携帯電話やプロバイダ料金、インターネットの有料コンテンツの支払いなどを滞納して弁護士事務所から「受任通知兼代金請求書」が届いたら、無視は厳禁です。滞納したことが分かっている場合は、すぐに支払いましょう。
弁護士名で通知が来たりすると、もしかしたら架空請求や振り込め詐欺ではないかと疑うかもしれません。しかし、料金滞納に身に覚えがある場合は、債権者が債権回収業務を弁護士に委託したことを意味します。無視していると財産の差押えに発展する可能性もあるため、早急に対処することが必要です。
ここでは、「受任通知兼代金請求書」とはどういう物か、架空請求かどうかを見分ける方法や、本物の通知である場合の対処方法を解説していきます。
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もくじ
「受任通知兼代金請求書」とは
受任通知兼代金請求書とは、弁護士が仕事を「受任」したことを知らせ、債権者の代わりに「代金請求」をする通知です。
弁護士事務所の債権回収部門などが、債権者の代理として債権回収業務を受託したことを通知し、支払い義務のある債務と支払い方法を指示しています。
携帯電話やプロバイダ料金の滞納などでよく見られますが、最近ではメルカリの未払い料金の回収を請け負う弁護士事務所もあります。
記載されている債権者と滞納料金に心当たりがある場合は早急に支払わなければなりません。
債権者が弁護士などに債権回収業務を委託した
債権者が自力で債権を回収することが難しいと判断した場合、もしくは回収の手間を省くために、債権回収業務を外部委託することがあります。そして、弁護士事務所に業務委託した場合に届く通知が「受任通知兼代金請求書」です。
債権回収業務は、取り扱うことができる業者が法律で厳しく制限されています。受託することができるのは、弁護士もしくは認定司法書士か、登録された債権回収業者のみです。
過去をさかのぼれば債権回収業務は弁護士にのみ許された専業でしたが、バブル崩壊後、銀行の不良債権の回収のため、「債権管理回収業に関する特別措置法」が制定されました。
通称「サービサー法」と呼ばれるこの法律では、一定の基準を設け、法務大臣から営業許可を受けた会社だけが債権回収業務を行うことができると定めています。
債権回収会社(サービサー)には、
1.資本金5億円以上の株式会社であること
2.取締役の中に1人以上弁護士がいること
3.反社会的勢力排除の仕組みを設けていること
など、債務者を悪質な取り立てから保護するため、厳しい要件が課されています。
また、サービサーが設けられた以後でも、「売買契約による債務」の回収業務は、サービサーでは扱うことができません。(債権管理回収業に関する特別措置法第2条以下)そのため、大手携帯電話会社やネット通販など、借り入れではない比較的小口の債務は、弁護士事務所が委託を受け、回収業務を行っています。
そのため、あなたがもし弁護士事務所から受任通知兼代金請求書を受け取り、その内容が自分の契約している携帯電話会社やネット通販の代金未払いだとしたら、なるべく早く支払う必要があります。
| 弁護士 | 認定司法書士 | 債権回収会社 | |
|---|---|---|---|
| 特定債権 ex:銀行ローン カードローン |
できる | できる※ | できる |
| 非特定債権 (売買契約債権) ex:携帯電話料金 プロバイダ料金 |
できる | できる※ | できない |
※140万円以下
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架空請求や振り込め詐欺のおそれも
注意しなければならないのは、受任通知兼代金請求書が最近、架空請求や振り込め詐欺にも使われていることです。
手口は実に巧妙で、実在の弁護士事務所や債権回収業者の名称が使われている場合もあります。
例えば、携帯電話の未納料金回収としては、「子浩法律事務所」や「鈴木康之法律事務所」が有名です。しかし、それらの弁護士事務所の名前をかたった架空請求も多いため、どちらも事務所のホームページ上で注意を促しています。
では、詐欺かどうかを確認するにはまずどうしたらよいのでしょうか。
