行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

商品投資顧問業の許可について

商品投資顧問業とは

商品先物取引への投資を行う、いわゆるコモディティファンドを運用するには、商品投資顧問業の許可が必要になります。商品投資規制法では、「商品投資顧問契約」を「当事者の一方が、相手方から、商品投資に係る投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき相手方のため商品投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約」とし、「商品投資顧問業」を、商品投資顧問契約に基づいて商品投資を行う営業と定義しています。これは、金融商品取引法における投資運用業者の投資一任契約とほぼ同形態です。

商品投資顧問業は非常にレアなライセンスであり、令和元年8月時点で、日本にはわずか6社しかありません。商品投資顧問業者(CTA)は、運用を行うライセンスであり、販売に関する業務は内容に含まれません。そのため、商品先物への投資を行うファンド(商品投資受益権)を販売するには、第二種金融商品取引業の登録が必要になります。

よって、コモディティファンドの組成及び販売には、商品投資顧問業許可及び第二種金融商品取引業が必要ということになります。1つの業者が販売と運用を兼ねることは、行政解釈により基本的に認められていません。よって、典型的なコモディティファンドのスキーム図は以下のようになります。

第二種金融商品取引業者が、商品投資受益権を取り扱う際には、金融商品取引業等に関する内閣府令第91条、第104条、第109条等に基づく書面交付の義務が付加されるなど、通常の第二種金融商品取引業者に課せられる規制に上乗せされた特別の行為規制があります。これは、かつて商品投資規制法が商品ファンド販売行為も規制していた頃の名残の規制です。

商品投資顧問業許可に当たり適用のある法令は、商品投資の規制に関する法律、商品投資の規制に関する法律施行令、商品投資顧問業者の許可及び監督に関する省令、商品投資顧問業者の業務に関する省令、商品投資契約に基づき出資された財産の分別管理に関する命令となります。監督官庁は、経済産業省と農林水産省の共管となります。また、商品投資顧問業者には、行為規制として、以下の制限があります。

 

商品投資顧問業の行為規制
標識の掲示
名義貸しの禁止
広告等の規制
商品投資顧問契約の締結又は更新についての勧誘等
不当な勧誘等の禁止
商品投資顧問契約の締結前の書面の交付
商品投資顧問契約の締結時の書面の交付
報告書の交付
契約を締結している顧客に対する書面の交付書類の閲覧等
金銭又は有価証券の預託の受入れ等の禁止
金銭等の貸付け又はその媒介等の禁止
忠実義務
禁止行為
(1)顧客を相手方として商品投資に係る取引を行うこと。
(2)特定の商品等(特定商品、特定商品指数、特定物品に係るオプション又は指定物品をいう。)に関し、商品投資顧問業者が顧客から一任されて行った商品投資に基づく価格、数値又は対価の額の変動を利用して自己又は当該顧客以外の第三者の利益を図る目的をもって、正当な根拠を有しない投資判断に基づく商品投資を行うこと。
(3)前二号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、又は商品投資に係る事業の公正を害するものとして主務省令で定める行為
業務に関する帳簿書類の保存
財産の分別管理

資本規制

商品投資顧問業の許可に当たっての最低資本金は、5000万円です。ただし、商品投資販売業者のみを相手方として商品投資顧問契約を締結する会社については、1000万円となります。よって、商品投資受益権の一任運用業務を行い、組成と販売は第二種金融商品取引業が担当するようにすれば、資本金は1000万円で許可を受けることが可能です。

また、純資産額が、収支見込対象期間を通じて最低資本金を下回らない水準に維持されると見込まれること及び商品投資顧問業の収支の見込みが、収支見込対象期間内に黒字になると見込まれることの要件もありますので、精密な収支見込の立案と盤石な財務体質も必要になります。

人的要件

商品投資顧問業許可にあたっての人的要件は、以下の通りです。十分な知識経験者、すなわち高度な実務経験者が2名必要です。ただし、商品投資受益権の一任運用業務を行うだけであれば経験者は1名で実施可能と緩和されています。

とはいえ、実際のところは1名では許可を受けるのは困難であり、一般に役職員数は相応の人数が必要であると考えられます。

 

人的要件
商品投資顧問業を公正かつ適確に遂行できる組織体制であり、かつ、経営方針も健全なものであること
取締役若しくは執行役又は重要な使用人のうちに商品投資顧問業を遂行するに足りる十分な知識及び経験を有する者が二人以上(商品投資受益権の一任運用業務を行うだけの会社にあっては、一人以上)含まれていること。
取締役、会計参与、監査役又は執行役が他の法人の常務に従事し、又は事業を営んでいる場合にあっては、当該取締役、会計参与、監査役又は執行役が他の法人の常務に従事し、又は事業を営むことによって、商品投資顧問業の公正かつ適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又は重要な使用人のうちに、経歴及び業務遂行上の能力等に照らして商品投資顧問業者としての業務運営に不適切な資質を有する者がいないこと。

許可申請の支援

当事務所では、商品投資顧問業の経済産業省及び農林水産省への許可申請に携わった経験があります。そのため、コモディティファンドの組成に関しても、行政手続き及び組成事務の支援をさせていただくことが可能です。ご検討の際にはお気軽にお問い合わせくださいませ。

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