第二種金融商品取引業とは
このページの目次
第二種金融商品取引業者の分類:大分類–みなし有価証券関連業務–第二種金融商品取引業でのファンドとは–自己募集の登録の要否はルールが複雑–「自己」募集の自己とは誰か–みなし有価証券のうち外国LLCスキーム–その他のマイナー業務–登録業者のマジョリティー
人数制限と業務範囲:基本的な制限–有価証券届出書の提出が必要になるケースの詳細
第二種金融商品取引業者への規制:業規制の適用–電子募集及び電子募集取扱業務–電子募集等関連自主規制規則–電子募集取扱業務について正しく知る–第二種少額電子募集取扱業務との関係
第二種金融商品取引業の協会加入義務:任意加入だが義務に近い–加入義務協会
第二種金融商品取引業者の業態:概略–ファンドの二種–投資運用業も必要になるファンド–第二種金融商品取引業のみで有価証券又はデリバティブ取引に投資するファンドが組成できるか–先例がないものは事実上難しい–不動産信託受益権の二種–その他出資対象事業に関する制限
参入・運営難度:参入の難しさと運営の実際
Q&A:第二種金融商品取引業に関するよくある質問
Last update 2025.10.2
第二種金融商品取引業者の分類
大分類
第二種金融商品取引業とは、基本的に、「ファンド(集団投資スキーム持分)」や「信託受益権」などの流動性の低い有価証券、すなわち株や社債等のメジャーな有価証券以外の、金融商品取引法第2条第2項各号に掲げるみなし有価証券(以下「みなし有価証券」という。)を販売する業務です。
また、「みなし有価証券」には該当しない投資信託の受益証券を含む、一定の有価証券の自己募集(私募及び募集)、通貨関連市場デリバティブ取引等に関しても、マイナー業務ながら第二種金融商品取引業に位置付けられています。
以下、複雑な話が続きますが、第二種金融商品取引業とは、ほとんどの場合は「ファンド」か「不動産信託受益権」の販売業務です。
第二種金融商品取引業登録だけで組成できるのは事業型ファンドです。株やFX等のファンドはそれだけでは組成できません。
なお、不動産信託受益権は「不動産ファンド」ではありません。不動産ファンドを始めるには、より高いハードルがあります。第二種金融商品取引業だけでは不動産ファンドはできません。
みなし有価証券関連業務
第二種金融商品取引業務は、「みなし有価証券」に関しては、売買、媒介、募集又は私募(自己募集)、募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い、市場デリバティブ取引等(みなし有価証券の市場デリバティブ取引は実際には不存在)があります。
- 複雑にみえて「みなし有価証券」の「行為」としてはこれだけです。
第二種金融商品取引業でのファンドとは
第二種金融商品取引業における「ファンド」とは、通常は金融商品取引法第2条第2項第5号及び第6号に掲げる集団投資スキーム(以下、本節では「ファンド」は集団投資スキームをいいます。)を指しています。集団投資スキームとは、投資事業組合、投資事業有限責任組合、匿名組合及び外国リミテッドパートナーシップのように組合型の投資ヴィークルを指します。
よって、投資信託や投資法人等の形式のファンドは、この狭義のファンドには該当しません。ファンドの分類については、あわせてこちらの記事を参照してください。
また、集団投資スキームの形態をとっていても、金融商品取引法第2条第2項第5号ニ、金融商品取引法施行令第1条の3の3及び金融商品取引業第二条の定義に関する内閣府令第7条に掲げる要件を満たす、共同事業型の組合(JV等)、非営利組合(いわゆる、NPOバンク特例)、不動産特定共同事業法1号2号業務に基づく組合、保険型、組合型士業事務所、分収林契約、各種持株会及び製作委員会などが、集団投資スキームから除外されています。
いずれにせよ「ファンド」の売買等業務は、原則として第二種金融商品取引業者がこれを行う必要があります。
自己募集の登録の要否はルールが複雑
「ファンド」以外のみなし有価証券に対するルールは、ファンドと少し異なります。私募又は募集(通称「自己募集」。他社に委託せず自社の役職員で出資を募集をすること。)が第二種金融商品取引業に該当する「みなし有価証券」は、「ファンド」及びその他金融商品取引法施行令第1条の9の2に指定された有価証券のみです。