以下で、架空請求や詐欺を見分ける方法をご紹介します。実際に弁護士名で通知が来ると、不安で冷静な判断ができにくくなるので、今一度確認してみましょう。
身に覚えがあるか債権者名を確認する
弁護士名で届く受任通知兼代金請求書には、債権回収を委託した会社名が必ず記載されているため、まずは身に覚えがある会社かを確認しましょう。
受任通知兼代金請求書が届く前には、何度か債権者からの督促があったはずです。
最近ではメルカリやネット通販の代金未納でメールアドレスを知られている場合、メールやショートメールで通知が届く場合もあります。媒体がメールでも詐欺とは限らないので注意が必要です。
届いた手段が何であれ、債権者名と代金未納に心当たりがあるかをまずは確認しましょう。
【受任通知兼代金請求書の一例】
受任通知兼代金請求書
令和〇年〇月〇日
〒〇〇〇ー〇〇〇〇
東京都〇〇〇・・・・
弁護士法人〇〇〇事務所
弁護士 〇〇〇 印
前略
当職は下記依頼者より委託を受け、貴殿に対する下記債権の回収業務を受託いたしましたことを通知いたします。
つきましては、本状を受領しましたら、下記記載の振込口座まですみやかにお支払いください。また、今後のお支払いの相談などは、当職宛てにお願いいたします。
なお、本状と行き違いで支払い済みの場合はご容赦ください。
以上
記
受託債権の表示( 年 月 日現在)
債権者名:〇〇〇株式会社
住所:東京都〇〇区〇〇〇〇・・・
代表取締役:〇〇〇〇
携帯電話利用料金:〇〇〇〇円
支払期日:〇年〇月〇日限り
支払い口座
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金
口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
口座名義:弁護士法人〇〇〇事務所
ネットで弁護士名を検索してみる
次に、弁護士名で通知が届いている場合は、「日本弁護士連合会」のホームページにて住所、氏名、連絡先を確認しましょう。
通知にある債務に身に覚えがない場合、まずは通知に記載されている連絡先ではなく、ホームページ上の電話番号に連絡をして、事情を説明することをおすすめします。
実在の弁護士名、もしくは弁護士法人名をかたって通知を送る場合でも、連絡先には詐欺会社の番号が表示されています。そちらに連絡すると、たとえ身に覚えがない債務でも、巧みに誘導されたり電話番号情報を取得されたりして、被害に繋がる場合があるからです。
下記のサイトより通知元の弁護士を確認し、連絡しましょう。
債権回収を受託している法律事務所や、法務省のホームページ上によくある手段や判明した連絡先などが記載されています。しかし、詐欺集団の手段もより巧妙になっているので、後悔されたパターンに当てはまらなくても注意しましょう。
法務省の名称等を不正に使用した架空請求に関する注意喚起について
架空請求の主なチェック事項
架空請求としてよくあるパターンは下記の通りです。
- 1.出会い系サイトやアダルトサイトの利用料を請求している
- 2.目隠しシールのないハガキでの通知
- 3.担当者の連絡先として携帯電話の番号が記載されている
- 4.振込指定口座が個人名になっている
- 5.法務省から「直接」委託を受けたと記載されている
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受任通知兼代金請求書を無視した場合のリスク
通知された債務に覚えがあるのなら、無視は厳禁です。
つまり、通知を無視すると裁判を起こされ、財産を差し押えられるリスクがあります。
利用料を滞納しているサービスが強制解約される
支払いを滞納しているサービスは強制解約されます。これは、受任通知兼代金請求書が届く前に行われることがあります。
携帯電話料金の滞納を例にとると、通常1ヶ月以上滞納すると利用停止となり、2~3ヶ月で契約が強制解約されます。
強制解約された後も当然債務は残り、支払わないとその分遅延損害金が加算されていきます。
最終通告の後支払督促や裁判を起こされる
