行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

不動産投資顧問業の登録

不動産投資顧問業の仕組みと登録

このページの目次
不動産投資顧問業の制度と金融商品取引法との関係:「総合不動産投資顧問業」と「一般不動産投資顧問業」金融商品取引法との関係不動産関連特定投資運用業での参照登録なしで不動産アセットマネジメント業務ができるのか
一般不動産投資顧問業:一般不動産投資顧問業の登録要件財務要件等
総合不動産投資顧問業:総合不動産投資顧問業の登録要件判断業務統括者要件社内態勢の整備総合不動産投資顧問業の登録申請実務

不動産投資顧問業の制度と金融商品取引法との関係

「総合不動産投資顧問業」と「一般不動産投資顧問業」

不動産投資顧問業は、国土交通省の告示により創設された登録制度であり、現物不動産の投資助言業務と投資一任業務を行う事業者の登録制度です。

不動産投資顧問業は、上記のように告示に基づくものであることから、興味深いことに法律上の根拠を有しません。そのため、任意の登録制度であり、その登録を受けなければできない行為はありません。現物不動産の投資顧問業務は、登録を受けるも登録を受けないも、事業者の任意に任されています。

制度の詳細は国土交通省の不動産投資顧問業についてのwebサイトに掲載されていますが、逆に言えば、同サイト以外の情報が少なく、ややわかりにくい面もあります。

不動産投資顧問業には、一般不動産投資顧問業と、総合不動産投資顧問業があります。一般不動産投資顧問業は、現物不動産に関する助言業務、総合不動産投資顧問業は、現物不動産に関する投資一任業務を行う事業です。

現物不動産に関しては、金融商品取引法の規制が及ばないため、仮に有価証券又はデリバティブ取引であれば、投資助言・代理業投資運用業に該当するこれらの行為に関しても、登録なしでこれを行うことができます。

不動産投資顧問業は、これら現物不動産のアセットマネジメント業務に関して、任意の登録制度を敷くものです。

金融商品取引法との関係

不動産投資顧問業登録規程では、その目的を「不動産投資顧問業を営む者について登録制度を実施し、その事業について必要な事項を定めることにより、その業務の適正な運営を確保し、不動産投資顧問業の健全な発達を図り、もって投資者の保護に資する」と説明しています。

もっとも、そもそも不動産投資顧問業者は、登録業者数があまり多くないことに加え、その中でも不動産投資顧問業を主たる業務として、真剣に取り組んでいる会社は、必ずしも多くないように見受けられるのが現状です。

実際、一見すると関係しそうな宅地建物取引業法の一任代理等の認可や、不動産特定共同事業許可すら、直接的には制度として繋がっていません。よって、実務上は、制度趣旨とやや異なる使い方をされているのが主流です。

不動産関連特定投資運用業での参照

異なる使い方とは何かというと、投資運用業の登録要件としての準用です。

具体的には、不動産関連特定投資運用業の登録に際しては、金融庁告示により、下記の通り総合不動産投資顧問業の登録を受けていること又は同程度の態勢を有している者であることが定められています。

金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)第十三条第五号及び第四十九条第五号の規定に基づき、不動産関連特定投資運用業を行う場合の要件を次のように定め、平成十九年九月三十日から適用する。
平成十九年八月十七日 金融庁長官佐藤 隆文
不動産投資顧問業登録規程(平成十二年建設省告示第千八百二十八号)第三条第一項の総合不動産投資顧問業者としての登録を受けている者であること、又はその人的構成に照らして、当該登録を受けている者と同程度に不動産関連特定投資運用業を公正かつ適確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であると認められること。

不動産関連特定投資運用業を行う場合の要件を定める件(金融庁告示第五十四号)

登録なしで不動産アセットマネジメント業務ができるのか

「総合不動産投資顧問業の登録を受けている者」はいいとして、「その人的構成に照らして、当該登録を受けている者と同程度に不動産関連特定投資運用業を公正かつ適確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であると認められること」とはなんでしょうか。

これに関連して、事業者様から総合不動産投資顧問業の登録を得ないで不動産関連特定投資運用業の登録ができるかどうか聞かれることがあります。

金融商品取引業登録が古い時期の会社、とりわけ、平成19年9月30日の金融商品取引法施行時に登録された金融商品取引業者には、総合不動産投資顧問業の登録を受けていない、不動産関連特定投資運用業者の実例があると聞きます。

ただ、比較的最近になって、不動産関連特定投資運用業に登録した会社で、総合不動産投資顧問業の登録を受けていない例はあまり聞かないように思われます。

一般不動産投資顧問業の登録要件

現物不動産の投資助言業務を行う一般不動産投資顧問業の登録要件のうち、個人の場合の登録申請者及び重要な使用人若しくは法人の場合の重要な使用人の知識経験は、以下のように定められています。