よって、つねにその販売には第二種金融商品取引業が必要なファンドとは異なり、通常の持分会社の社員権は、法令上は「みなし有価証券」ではあるものの、同施行令で指定されていません。よって、その自己私募又は自己募集は第二種金融商品取引業に該当しません。つまり、持分会社社員権は、自ら資金を集めるなら、登録は不要、他社が資金を集めるなら登録が必要と、結論が別れます。
ただし、金融商品取引法施行令第1条の9の2第2号及び金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第16条の2で、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合で法第2条第2項第3号及び第4号に掲げる権利に該当する場合には、自己募集を第二種金融商品取引業としています。よって、いわゆるブロックチェーン技術を使ったセキュリティトークン(電子記録移転権利)型の合同会社等の持分会社社員権は、自ら行う自己私募又は自己募集でも、第二種金融商品取引業登録が必要です。
ただし、この例外のさらなる例外になりますが、ブロックチェーン技術を使っている場合であっても、令和6年の金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の改正で、いわゆる合同会社型DAOに該当する場合には、一定の要件の下に、通常の合同会社等の社員権と同様に自己募集に第二種金融商品取引業が不要となっています。
自己募集の「自己」とは誰か
令和4年6月21日付の証券取引等監視委員会の建議は、セキュリティトークン型(電子記録移転権利)に該当しないその他合同会社一般に対しても、その従業員による取得勧誘に関しては、金融商品取引業登録を求める方向性が示され、令和4年10月3日から同改正の内閣府令が施行されています。よって、セキュリティトークン型(電子記録移転権利)に該当しないその他合同会社一般の無登録での自己募集は、業務執行社員により自ら行われる必要があります。つまり、自ら出資を集めるの定義は、役員自ら出資を集めるであり、従業員による出資の勧誘は登録が必要ということです。
なお、集団投資スキームを含むみなし有価証券(2項有価証券)が、同時に電子記録移転権利(セキュリティートークン)に該当する場合、その募集又は私募の取扱い業務は、第二種金融商品取引業ではなく、例外的に第一種金融商品取引業に該当しますので、注意が必要です。なお、プロ向けのセキュリティトークンで、通称、適用除外電子記録移転権利に該当する場合や、いわゆる合同会社型DAOに該当する場合は、本則通り第二種金融商品取引業となります。
みなし有価証券のうち外国LLCスキーム
国内では、持分会社の社員権は、二重課税問題もあり第二種金融商品取引業の取扱業務の対象としてはあまり利用されない傾向にありますが、アメリカでは不動産等の証券スキームで、デラウエア州法等に基づくLLCの利用が活発であり、多層構造のケースも含め、実務上よく目にします。
外国不動産、とくにアメリカの不動産証券化事業では、LLCの利用率が高く、また税務等のスキーム上のいわゆるブロッカーとしてLLCを多層化する(事業を行うLCCと海外居住者から出資を受けるLLCを分離する)ことも多くなっており、こうしたLLC持分に関して、主に機関投資家、富裕層向けに取扱い業務を行う第二種金融商品取引業者は一定数存在します。
また、近年は下火ですが、海外におけるいわゆるランドバンキングも、外国LLCの形態にて組成されているケースがあります。こちらは主として一般投資家向けに外国合同会社の募集又は私募の取扱いに該当するものとして、第二種金融商品取引業者が販売を行っていました。
ちなみに、近年ではシンガポールVCCがオフショアファンドヴィークルとして多用される傾向にありますが、シンガポールVCCはLLC類似スキームではなく、外国投資法人であり、出資持分は外国投資証券として整理するべきという説があります。他方で、集団投資スキームとして届出をされている先例もあります。
その他のマイナー業務
みなし有価証券関連業務以外には、委託者指図型投資信託の受益証券、外国投資信託受益証券、抵当証券、外国抵当証券及び及び一定の政令指定有価証券の募集又は私募(自己募集。いわゆる「投信直販」の業態を含む。)、通貨関連市場デリバティブ取引(=くりっく365)、委託者指図型投資信託の受益証券及び外国投資信託の受益証券についての転売を目的としない買取り等などがあり、細かく分類ができます。