受任通知兼代金請求書が届いても支払うことができなかった場合、その後弁護士事務所より何度か支払いを求める通知が続き、最後に最終通告書が届きます。それでも無視していると、今度は債権者から裁判を起こされることになります。
ちなみに、債権回収業務を受任する弁護士事務所は取り立て業務のみ受託を受けている場合がほとんどで、実際に裁判手続きを起こすのは、多くの場合債権者自身です。
実際の裁判手続きで最もよく利用されるのが「支払督促」です。支払督促は通常訴訟の半額の手続き費用で足り、相手から異議が申立てられない限り申立人側の主張が審議されることなく認められます。売買契約による債務は比較的少額であることが多いため、この「支払督促」手続きがよく利用されます。
東京簡易裁判所では支払督促のオンライン化も進められ、債権者により利用しやすいシステムが整えられつつあります。
相手方から異議が申立てられない限り、実際に事件が審議されることはありません。異議が申立てられると通常訴訟に移行し、訴訟上で審理が行われることになります。
(民事訴訟法第382条)
現在東京簡易裁判所ではオンラインによる支払督促申立が可能です。対象となる金銭債務は、貸金、立替金、求償金、売買代金、通信料、リース料の6つで、給料や家賃などは含まれません。
(督促手続オンラインシステム)
財産を差し押さえられる
支払督促や通常訴訟手続で敗訴し、判決もしくは決定が出た場合、それを元に債権者より強制執行が申立てられ、財産を差押えられます。
差し押えられる財産は、66万円を超える現金、預金口座、手取り月給の4分の1、または自宅や車などです。
ただし、差押えには「超過差押えの禁止」というルールがあり、たとえば10万円の債権のために、1000万円の不動産を差し押えることは禁止されています。そのため、差押え財産として現実的なのは、預金口座か給料でしょう。
以前は債権者側が債務者の預金口座や勤務先を把握していなければ差押えができませんでしたが、2020年に民事執行法が改正され、裁判所の開示命令に強制力が付されました。それにより、債務者の逃げ得が許されなくなっています。
- A社携帯電話料金の滞納
- A社から請求書が続く
- B弁護士事務所より「受任通知兼代金請求書」
- 繰り返しB弁護士事務所より「督促状」「訴訟手続通告書」などが届く
- B弁護士事務所より「最終通告」
- A社からの「支払督促申立書」が簡易裁判所から届く
- 異議を申立てなければ簡易裁判所から「支払い命令」
- A社が給料や銀行口座などの差押えへ
ブラックリストに載る
契約を強制解約された時点で、信用情報機関に事故情報として登録されます。
登録された情報は5年から10年程度残り続けるため、その間は新しいクレジットカードを作ることや、ローンを組むこともできません。また、スマートフォンの機種代を毎月の携帯料金に乗せて支払う分割払いもできなくなります。
また、携帯電話料金の場合、滞納情報は電気通信事業協会(通称TCA)で共有されます。そのため、他のキャリアでも新規契約ができにくくなるでしょう。強制解約から5年間は、協会内で事故記録が残り、携帯電話各社に情報共有され続けてしまいます。
TCA 一般社団法人電気通信事業協会 「不払者情報の交換」
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支払えないときの対処方法
請求されている額を支払えない場合は、自分で分割払いの交渉をすることもできますが、自分の代わりに相手と交渉してくれる弁護士に依頼することがベストです。
また、できれば通知に指定された支払期日が到来する前に相談しましょう。相談が早いほど解決方法の選択肢も広がります。支払えないからといって放置していると、最悪の場合訴訟提起されて給料差押えなどの処分を受けてしまうこともあります。
分割払いにできないか直接交渉する
弁護士事務所が債権回収を委託されている場合は、自分で交渉して債務を分割払いにしてもらうこともできます。
債権回収を委託された弁護士事務所は債権者ではないため、減額の提案には応じることはできません。しかし、分割払いであればある程度の基準を設けて応じてもらえることもあるかもしれません。
ただし、回数や月々の支払額など厳しい条件を求められ、交渉が成立しないこともあります。