具体的には、不動産コンサルティングマスター、ビル経営管理士、不動産証券化協会認定マスター、不動産鑑定士、不動産に係る業務に携わった経験のある弁護士又は公認会計士等の資格者が必要です。経験はともかくとして、資格要件が相応のハードルになります。

さらに、個人の場合の登録申請者及び重要な使用人又は法人の場合の重要な使用人が、登録申請日の前10年以内に2年以上の期間、1億円以上の不動産に関する投資判断、助言、売買、貸借、管理等の業務経験を有していることが必要です。

ア.個人の場合(a~cのいずれかの要件を満たすこと。ただし、不動産特定共同事業法施行規則第4条第1項第4号に規定する特例事業者との間で当該特例事業者に対して不動産を売買若しくは交換により譲渡する契約又は賃貸する契約を締結している者(以下「不動産譲渡人等」という。)との間で不動産投資顧問契約を締結し、不動産投資顧問業を営もうとする場合は、a~cのいずれかの要件を満たすことに加えて、dの要件を満たすこと。)
a.登録申請者及び重要な使用人が、公益財団法人不動産流通推進センター、一般社団法人日本ビルヂング協会連合会又は一般社団法人不動産証券化協会の行う事業であって、国土交通大臣の登録を受けたものの証明を受けた者(不動産特定共同事業法施行規則第21条第1項第3号における業務管理者の要件)あるいは不動産鑑定士の資格を有する者であること。
b.登録申請者及び重要な使用人が、弁護士又は公認会計士であって不動産に係る業務に携わった経験のあること。
c.登録申請者及び重要な使用人が、上記a又はbに準ずる知識を有すること。
d.登録申請者及び重要な使用人が、国土交通大臣が適切と認めた講習を受講していること。
イ.法人の場合(a~cのいずれかの要件を満たすこと。ただし、不動産譲渡人等との間で不動産投資顧問契約を締結し、不動産投資顧問業を営もうとする場合は、a~cのいずれかの要件を満たすことに加えて、dの要件を満たすこと。)
a.重要な使用人が、公益財団法人不動産流通推進センター、一般社団法人日本ビルヂング協会連合会又は一般社団法人不動産証券化協会の行う事業であって、国土交通大臣の登録を受けたものの証明を受けた者(不動産特定共同事業法施行規則第21条第1項第3号における業務管理者の要件)あるいは不動産鑑定士の資格を有する者であること。
b.重要な使用人が、弁護士又は公認会計士であって不動産に係る業務に携わった経験のあること。
c.重要な使用人が、上記a又はbに準ずる知識を有すること。
d.重要な使用人が、国土交通大臣が適切と認めた講習を受講していること。
③ 経験についての審査基準は、次のとおりとする。
ア.個人の場合
登録申請者及び重要な使用人が、1億円以上の不動産に関する投資判断、助言、売買、貸借、管理等の業務経験を有し、かつ当該業務に登録申請の日前10年以内に2年以上の期間にわたり従事したものであること。登録申請者等履歴書(別記様式第3号)の「内容」欄に当該業務経験を明確に記載すること。
イ.法人の場合
重要な使用人が、1億円以上の不動産に関する投資判断、助言、売買、貸借、管理等の業務経験を有し、かつ当該業務に登録申請の日前10年以内に2年以上の期間にわたり従事したものであること。登録申請者等履歴書(別記様式第3号)の「内容」欄に当該業務経験を明確に記載すること。

金融商品取引業等に関する内閣府令

財務要件等

一般不動産投資顧問業にかかる公正かつ的確な業務遂行能力について、財務要件として、登録申請者が法人である場合において、その直近の決算において債務超過(負債総額が資産総額を上回ること)となっていないことが定められています。

また、登録申請者が個人である場合においては、当該登録申請者が法人等の常務に従事していないこと、登録申請者が法人である場合において、その重要な使用人が他の法人等の常務に従事していないことの要件も定められています。

総合不動産投資顧問業の登録要件

現物不動産にかかる投資一任業務を行う総合不動産投資顧問業の登録には、宅地建物取引業の免許取得会社であること及び一定の財務基盤を有する株式会社であることが必要になります。

一定の財務基盤とは、具体的には、総合不動産投資顧問業者は資本金及び純資産5000万円以上の安定的な維持です。

そのため、不動産関連特定投資運用業者は、仮に令和6年金融商品取引法改正の適用を受け、投資運用業に係る預かり資産がないとして投資運用業での資本金及び純資産規制の最低金額を1000万円とできるとしても、依然として不動産投資顧問業登録規程に基づき資本金及び純資産5000万円以上の維持が必要になるといえます。