登録業者のマジョリティー
登録されている第二種金融商品取引業者の業務内容は、実務上、ファンドの募集又は私募(自己募集)及び募集又は私募の取扱いか、不動産信託受益権の売買、媒介又は私募の取扱い業務が多いです。
第二種金融商品取引業の登録をすれば、船舶・航空機などのレバレッジドリースファンド、債権流動化ファンド、飲食店などの事業ファンド、映画等のコンテンツファンドなどの、いわゆる金融商品(正確には「主として有価証券又はデリバティブ取引」)への投資を目的としないファンドを組成・販売することが可能になります。
- 要するに、二種は「ファンド」か「不動産信託受益権」
- 「不動産信託受益権」は、不動産ファンドではありません。
- 不動産ファンド、VCPE、ヘッジファンド等は二種だけではできません。
人数制限と業務範囲
基本的な制限
第二種金融商品取引業登録をすると、みなし有価証券(ファンド含む。)について、募集人数の制限なく投資家を集めることができます。
たまに誤解している方を見かけますが、募集(いわゆる公募)又は私募の区別は、有価証券届出書の提出義務等の開示規制に係る論点であり、当該業務が第一種金融商品取引業か第二種金融商品取引業かの区別には関係しません。
みなし有価証券に関連する業務である限り、引受や電子移転記録権利の取扱い等の例外的なケースを除き、基本的に公募でも私募でも第二種金融商品取引業です。
ただし、有価証券投資事業権利等に該当するみなし有価証券を500人以上に取得させる場合には、「募集」に該当するため、有価証券届出書の提出が必要になります。なお、有価証券投資事業権利等とは、出資総額の 100 分の 50 を超える額を有価証券に対する投資に充てて事業を行う国内外の持分会社社員権及び集団投資スキームのことです。
また、有価証券投資事業権利等に該当するか否かを問わず、第二種金融商品取引業は「募集」に際して、契約締結前に提供する情報の内容を事前に財務局に届出する必要があります。
有価証券届出書の提出が必要になるケースの詳細
有価証券届出書の提出が必要になるケースの詳細をもう少し解説します。
第二種金融商品取引業単体では、主として有価証券又はデリバティブ取引を行うファンドの組成をすることができないのが原則になっています。
しかしながら、投資運用業と併せて登録してファンド運用業(15号業務)を行う場合、ファンドの運用に関して投資運用業者に投資一任契約(12号業務)する場合、ファンドの運用が適格機関投資家等特例業務(金融商品取引法第63条)又は海外投資家等特例業務(金融商品取引法第63条の8)で行われる場合、外国投資運用業者が投資運用業者及び登録金融機関のうち投資運用業を行う者を権利者とする場合(金融商品取引法第61条第3項)並びに外国投資運用業者が適格機関投資家及び特例業務届出者向けファンドの運用に係る金融商品取引業登録義務の一定の除外要件に該当する場合(金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第1項第13号)等のケースでは、主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利により運用するファンドを、第二種金融商品取引業として募集することができます。
そうした「主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利により運用するファンド」のうち、「主として有価証券で運用するファンド」(運用財産の50%超を「有価証券」で運用する権利。有価証券投資事業権利等。)について「募集」を行うにあたっては、上記のように有価証券届出義務が生じます。
なお、募集の定義は、実取得者数で500名以上です。第一項有価証券と異なり49名の勧誘制限はありません。そのため開示コストの関係で、組合型の株式等の有価証券への投資を目的とするファンドは、権利者499人までの私募の範囲で発行される傾向があります。
- 株式投資などの「有価証券投資型ファンド」以外は公募私募はあまり関係ない。
- 「有価証券投資型ファンド」の公募に限って、有価証券届出書の提出が必要。
- そして私募=49名の常識は、みなし有価証券では通用しない。ということ。
第二種金融商品取引業者への規制
