行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

国際金融ハブ取引に係る税制措置及び国際金融センター特設ページの開設

2021/04/02

金融庁の海外資産運用業者の誘致政策に関するリリースが相次いています。3月30日には国際金融センター特設ページの開設が公表されました。さらに、4月1日には国際金融ハブ取引に係る税制措置が公表されています。

令和3年度税制改正の税制改正では、金融庁の税制改正要望項目が通り、法人税、相続税、所得税等の改正が実現しました。

法人税

法人税については、非上場会社は、従来損金算入が認められていなかった役員の業績連動給与に関して、投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等について、業績連動給与の算定方法等を金融庁ウェブサイトへ掲載する等の場合には、損金算入を認めるとしています。

これにより、運用成績に連動した報酬を受けるファンドマネージャーは、定期同額給与でないと損金算入できないという税法上の制限から解放されました。ファンドマネージャーが、資産運用会社の取締役に就任することに税法上の支障があるという、資産運用会社にとっての長年の課題が解決した格好になります。

相続税

相続税については、従来、外国人であっても10年超日本に居住した場合には世界財産に対して課税されていましたが、勤労等のために日本に居住する外国人については、居住期間にかかわらず、国外財産を相続税の課税対象外とするとすることが決まりました。

所得税

所得税については、従来、成功報酬としてではなく、組合契約の分配条項を用いて投資利益を運用者である業務執行組合員等に分配した場合には、いわゆるキャピタルゲイン分離課税になるのか、報酬であるとして総合課税になるのか不明瞭でした。そこで、今回の税改正で、ファンドマネージャーの運用成果に応じ出資持分を超えてファンドから分配される利益利益の配分に経済的合理性がある場合等においては、総合課税(累進税率、最高55%)の対象ではなく、「株式譲渡益等」として分離課税(一律20%)の対象となることが明確化されました。

さらに外国投資家が海外ファンド等を通じて日本のファンドに投資する場合、その海外ファンド等の持分が25%以上であっても、投資家単位で25%未満の場合等には、日本での申告を免除するとしています。

総論

今回の税制改正は、資産運用ビジネスの活性化に向けて、長年の課題となっていた税制上の課題を的確に解消する政策です。

また、機を同じくして、国際金融センター特設ページも開設されました。内容の作りこみに関してはこれからといった印象ですが、海外の資産運用業者の誘致に向けて当局の積極的な姿勢が伝わってきます。

ちなみに登録審査の実務においても、直近では、投資助言・代理業、投資運用業の登録審査は、とりわけ機関投資家向け業態の事業者では以前と比べて大幅に迅速化されています。

迅速化の恩恵に浴するには、当然ながら、申請当初段階で金融商品取引法規制や内部管理態勢等を的確に構築し、申請者が当局の求める知識経験及び社内体制の水準にあることを示す必要があります。登録審査を受ける前段階で、専門家の関与の下で精密で正確な事業計画や説明資料を作成することが、以前にも増して重要になっているといえます。

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