等と並んで、金融商品取引法施行令第17条の3第2号で外国証券業者が勧誘をすることなく外国から、「国内にある者の注文を受けて、当該者を相手方として行う法第二十八条第八項第一号から第三号まで若しくは第五号に掲げる行為若しくは同項第六号に掲げる行為(同項第四号に掲げる取引の媒介、取次ぎ及び代理を除く。)のうち内閣府令で定めるもの又は当該者(第一条の八の六第一項第二号イ又はロのいずれかに該当する者に限る。)を相手方として行う法第二十八条第八項第四号に掲げる行為若しくは同項第六号に掲げる行為(同項第四号に掲げる取引の媒介、取次ぎ及び代理に限る。)」も、金融商品取引業登録を要さないと定まっています。

つまり、一定の有価証券関連業(証券業務)に関しては、居住者を相手方として勧誘行為を一切行わなければ、居住者を相手方として業務を行っても法令違反にはならない規制体系となっています。

ただし、法第28条第8項第4号に掲げる店頭デリバティブ取引(証券CFD取引を含む。)に関しては、第一種金融商品取引業者(第一種少額電子募集取扱業者を除く。)、登録金融機関、適格機関投資家、外国の法令上これらに相当する者及び資本金10億円以上の株式会社を相手方とする場合等の一定のケース以外は、たとえ勧誘を行っていない場合であっても、金融商品取引業登録が必要になります。

また、有価証券関連店頭デリバティブ取引以外の店頭デリバティブ取引(通貨関連、暗号資産関連等の店頭デリバティブ取引。外国為替証拠金取引を含む)に関しては、そもそも有価証券関連業に該当しないため、同様に登録義務の除外の適用はなく、原則として居住者を相手方として取引を提供しただけで金融商品取引法に違反すると解されています。

なお、有価証券関連店頭デリバティブ取引以外の店頭デリバティブ取引についても、金融商品取引法施行令第一条の八の六第1項第2号で、第一種金融商品取引業者(第一種少額電子募集取扱業者を除く。)、登録金融機関、適格機関投資家、外国の法令上これらに相当する者及び資本金10億円以上の株式会社を相手方とする場合には、金融商品取引業登録が不要と規定されています。

運用関連業務

続いて、投資助言・代理業及び投資運用業について見ていきましょう。

投資助言・代理業及び投資運用業に関しては、令和2年1月に金融庁から発表された、「投資運用業等登録手続ガイドブック」にも詳しく記載されています。

はじめに、国内の拠点において投資助言を行わず、居住者向けにも投資助言業務・投資運用業務をしない場合には登録不要です。

また、外国運用業者等による国内金融機関に対する運用・助言業務に係る特例(金融商品取引法第61条、金融商品取引法施行令第17条の11)があり、外国において投資助言業務を行う者が、投資運用業者又は信託銀行(投資運用業を行う者に限ります)に対して、投資助言業務を行う場合は、投資助言・代理業の登録は不要です。

また、外国において投資運用業(投資一任業)を行う法人が、投資運用業(投資一任業)を行う投資運用業者又は信託銀行に対して、投資運用業(投資一任業)を行う場合も、投資運用業の登録は不要になります。

同様に、外国において投資運用業(ファンド運用業)を行う法人が、投資運用業者又は信託銀行(投資運用業を行う者に限ります)に対して、投資運用業(ファンド運用業)を行う場合も、投資運用業の登録は不要になります。

さらに、外国拠点において外国籍ファンドを運用する場合で、ファンド形態が信託型・会社型の場合には、運用行為には投資運用業の登録は不要です。なお、信託型のファンドの場合の委託者としての運用行為や、会社型のファンドの自己資金としての運用行為は投資運用業の登録は必要ないものの、これらのヴィークルを国内から投資一任契約に基づき別会社が運用指図する場合には、別会社に投資運用業が必要になるので、注意が必要です。

これに加え、国内投資家が少数である外国籍組合型ファンドの運用業務に係る特例(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第16条1項13号)があり、外国籍の組合型ファンドのうち、⒜当該ファンドに直接投資する国内投資家(直接出資者)が適格機関投資家又は適格機関投資家等特例業務の届出者のみ⒝当該ファンドにファンド・オブ・ファンズ形式で投資を行う国内投資家(間接出資者)が適格機関投資家のみ⒞直接出資者及び間接出資者の合計数が10未満、⒟直接出資者の拠出する資金がファンド全体の出資額の3分の1以下である場合における、当該海外ファンドの運用業務については、投資運用業(ファンド運用業)の登録は不要となっています。

ただし、これらファンドの募集行為に関しては、別途規制が適用されます。会社型ファンドの自己私募又は自己募集に該当する場合を除き、ファンドの勧誘行為には、原則的に第一種金融商品取引業又は第二種金融商品取引業の登録が必要になります。また、会社型ファンドの自己募集に該当する場合、開示規制に関しても検討する必要があります。

よって、運用行為に国内投資家が少数である外国籍組合型ファンドの運用業務に係る特例を使うとしても、第二種金融商品取引業者に投資勧誘(募集又は私募の取扱い(金融商品取引法第2条第8項第9号))を委託し、自らは勧誘行為を行わない場合、又は、 国内の投資家が適格機関投資家及び49名以下の特例業務対象投資家のみで、かつ、ファンドの運用会社が事前に適格投資家等特例業務の届出を行って適法に自己私募ができる場合(金融商品取引法第63条)を除き、居住者に対して適法に取得勧誘をすることができないということになります。

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