業規制の適用
ファンドビジネスを行ううえでは、第二種金融商品取引業は設計の自由度が非常に高い一方で、金融商品取引業者としての分別管理義務や書面交付義務、法定帳簿等のさまざまな規制は、法令及び協会規則に従い非常に厳格に定められています。
第二種金融商品取引業者は、ファンド、すなわち有価証券たる集団投資スキームを販売し、場合によってはお客様のお金を預かる(資本金5000万円以上の会社は特定有価証券等管理行為として、顧客に口座を開設させることも可能。ただし電子申込型電子募集取扱業務の場合は、信託保全義務あり)こともできるなど、いわば「金融機関」としての重い責任を負っています。
電子募集業務及び電子募集取扱業務
平成27年5月29日からは、インターネット上でのファンド(貸付型等の金融商品取引法施行令第15条の4に掲げるものを除く)の募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い(募集要項の掲載等も含む)に関しては、電子募集取扱業務と位置づけられるようになりました。そのため、ネット上で、貸付型ファンド及び自社発行ファンド以外の集団投資スキームの勧誘行為(取扱)を行う際には、第二種金融商品取引業だけでなく電子募集取扱業務の登録も必要になっています。
電子募集取扱業務の定義は広く、平成27年5月12日付け金融庁パブリックコメント及びこれを受けた一般社団法人第二種金融商品取引業のQ&Aでは、「一般的に、個別の有価証券について、その商品概要や手数料、予想リターン、申込期間などをホームページで掲載している場合には、当該ホームページにおいて商品の申込みを受け付けていないとしても(実際の申込みの手続きは、電話や対面などによるとしても)、電子募集取扱業務に該当する可能性が高い」としています。
そのうえ、電子募集取扱業務のうち、電子募集取扱業務であって、インターネット上で有価証券の購入の申込みが完結する業務(つまりファンド等のネット申し込みを受け付ける)である「電子申込型電子募集取扱業務」を行う者に対しては、発行者に対する審査、投資者への情報提供の確保、クーリングオフ、目標募集額の取扱いの明示等の追加的な義務が新設され、いわゆるクラウドファンディングへの規制が大幅に強化されています。
また、令和5年金商法改正では、従来、電子募集取扱業務の対象から除外されていた貸付型ファンドを、電子募集取扱業務の規制対象としました。さらに、自己募集の形態であっても、貸付型ファンド(貸付事業等権利)に関しては、その電子募集業務に関して、電子募集取扱業務とほぼ同等の規制に服することが求められるようになりました。令和6年11月1日に同改正が施行されています。
- ネットでの有価証券の「取扱い」は、電子募集取扱業務
- ネットでの貸付型ファンドの「自己」募集又は私募は、電子募集業務。
- ネットで申込・契約までできる場合は、「電子申込型」
電子募集等関連自主規制規則
一般社団法人第二種金融商品取引業協会でも、クラウドファンディング及びソーシャルレンディング、すなわち電子申込型電子募集業務及び電子申込型電子募集取扱業務に該当する場合、それぞれにつき、審査やモニタリング等に関する自主規制規則が定められており、業務を実施する場合にはこれら規則を遵守して行う必要があります。第二種金融商品取引業では、協会への加入の有無にかかわらず、協会規則はルールとして拘束性があります。
当然ながら、第二種金融商品取引業者は、証券取引等監視委員会(財務局)の臨店検査の対象であり、実際に多くの検査が実施されています。第二種金融商品取引業への登録を希望する場合には、法令はもちろん、自主規制にも違反せず適切に業務ができるよう十分な態勢整備をする必要があります。
なお、かかる自主規制は、令和5年金融商品取引法改正に伴い令和6年11月1日に、株主一元化ファンド制度を受けて令和7年3月19日に、それぞれ大きく改正されています。
電子募集取扱業務について正しく知る
正確な知識を持たないと、企画する事業がどれも電子募集業務又は電子募集取扱業務に見えてきます。しかし、少し前ですが令和3年7月末日時点で、第二種金融商品取引業者のうち、電子募集取扱業務の登録を受けている業者は、第二種金融商品取引業者の1221社の中で、41社に過ぎませんでした。