判断業務統括者要件

総合不動産投資顧問業の人的な登録要件として、役員又は重要な使用人のうちに判断業務統括者を置く必要があります。判断業務統括者に求められる経験の内容は、一般不動産投資顧問業の登録申請者又は重要な使用人の経験要件よりも、「数十億円以上の不動産に関する投資、取引又は管理に係る判断の経験」とあり、スケール面で加重されています。

国土交通省「不動産投資顧問業登録規程の運用について」では、具体的には以下のように記載されています。

① 財産的要件(次の全ての要件を満たすこと)
ア.資本金5千万円以上の株式会社(外国の法令に準拠して設立された株式会社と同種類の法人で国内に営業所を有するものを含む。)であること。
イ.今後3年間に資本が5千万円を下回らない水準に維持されていること。
② 人的要件(次の全ての要件を満たすこと)
ア.役員又は重要な使用人のうちに判断業務統括者が置かれていること。
イ.重要な使用人が他の法人等の常務に従事していないこと。また、原則として、代表者が他の法人等の常務に従事していないこと。
ウ.判断業務統括者が、担当する業務の種類に応じて大規模な投資判断、不動産取引、管理に係る各判断業務を的確に遂行できる知識及び経験を有していること。判断業務統括者は、担当する業務に応じ、少なくとも一般不動産投資顧問業の場合の登録申請者又は重要な使用人と同等の知識を有しており、かつ数十億円以上の不動産に関する投資、取引又は管理に係る判断の経験があり、これらの判断に係る業務に登録申請の日前10年以内に2年以上従事し、各業務について適切な判断を行ってきたと認められること。
エ.不動産投資事業(不動産特定共同事業を除く)部門の担当者及びその責任者と投資一任業務に係る運用部門の担当者及びその責任者が兼任していないこと。
(3) 不動産譲渡人等との間で不動産投資顧問契約を締結し、不動産投資顧問業を営もうとする場合は、判断業務統括者が当該業務を公正かつ的確に遂行できる知識を有していること。知識についての審査基準は、判断業務統括者が、国土交通大臣が適切と認めた講習を受講していることとする。
(4) 規程第7条第1項第1号から第12号まで、第15号及び第16号のいずれかに該当する場合は、登録を行わない。なお、不動産譲渡人等との間で不動産投資顧問契約を締結し、不動産投資顧問業を営もうとする場合には、第17号に該当する場合も、登録を行わない。

不動産投資顧問業登録規程の運用について

社内態勢の整備

総合不動産投資顧問業の登録にあたっての社内態勢の整備に関しては、管理部門(法令その他の規則の遵守状況を管理し、その遵守を指導する部門をいう。)の責任者が定められ、法令その他の規則が遵守される体制が整っていることが必要であるため、いわゆるコンプライアンス部門の設置が必要です。

また、不動産投資事業(自己の計算において不動産取引を行うことによる事業であって、不動産特定共同事業以外の事業をいう。)を行っている者においては、当該不動産投資事業部門の担当者及びその責任者と投資一任業務に係る運用部門の担当者(投資一任業務を担当する者及びその営業を担当する者をいう。)及びその責任者が兼任していないことが必要です。要するに、自己投資部門と、投資一任業務部門を分離する必要があるということです。

その他、細かい登録拒否要件要件は、不動産投資顧問業登録規程第7条に定められていますのでご参照ください。

なお、同規程では、第22条において、小口取引の禁止として、「総合不動産投資顧問業者は、投資一任契約により運用を委託される資産の金額が一億円に満たない契約はしないものとする。」と定められています。よって、総合不動産投資顧問業を実際に行う際には、基本的にはリテール向けの業務は想定されていません。

もっとも、昨今の不動産価格の上昇により、1億円はとりわけ大都市部の不動産価格としては、必ずしも大口とは言えなくなってきた面はあろうかと思います。

総合不動産投資顧問業の登録申請実務

総合不動産投資顧問業登録を希望する場合には、国土交通省の不動産・建設経済局不動産市場整備課不動産投資推進室投資顧問業係あてに手続きをすることになります。基本的には、エクセルベースでの1問1答頭形式の体制審査と、社内規程等の提出及び審査がメインになります。

総合不動産投資顧問業登録に要する期間は、大きな論点のない事業者の場合は数カ月程度であり、経験的には投資助言・代理業投資運用業ほどの長時間は要しないことが多いです。

不動産関連特定投資運用業の登録は、先だって、総合不動産投資顧問業の登録を受けていることが原則的な前提となりますので、不動産アセットマネジメント業務を行いたい事業者は優先的に総合不動産投資顧問業の登録手続きを進める必要があります。

弊所では、総合不動産投資顧問業の登録申請の支援を複数回経験しておりますので、登録手続きに関する支援や監修のご要望があれば、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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