2021/12/19
令和3年12月17日に実施された金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」(第4回)議事次第が公表されています。
議事次第で報告書案が公表されており、AML/CFTに関する共同機関の概要及びデジタルマネー類似型ステーブルコイン規制案が明らかになりました。
共同機関
報告書案は、リスクベース・アプローチの考え方の下、一般にリスクが高いとされる為替取引に関する「取引フィルタリング」「取引モニタリング」について、システムを用いた高度化・効率化を図っていく必要があるとして、共同機関をこれらの業務の中核的な部分を共同化して実施する主体として位置付けています。
FAFF第4次対日相互審査報告書では、大手都市銀行以外の中小金融機関のAML/CFT態勢が課題として取り上げられたことから、共同機関はそれに対応した政府・業界団体主導のAML/CFT業務機関の位置付けられています。
報告書案の共同機関の業務内容を見る限り、今のところ証券業務には直接深く関連はしなそうです。しかしながら「銀行等以外の金融機関に対し、制裁対象者リストの情報を提供することなども想定される。 」との表現がありますので、証券業界も共同機関に一定程度の関与が生じる場面もありそうです。
ステーブルコイン
グローバルステーブルコインに関しては、デジタルマネー類似型である「ア 法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)」と、暗号資産型の「イ ア以外(アルゴリズムで価値の安定を試みるもの61等)」に分類する考え方を維持し、「そのため必要な制度対応等については、両者を区分して検討することが適当と考えられる。」としています。
「上記イに該当する暗号資産型のステーブルコインに対する発行者規制の要否等については、今後の利用実態や諸外国の制度整備の動向等も踏まえつつ、検討する」とあり、暗号資産型のグローバルステーブルコインは、資金決済ワーキング・グループ報告書を踏まえた新制度の対象とならないことが明示されました。
この点、先日の日本経済新聞の報道でははっきりしていなかったのですが、本報告書案に先行して報じられた「銀行・資金移動業者のみが発行可能で、仲介に新たな登録制度が創設されるステーブルコイン」とは、デジタルマネー類似型の話であることが確認されました。
なお、暗号資産型のグローバルステーブルコインは、別途、デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会でも議論されていますので、議論を注視する必要があります。