しかも、これは大手金融機関も含む数字です。第二種金融商品取引業者の中で、電子募集取扱業務を持っている業者は例外的少数であり、さらに言えば電子申込型電子募集取扱業務まで持っている業者は、ほとんどおらず、いわば「はぐれメタル」のような存在です。
これはどういうことかというと、電子募集取扱業務の定義は、オンラインでのファンドの販売行為全般に及ぶわけではないからです。
よく、「ネットでファンドを販売したいので、電子募集取扱業務が必要だ」とか、「電子募集取扱業務がないので、ホームページでは一切ファンドを販売できない」という声を聞きますが、これは正しくありません。
電子募集業務及び電子募集取扱業務は、「貸付型ファンドの自己私募又は自己募集」、「ファンドの発行者が第二種金融商品取引業者自身ではなく、他社やSPCのファンド」である場合のみ、登録を受ける義務があるからです。
第二種金融商品取引業者自身が発行者である、貸付型ファンド以外のファンドの電子募集(自己募集)は、電子募集業務及び電子募集取扱業務の登録は必要ではありません。ただし、こうした場合にも金融商品取引法第35条の3及び金融商品取引業等に関する内閣府令第70条の2に掲げる業務管理態勢の整備義務は適用されますので、登録義務がなくても、きちんとした体制構築は必要になります。
なお、ソーシャルレンディング等の貸付型のファンドは、以前は電子募集業務の概念自体がなく、さらに、電子募集取扱業務からも除外する例外が設けられていましたが、令和5年金商法改正に伴う政令及び内閣府令で、令和6年11月1日以降、例外が廃止されました。
貸付型のファンドの電子募集業務又は電子募集取扱業務は、現在では改正前の従来型電子募集取扱業務とほぼ同様の規制に服しています。
第二種少額電子募集取扱業務との関係
投資型クラウドファンディングを行う場合には、第二種少額電子募集取扱業務として登録を受けなければいけないのではないかという質問がよくあります。結論から言えば、この制度は無視して問題ありません。
法令は、集団投資スキーム持分の募集の取扱い、私募の取扱いであって、発行価額の総額及び取得する者が払い込む額が「少額」であるものは、一定の要件を満たす場合、「第一種少額電子募集取扱業務」又は「第二種少額電子募集取扱業務」として一定の緩和的な規制を設けています。
「少額」要件については、発行価額の総額1億円未満(金融商品取引法施行令15条の10の3第1号)かつ1人あたりの払込額50万円以下(同条2号)とされています。また、総額1億円未満の要件については、(1)募集又は私募を開始する日前1年以内に行われた同一の種類の有価証券の募集若しくは私募と(2)申込期間が重複する同一の種類の有価証券の募集又は私募の発行価額の総額とを合算(金商業等府令16条の3第1項)、1人あたり50万円以下の要件については、払込日前1年以内に同一の種類の有価証券について応募又は払込みが行われたものを合算(同条2項)する、いわゆる合算要件があります
しかし、株式等のエクイティークラウドファンディングを手掛ける第一種少額電子募集取扱業者は、数社存在しているのですが、令和7年現在、第二種少額電子募集取扱業者は存在していません。それは、第二種少額電子募集取扱業者の受けられる規制緩和が、資本金の金額等ごくわずかであるのに対して、第二種金融商品取引業及び電子募集取扱業務の登録を受ければ、上記の金額の制限なくファンドの募集が可能だからです。
電子募集取扱業務の登録をすると、上記の少額要件や合算要件の対象になってしまうのではないかという誤解がよくありますが、第二種金融商品取引業者として電子募集取扱業務を行えば、電子申込型電子募集取扱業務のケースも含めて、上記の少額要件や合算要件は適用されません。
ただし、前述のように、みなし有価証券を500人を超えて募集する場合には、募集(いわゆる公募)に該当するため、事業型ファンドの場合には、事前の契約締結前に提供する情報の内容の届出義務を負います。
また、前述のように主として有価証券に投資を行うファンド(金銭その他の財産の価額の合計額の百分の五十を超える額を充てて有価証券に対する投資を行うファンド(金融商品取引法施行令第2条の9))は、募集を行う場合には、有価証券通知書又は有価証券届出書を提出する必要があり、いわゆる開示規制に服することになります。そのため有価証券投資型のファンドは、499人までの私募の範囲で発行されることが一般的です。
第二種金融商品取引業の協会加入義務
