2021/10/15
令和3年10月10日付の日本経済新聞は、金融庁は2022年夏にかけて、金融事業者がマネーロンダリング対策を十分にとっているかを集中的に検査すると報じています。
同記事では、検査対象は銀行に加え、信用金庫や信用組合、スマートフォン決済事業者や暗号資産交換業者も対象に広げ総数は約160になるとしています。
金融商品取引業は他の業態との比較で必ずしも考慮の優先度の高い業態でないとの認識は既に存在していましたが、FATFによる第4次対日相互審査報告書、今回の報道及び前後して金融庁が行ったFATF審査結果の概要及び今後の当局の対応方針についての説明会においてこれが改めて明示された格好です。
金融庁説明会
先日の説明会では金融商品取引業者の中での個別の業態、すなわち第二種金融商品取引業者や投資助言代理業者、あるいは適格機関投資家等特例業務届出者など、相対的にマネーロンダリングリスクが高くないと思われる業態の事業者は、例えば第一種金融商品取引業などの業態に比して考慮の優先度が落ちるかどうかに関して、当局は明言を避けました。
今後は、どの業態であっても業務の特性を踏まえて一側充実したAML/CFTの管理態勢を構築する必要があることは明らかです。
また、説明会では今回の審査結果を受けた法令改正の予定に関して明言しておらず、今後、検討を進める中で改めて具体的な法令改正議論が出てくるものと思われます。
取引モニタリングシステムについてはNEDOと連携してすでに実証実験が行われていますがこれを踏まえ、政府は共同システムの実用化に向けて議論を進めています。
取引モニタリングシステムに関しては、金融庁が投信委託会社に対して、疑わしい取引のモニタリングシステムの導入を義務づけるものではないと回答してることも注目されます。