行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

ステーブル・コインの発行及び仲介規制に関する報道

2021/12/11

令和3年12月7日付の日本経済新聞の報道では、ステーブルコインに関して、発行体を銀行と資金移動業者に限定したうえで、仲介業者も新たに監督対象にすると報じられています。

今年金融庁に設置されたデジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会では、デジタルマネー類似型と暗号資産型のステーブルコインに分類して議論を行ってきました。

報道された規制案は先行する欧米に歩調を合わせた対応であり、金融庁は2022年の通常国会で、今回の内容を含めた資金決済法改正案の提出を目指すとしています。

報道では、「マネーロンダリング(資金洗浄)対策も強化する。ステーブルコインの取引・管理を担う仲介業者を監督対象に加え、利用者の本人確認や、犯罪の疑いのある取引の報告など、犯罪収益移転防止法(犯収法)で定められた措置を求める。」としています。

仲介業者は、新設種別の業者として犯罪収益移転防止法に基づく特定事業者に位置付けられる一方、おそらくは暗号資産交換業からは除外されそうな雰囲気の報道です。

ここでのステーブルコインが、暗号資産型とデジタルマネー型どちらのことを言っているのか、あるいは双方なのか記事だけでは明らかではありませんが、研究会では、デジタルマネー型については、「発行者」と「仲介者」の関係等に関する規律について論点とされていたことが注目されます。

同記事では「テザー(USDT)」が、ステーブルコインの規制の動機であるとされていますが、これに限らず、facebbookのリブラ構想をはじめとして、グローバルステーブルコインは、ここ数年、世界の金融監督当局の主要な関心事項に位置付けられてきました。

アメリカは11月にまとめられた報告書で、ステーブルコイン発行者に銀行並みの規制を課する方向を打ち出した一方で、我が国では報道のように資金移動業者にもステーブルコインの発行余地を認める方向とされていることは、金融庁がFINTECH業界に対して広い参入余地を与えたと見ることができます。

もっとも、資金移動者のうち、ステーブルコインの発行が許されるのは、実際には特定の加重的要件を満たす業者のみになる公算が高いと考えられます。その加重される要件の内容によっては、事実上、銀行と同レベルの資本力ないし社会的信用を有する事業者でないと、事実上参入は不可能になるケースも想定されます。

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