任意加入だが義務に近い
一般社団法人第二種金融商品取引業協会規則は、あくまで法的には自主規制規則に過ぎないのですが、法令と同様の拘束力があります。それは、既存の会員に対しては、協会員の遵守すべき規則として定められた自主規制であることに加えて、協会員でない第二種金融商品取引業にも、法令がその規則に準じた社内規則を制定することを求めているからです。
金融商品取引法第29条の4第1項第4号二は、「一般社団法人第二種金融商品取引業協会に加入しない者であって、協会の定款その他の規則(有価証券の売買その他の取引等を公正かつ円滑にすること又は投資者の保護に関するものに限る。)に 準ずる内容の社内規則(当該者又はその役員若しくは使用人が遵守すべき規則をいう。)を作成していないもの又は当該社内規則を遵守するための体制を整備していない者」を金融商品取引業の登録拒否事由に該当するとしています。
また、一般社団法人第二種金融商品取引業協会は、任意加入団体であり、新規登録の際にも加入を予定しないで金融商品取引業の登録を受けることができるのではないかという質問を受けることがありますが、現在は新規登録業者に対して、一般社団法人第二種金融商品取引業協会に加入するように行政指導がなされていることから、事実上、ファンドや信託受益権関連の業務を行う新規登録業者には一般社団法人第二種金融商品取引業協会への加入義務があると考えられています。
加入義務協会
第二種金融商品取引業のうち、みなし有価証券に関連する業務は、一般社団法人第二種金融商品取引業協会の加入対象ですが、投資信託受益証券の自己募集や通貨関連市場デリバティブ取引等の業務に関しては、一般社団法人第二種金融商品取引業協会の自主規制の対象に含まれておらず、業務範囲の対象外となります。
その場合、一般社団投資信託協会や、一般社団法人金融先物取引業協会の加入対象となり、それら自主規制団体の自主規制規則が業務に関連してきます。
第二種金融商品取引業者の業態
概略
最初でも説明した通り、市場デリバティブ取引や投資信託受益証券の自己募集のようにマイナーな業態はあえて無視して、第二種金融商品取引業者を分類すると、まずは「ファンドの二種」と「信託受益権の二種」に大別することができます。
ここで、あえて無視する理由は、市場デリバティブ取引や投資信託受益証券の自己募集等の典型以外の第二種金融商品取引業の業態は、第二種金融商品取引業のみでは成立しにくいからであり、他の項目に併せて説明したほうが適切だからです。
投資信託受益証券の自己募集(私募及び募集)は、事実上、投資運用業である投信委託業務の付帯業務(投信直販)と見られています。また、通貨関連市場デリバティブ取引等に関しては、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針V-2-2-1法令等遵守態勢の通り、市場デリバティブ取引業者が、通貨関連市場デリバティブ取引等に関し顧客から金銭の預託を受ける場合には、当該行為が有価証券等管理業務に該当するため、第一種金融商品取引業の登録が必要であることから、通常は第一種金融商品取引業の登録を受けて業務を行っています。
ファンドの二種
「ファンドの二種」には、無数の形態がありますが、「主として」、すなわち運用財産の 50%超を、有価証券(株式、債券等)又はデリバティブ取引に係る権利(外国為替証拠金取引、日経平均先物取引等)に投資をすることがないファンドの場合には、商品投資規制法や不動産特定共同事業法等の他法令で規制されている事業でなければ、第二種金融商品取引業に登録することにより、第二種金融商品取引業者のみで適法にファンドを自己募集及び運用することが可能です。
投資運用業の登録を有せず、第二種金融商品取引業のみで金融商品取引業を行う事業者のビジネスモデルでよくあるのは、「船舶・航空機ファンド」「再エネファンド」「絵画・競走馬等の現物ファンド」「貸付型ファンド」「投資型クラウドファンディング」などだと思います。
投資運用業も必要になるファンド
ファンドの運用者が、投資運用業の登録を受けている場合には、主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に投資するファンドも、第二種金融商品取引業者が組成・販売することができます。ベンチャーキャピタル、ヘッジファンド、PEファンド、信託受益権化された不動産のGKTKの販売等です。逆に言えば、これら運用業務に原則として投資運用業の登録が必要なため、第二種金融商品取引業だけでは、原則としてベンチャーキャピタル、ヘッジファンド、PEファンド、信託受益権化された不動産のGKTK等は、組成することはできません。
