2021/09/03
懸案になっていたFATF(金融活動作業部会)による第4次対日相互審査報告書が令和3年8月30日付で公表されました。今週は、金融庁の令和4年度税制改正要望や金融機関のBCMに関するパブリックコメントなど、他にもいくつかみるべき動きがありましたが、やはり重要なのはFATFです。
今回の報告で、日本は重点フォロー国の位置付けを維持して、多くの項目で前回の報告書よりも評価が改善しているとしているものの、残念ながらカテゴリーとして不合格であることには違いありません。
政府は「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」を設置して、事業者の監督を強化するとしていますが、今回の報告書では、行政機関による監督体制も含めて不備が指摘されていることから、民間事業者に対する規制監督強化に留まらない、官民一体になった取り組みが必要になりそうです。
事前に報じられていた通り、今回の報告書を受けて、とりわけ中小規模・地域金融機関に対してはAML/CFT態勢の強化が求められることは確実であり、今後打ち出される金融庁をはじめとする各種政府発表を注視する必要があります。
同様に、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインの改正等を通じて、金融商品取引業者に対しても影響が出て来ることは確実です。
毎年5月末を期限として、金融商品取引業者や適格機関投資家等特例業務届出者にもマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインに基づくギャップ分析の報告が求められていますが、来年以降、その報告事項に目立った変化が出て来る可能性もありそうです。