市場制度WG中間整理、ソーシャルレンディング規制等

2022/06/23

このところ、金融規制の動きが大きくなっています。令和4年6月22日、実務上重要なリリースが金融庁から複数発せられました。

市場制度WG

成長資金供給

同日、金融審議会は「市場制度ワーキング・グループ」中間整理を公表しました。

成長・事業再生資金の円滑な供給に関して、投資信託への非上場株式の組み入れの制度拡充、PTS市場での特定投資家向け有価証券の取扱いを可能とするための制度改正、自主規制規則に制限された勧誘可能な非上場株式の取引の範囲の拡大、事業全体に対する担保制度の新設等が打ち出されています。

いずれも大枠としては正しい制度改正でありながら、市中金融機関の需要の観点からは、いずれの項目においても、中途半端な緩和に留まった場合、あまり利用されない制度になることが懸念される特性の業務であるようにも感じられます。

SPACは保留

企業の成長に資する上場等のあり方の論点に関して、高いレベルでの実務上の注目が集まっていたのはSPACの取扱だと思いますが、大方の予想通り「我が国における導入の意義や必要性を引き続き検証することが適当と考えられる」とされ現時点での本邦への導入は時期尚早という結論になりました。

確かに日本での制度導入は投資者保護上、明らかに時期尚早ですので、当然と言えば当然です。とはいえ、イノベーティブなスキームへの資金供給の観点からは、直近でのSPAC見送りは残念ではあります。

投資助言・代理業関連制度改正

投資助言・代理業に関連しては、判断分析者につき、重要な使用人と同等の適格性が確保されている者(当該事業者の外務員として登録されている者など)について、その氏名の記載を省略することを可能とすることや、判断分析者及び助言者の投資顧問契約等の契約締結前交付書面・契約締結時交付書面への記載義務に関して、分析等や助言を行う部署の名称等の記載で代替可能とすること、投資助言記録の作成負担軽減、第一種金融商品取引業者が行う投資助言業務に関する貸付け等の禁止の緩和が打ち出されています。

これらはいずれも、形式論に議論が集中している感があり、実体的な規制環境に大きな変化をもたらすものではありません。

中間整理では、あわせて勧誘・助言に関する制度的枠組みに関しても検討を深めるべきとされていますが、グランドデザインは必ずしも具体的ではなく、今回の改正に係る投資助言・代理業の規制緩和措置は、さほど大きなものにはならなそうな印象を受けます。

ソーシャルレンディング及びネット募集の規制強化

ソーシャルレンディングに関しては、ソーシャルレンディングを行う第二種金融商品取引業者につき、「有価証券投資型ファンドと同様に、善管注意義務や忠実義務、投資家に対する追加的な情報提供を含めた運用行為に係る制度等を整備する」とされました。

また、実質的な貸付先に対する審査や、審査結果等の投資判断に必要な情報の投資家への提供が確保されるよう制度の検討を行う必要があるとされ、自主規制規則に担保されていた現状を法令で上書きする方向性が示されました。

今後、ソーシャルレンディング業者は、投資運用業者並みの審査と事後モニタリング体制の構築が必要になりそうです。

さらに、電子申込型電子募集取扱業務のみに適用されている、一定の業務管理体制整備義務を、ソーシャルレンディングやインターネットで完結する自己募集についても義務付けることが適当であるとしています。現在でも一部の業務管理体制はこうした事業者にも適用されているとはいえ、やはり募集の態様により適用範囲に差異があった規制や審査・モニタリング義務も統一化の方向に向かいそうです。

投資運用業・PTS

投資運用業者の複数の不祥事を受けて議論されていた投資運用業者の受託者責任の明確化も、予定通り中間整理に盛り込まれました。

投資運用業者は、国策としての育成が続いており、参入数も増え盛り上がりを見せています。

他方で、直近では、過去に投資運用業者を系列に擁していた第一種金融商品取引業者につき、投資一任業務の無登録営業として、登録取消済みの投資運用業者の処分に事実上被せる形で、行政処分勧告をした事例も出ており、当局は内容により是々非々の態度でこれを監督しています。

また、併せて、市場インフラの機能向上として、PTS の売買高上限等の規制緩和、セキュリティトークンを含む非上場有価証券等の取引プラットフォーム機能の構築等も打ち出されています。

休業・M&A規制案のパブリックコメント

金融庁は、同じく令和4年6月22日付で「「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について」を公表しています。

これは、既報の通り、事実上M&A規制案であって、パブリックコメントに4件しか意見が寄せられなかったことを見ると、M&A関係者は意見を言う前から白旗状態といった印象を受けます。

パブリックコメントで注目すべきは「事業化して募集に至るまでに相当の期間を必要とするファンドが、事業化までの間、個別のファンドの取得勧誘を行っていない場合であっても、直ちに業務の不開始又は休止について「正当な理由がない」とするものではない」「個別の不動産信託受益権の取得勧誘を行っていない場合であっても、直ちに業務の不開始又は休止について「正当な理由がない」とするものではな」いといった、比較的抑制的監督姿勢だと思います。

また「付随業務、届出業務及び承認業務」の実施は休業の判定に関係しないことも確認されました。

合同会社社員権への規制強化

合同会社等の持分会社、外国持分会社の募集又は私募に関しては、令和4年6月21日付の証券取引等監視委員会の募集又は私募規制強化の建議に基づく定義府令の改正案が、翌日の令和4年6月22日付で金融庁から公表されました。

改正案の施行後は、有価証券投資事業権利等及び特定有価証券いずれかに該当する合同会社の従業員による持分の取得勧誘は、第二種金融商品取引業に位置付けられることになります。

持分会社の募集又は私募の制度改正に関する詳細は、こちらの記事をご覧ください。

損失補填の上限引き上げ

令和4年6月21日、金融商品取引業等に関する内閣府令及び金融サービス仲介業者等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」に対するパブリックコメントの結果が発表されました。

金融商品取引業者等による損失補てんの原則禁止の例外(損失が事故に起因するものである場合)の財務局への報告に関する金額基準は、10万円以下から100万円以下に改正されることとなり、令和4年6月22日から施行されます。

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