デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会第3回

2021/10/08

令和3年10月6日開催の「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第3回)議事次第が公開されました。

資料3「討議頂きたい事項」に、今回焦点となっている論点事項が整理されており、今後の研究会の方向性を示すものとして注目されます。

やはり、DeFiをはじめとする「パーミッションレス型の分散型台帳等を利用した金融サービスに関する基本的な課題」が論点1に挙げられています。

分散型台帳技術により実質的な運営者がいない又は一部のレイヤーにしか運営者がいない金融サービスネットワークを、どのように効率的に規制監督するかという課題は、大げさに言えば、金融規制思想に根本的な見直しを迫るものであり、今回の議論の目玉であるといえます。

また、ステーブルコインを巡る諸課題を巡り、「デジタルマネー類似型」と「暗号資産型」の規制の整理と、「デジタルマネー類似型」の償還可能性への疑義が課題に挙げられています。

ステーブルコインは、資金決済法上の前払式支払手段なのか、それとも暗号資産なのかは、その仕組み次第で異なり、通貫性を欠く規制になっています。また、FIATと連動したステーブルに本当に裏付けがあるのかは、その誕生のころから、常に疑義が投げかけられてきました。

2019年のfacebookによるリブラ構想発表の頃から、グローバル・ステーブルコインの規制監督は、主要国にとってとくに重要な規制課題になっており、金融安定理事会(FSB)は、令和2年の10月13日に、「『グローバル・ステーブルコイン』の規制・監督・監視-最終報告とハイレベルな勧告」を公表しています。

グローバルステーブルコインは、研究会の第2回でも議論されました。

グローバルステーブルコインが普及すれば、低コスト・迅速・ボーダレスな送金が可能になると目されており、現在の銀行を中心とする国際決済システムを置き換えかねないインパクトがあり、とりわけ発展途上国では、既存の銀行セクターを完全に置き換えてしまう可能性も指摘されています。

技術的課題やAML/CFT等の積み残しも多く、金融システムの安定性に対する懸念が払しょくできないことから、現時点ではグローバルステーブルコインの本格的な普及は、時期尚早と見られていますが、国内法を見ても上記のように規制体系は整備途上にあります。

いずれにせよ今回の研究会での論点となっている分野は、5年先、10年先の金融システムにおいては、極めて重要な分野に成長しているものと目されています。議論の行先を注視したいところです。

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