行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第1回)議事録公開

2021/09/10

金融庁は、7月26日開催のデジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第1回)の議事録を公表しました。

議事録を見る限り、本研究会はブロックチェーンに関してかなり深いところまで掘り下げて、大きな規制の体系自体を議論しようとしているようです。

たまに見かける事務局の中で予め存在するある種結論ありきの研究会や審議会とは、その性質を異にしている感じがします。おそらく、現時点では事務局も具体的にこうしたいという方向性が完全に決まっているわけではないのであろうという印象を持ちました。

いずれにせよブロックチェーン関連業態は、暗号資産交換業、第一種金融商品取引業等の多くの業態に分散していますが、その関係を改めて整理しなおすことが必要であることは間違いありません。

委員の発言には、DeFi、NFT、STO、DAOなどの単語も多く出てきます。

DeFiとは管理者が存在せず、予めブロックチェーン上で定められた通り取引を執行する分散金融サービスであり、取引所などのインフラとしての利用が主に想定されています。

NFTとは、Non-Fungible Token、非代替性トークンのことであり、ビットコインやイーサリアム等のトークン間での相互の代替ができるトークンとは異なり、ブロックチェーン上の代替性のない唯一無二のデータを含むトークンです。NFTは、現在はアートなどの分野で利用されており、イーサリアムのERC721の規格で発行されることが多いものの、内容的に暗号資産に該当しないケースが多く金融規制からはやや遠いところにあります。

また、STOとはSecurity Token Offeringの略で、収益分配性のあるトークンの募集を指します。従来、GKTK等のいわゆるファンドをブロックチェーンに乗せることが想定されていましたが、譲渡時の対抗要件の問題から、最近では受益証券発行型信託によるSTOが主流になりつつあります。STO業務に関して変更登録が完了した第一種金融商品取引業者もあり、今後集団投資スキーム型も含めてSTOが広がっていくことが期待されています。

DAOは、自律分散型組織であり、組織運営がトークン保有者の多数決などの自律分散の形で行われ、また業務執行にはスマートコントラクトを利用することで、運営者がいなくとも運営されていく組織を指しています。これが収益を目的とする団体であれば、自律分散型会社、すなわちDACとも呼ばれます。

このなかで私が規制上、最も重要な概念はDeFiであると考えていいます。

DeFiは今後の発展によっては行為者-非行為者(例えば暗号資産交換業であれば販売者と購入者、取引所運営者と取引所参加者)というフレームワークで捉える金融規制の根本的な考え方を、解体する可能性があります。

管理者も運営者もおらず、自律分散的に発生している金融系ネットワークをどのように法規制すればいいのでしょうか。

かつて、業としての無尽は、相互銀行を経て銀行制度に統合されましたが、業としない無尽はいまだに登録不要で存在しています。ニュアンスはこれと少し近いかもしれません。

運営者自体が存在していない場合、「業として行う」者がいないということです。これはDeFiだけではなくDAOも共通ですが、DeFiのほうがより現実的かつ短いタイムスケジュールで、実際的な規制課題になっていく可能性が高いと見ます。

近い将来、「業規制」を基本とした金融ビジネスのレギュレーションの在り方に大きな修正が必要になる局面も想定されます。

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