ベンチャーキャピタル、ヘッジファンドは、投資運用業のうちファンド業務(15号業務)と第二種金融商品取引業のうち自己募集(7号業務)として行われるが一般的です。また、信託受益権化されたGKTKスキームの場合は、アセットマネージャーによる投資一任業務(12号ロ業務)及び第二種金融商品取引業のうち私募の取扱い業務(9号業務)として行われるのが一般的です。
なお、ファンドを第二種金融商品取引業者が募集(募集又は私募の取扱)するものの、そのファンドの発行者(匿名組合の営業者等)は第二種金融商品取引業に登録しているSPCなどの場合、そのSPCなどの行為も、募集又は私募(7号業務)に該当し、双方に第二種金融商品取引業登録が必要なのかという問い合わせを受けることがあります。
しかし、金融庁は、パブリックコメントで、「金商法第2条第8項第7号イ~トに掲げる有価証券の発行者が、その取得勧誘(同条第3項)を第三者に委託して自らは全く行わない場合には、「有価証券の自己募集(私募)」(同条第8項第7号)を行っているとは認められず、「有価証券の自己募集(私募)」に係る金融商品取引業の登録を受ける必要はないものと考えられます」と回答しています(平成19年パブリックコメントP58 No103-115)。
第二種金融商品取引業のみで有価証券又はデリバティブ取引に投資するファンドが組成できるか
上記の「主として」の定義を踏まえると、理論上は第二種金融商品取引業に登録すれば、投資運用業者の関与なく、例えば、以下のように実質的に有価証券又はデリバティブ取引を営むファンドを設立することができるように思えます。
(1)関係会社への貸付をファンドの事業とし、その関係会社で株式投資
(2)FX取引を運用資産の3割までにとどめ、残りの7割は飲食店経営
しかしながら、実務上は規制当局はこうしたスキームを脱法行為ととらえており、本当にファンド資産の50%を超えることがないのか、審査は厳しく行われます。また、1の事例では貸金業登録の必要性(グループ貸付への該当性)も問題になります。
それゆえ、これらを実現するのは至難の業であり、過去の先例自体は存在するものの、事業ファンドに有価証券又はデリバティブ取引に係る権利を組み入れる必然性が疎明できない限りは、財務局はこれらスキームは認めないと考えるべきです。
第二種金融商品取引業は、活用次第ではいろいろな可能性がありますが、投資者保護上の適切性や金融商品取引法制の制度趣旨を踏まえ、その業務の内容及び方法には慎重な検討を要します。
なお、有価証券又はデリバティブ取引に係る権利がファンド資産の50%を超えることがない場合でも、有価証券又はデリバティブ取引に係る権利たる運用資産の投資判断をファンドの発行者(いわゆるGPや営業者)が自ら行わず、アセットマネージャーを外部に置く場合には、当該アセットマネージャーは投資一任契約を締結するものとして、投資運用業の登録が必要になります。
先例がないものは事実上難しい
かつて「ファンドの二種」の対象には沈没船引き上げや映画製作など、ありとあらゆる種類のファンドが存在したのですが、平成20年代に破綻と行政処分が頻発して、規制強化でそうした特殊な形態のファンドは壊滅状態になりました。そもそも、特殊な出資対象は、経済的にも成立基礎自体を欠いているケースが多く、殆どの場合はうまくいきません。
そのため、令和に入ってからは、第二種金融商品取引業で具体的に登録できて業務として成立するファンドは、ソーシャルレンディング(事業者等への融資)、再生可能エネルギー、船舶航空機自動車等の伝統的アセットファイナンス、投資運用業等に伴う有価証券又はデリバティブ投資ファンド(VC・PE・ヘッジファンド等)、飲食等の伝統産業の小規模クラウドファンディングなど、ごくごく限られて、かつ、先例が存在する形態のものばかりになっています。
例えば、NFTや暗号資産を絡めたものは事実上ほぼ不可能ですし、イベントやアンティークコイン等の非典型的な資産への投資を目的とするファンドはほぼ存在せず、さらに言えば、上記以外の事業会社の仕入れ資金等の実需に伴う資金調達等のための二種も殆どうまくいきません。伝統的な事業形態のフォーマットに嵌らない業態は、事実上難しい面があります。
