行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

特定投資家及び少人数私募等の制度見直し

2022/03/03

令和4年2月17日付で、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第15回)議事次第が公開されています。

特定投資家制度

同資料では、特定投資家(プロ投資家)による資金供給の促進として、本年半ば目途に内閣府令等を以下のように改正予定であると説明しています。

-個人の要件弾力化
新たに、年収・職業経験・保有資格・取引頻度を勘案可能とする。
-移行手続等の弾力化
-特定投資家私募の拡充

金融庁資料は、以下の図の通り特定投資家の要件が改正されるとしています。

従来の個人投資家の特定投資家の移行要件である、(1) 匿名組合の営業者、民法組合の業務執行組合員又は有限責任事業組合の重要な業務執行決定に関与し自ら執行する組合員である個人(出資合計額3億円以上の組合、全組合員の同意取得が要件)、又は、(2) 純資産の合計額が3億円以上投資性のある金融資産の合計額が3億円以上、最初に当該金融商品取引業者等で申出に係る契約の種類に属する契約を締結した日から1年を経過していることのすべてに該当する個人から、対象が大幅に広がった格好です。

出典:金融庁資料

今までの要件では、新規取引先である富裕層個人投資家は最初1年間は特定投資家に移行することができず、超富裕層相手であっても個人投資家である限り、契約締結前交付書面、契約締結時交付書面の交付を要するなど、一般投資家としての行為規制の対象となっていました。

これは実務上、主に富裕層や機関投資家を相手方にする金融商品取引業者等にとって、負担になっていました。

これに対して、新たな要件では、従来に比べて実際の現場で想定される、いわゆる属性のいい個人を広くカバーできる印象があります。

少人数私募等の通算規定改正

特定投資家制度の見直しとあわせ今回のワーキンググループ第二次報告では、少人数私募等に関しても見直しが提言されています。これを受け、同1月28日に公表された、政令等の改正(株式投資型クラウドファンディングの発行総額(1億円未満)の算定方法、株式投資型クラウドファンディングの投資家の投資上限額(50万円)のあり方、少人数私募の人数算定方法)も、事業者にとっては規制の緩和にあたる内容です。

同政令等改正では、社債や株式等の1項有価証券の通算期間が従来の6か月から3か月に短縮されたことが注目に値します。

同政令等改正は、令和4年1月29日(土曜)から施行となっています。

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