不動産信託受益権の二種
上述の「信託受益権の二種」ですが、これは事実上、不動産信託受益権を販売する第二種金融商品取引業であり、信託受益権化された不動産を売買、媒介及び私募の取扱いをする、いわば宅地建物取引業者の上級資格のような業態です。不動産信託受益権は、それ自体はファンドでもREITでもありませんので、第二種金融商品取引業だけでは不動産ファンドは作れません。
もっとも、小口化信託受益権の手法で、特定の不動産を信託を利用して小口化して販売する手法は存在しています。これは第二種金融商品取引業の範囲内で行うことができます。そのため、特定の物件に対して所有権に準じて紐づいた形での不動産の小口化は、第二種金融商品取引業の範囲で可能といえます。
ただし、信託受益権化自体にハードルがあることから、アパマン・区分所有1部屋のような規模・内容の物件は証券化には適さず、いわゆる商業施設、オフィスビル、レジ、ロジ等の相応のグレードの物件であることが前提になります。
その他出資対象事業に関する制限
後述のQ&Aに詳細を記載するように、第二種金融商品取引業に登録しただけでは組成できないファンド類型は多数あります。
それは、以下のように概ね3つに分類されます。
・不動産ファンド(不動産特定共同事業法による制限)や、コモディティファンド(商品投資顧問業法により制限)のように、他の法令の規制を受けるパターン
・FXファンド(投資運用業)のように、金融商品取引法の中の他の登録制度が関連するパターン
・仮想通貨ファンド(実務上ほぼ不可能)のように、行政指導等の理由により制度上出来ても事実上できないパターン
このうち、出資対象事業が他の法令の規制を受けるパターンに関しては、古物商や貸金業のように比較的許認可の取得が容易なものもあれば、暗号資産交換業のようにそもそも新規登録自体が不可能に近いようなものもありますので、個別的な実現性の検討が必要になります。
参入・運営難度
参入の難しさと運営の実際
第二種金融商品取引業の登録は、難しい面と容易な面が混在していて複雑です。当事務所のスタンスとして、形式上は可能であるが、経験上、実質的に実現可能性がない案件に関しては、ご相談の時点でその旨をはっきりと申し上げております。
一般に、金融機関出身者を主体としない中小事業会社による、自社の事業資金や仕入資金の調達のための事業ファンドのための第二種金融商品取引業の登録は殆どできません。過去の業界内での成功例もほぼありません。普通の会社にとって、第二種金融商品取引業に登録して資金を集めるのは、銀行から借りるよりずっと難しいです。
他業界から見ると、一見、銀行融資等と同じただの資金調達手段に見えるかもしれませんが、これはこれで、人生をかけて真剣に取り組んでいる人が多数いる厳しい業界です。外部からそう簡単に参入できませんし、専門的な知識経験なしでビジネスを成功させるのも不可能に近いです。
第二種金融商品取引業に登録して上手くいくのは、不動産AM/GKTK・信託受益権・アセットファイナンス・FINTECHベンチャーによるクラウドファンディング・ソーシャルレンディング等、殆どが人的にも業的にも、既存の事業フォーマットの延長線上にある事業者なのが実態です。
その点を玉虫色にして「行政書士業務」を発生させるやり方は、仮に私どもの「ビジネス」になったとしても後日、問題が生じるもとになります。
また、準備期間をかけてあれこれ用意して結局実現できないということは、厳しい言い方をすれば依頼者様の人生を空費させることになります。当事務所でもそれはなによりも避けたいことです。
実務レベルで実現可能な、そして現実的な範囲でビジネスを実現するにはどうすればいいのか、私どもは経験と知識に基づき知りうる限り客観的に状況をご説明し、考えうる解決案をアドバイス可能です。迷ったら是非ともご相談ください。
ここまでの説明で概要はわかったので詳細を知りたいという方は以下へどうぞ。
- 電子申込型電子募集取扱業務とは
- 電子募集取扱業務とは
- 第二種金融商品取引業の発行体審査及びモニタリングの実務
- 第二種金融商品取引業者のM&A(買収)について
- 匿名組合の組成について
- 不動産信託受益権関連業務
- 船舶・航空機ファイナンス
- 投資型クラウドファンディング