債務整理をする
債権回収に弁護士事務所が就いたのであれば、こちらも弁護士に債務整理を依頼しましょう。弁護士が代理人として介入することで、今まで繰り返されていた取り立てを停止させることができます。取り立てから解放されるだけでも、精神的に楽になるでしょう。
債務整理には、大きく分けて任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。本人の収入、支出、財産事情により、弁護士と相談しつつ、どの手段がベストかを選択することができます。債権者との交渉も全て弁護士に任せることができますので、分割払いにすることや、将来利息や遅延損害金をカットした金額で和解できる可能性もあります。また、債務額や収入状況によっては個人再生や破産の手続きをとらざるをえない場合もありますが、申立手続きにも寄り添ってくれるでしょう。
弁護士が債権者と減額や分割弁済などの交渉をする
②個人再生
安定して継続した収入がある場合、裁判所の決定で債務を5分の1程度に減額し、
3年程度の分割払いとすること
③自己破産
債務の額が大きく払いきれない場合に裁判所に申し立てて債務を免除してもらう方
法。債務はなくなるが、不動産や積立保険など、大きな財産を失うことになる。
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受任通知兼代金請求書の支払い期限を伸ばすことはできないのか?
弁護士事務所が債権回収を受託する「売買契約による債務」は、携帯電話料金やヤフオク、メルカリなどの代金滞納で、債務額も比較的低額です。交渉次第では、相手側も訴訟提起の費用・手間を考え、一括払いであれば支払期限の延長交渉に応じてくれる可能性もあります。
支払期限前に連絡すれば期限延長も可能
期限を延ばしてもらうよう連絡する際には、できれば通知に記載されている支払日が到来する前に連絡しましょう。
受任通知兼代金請求書に記載されている支払い〆切日はそれほど遠くない期限に設定されています。もとの債務は支払期限を過ぎて滞納状態になっているため、通知に指定された期限は最終通告の意味を持つからです。
しかし、支払期限到来前までに連絡し、一括で支払うので期限を延ばしてほしいと交渉すれば対応してくれる可能性もあります。
債権者側にもメリットがある
売買契約による債務は債務額が10万円未満と低額なものが多く、裁判手続きや強制執行をすると費用倒れになる可能性があります。債権者としても、任意で和解できることがベストでしょう。支払期限をある程度譲歩することで一括弁済を受けられるのであれば、債権者側にもメリットがあるといえます。
しかし、数万円の携帯電話料金ぐらいで裁判などしてこないだろうと高をくくって放置すべきではありません。近年の民事執行法改正や訴訟手続きのオンライン化など、債権者が債務を取り立てやすくなっていますし、ドコモやソフトバンクなどでは実際に差押えまで至るケースも少なくないのです。
まとめ
「受任通知兼代金請求書」は、弁護士が債権回収業務を請け負ったこととその債務の支払いを請求する通知です。
債権回収業務のうち「売買契約による債務」の回収業務を請け負うことができるのは弁護士と認定司法書士(140万円以下)のみ。そのため弁護士から通知が届いた場合、携帯電話料金やプロバイダ契約料などを滞納している可能性があります。
ただし、この通知を使った架空請求詐欺も横行しています。身に覚えがないときは日本弁護士連合会のホームページで記載されている弁護士事務所を検索し、ホームページ上の番号に電話を掛けて確認するといいでしょう。
滞納に覚えがある場合はすぐに連絡し、速やかに支払いましょう。経済的に余裕がなく支払いができない場合は自分で弁護士事務所と交渉する方法もあります。
しかし、弁護士事務所を相手に一人で交渉するのが不安であれば、自分の代わりに交渉してくれる弁護士に依頼しましょう。弁護士が代理人として介入すると、取り立て行為が止まります。それだけでも精神的に楽になるでしょう。
弁護士が代理人として交渉することで、減額や分割弁済など、より有利な条件で和解することができます。また、他にも債務があり、支払いが難しい場合には個人再生や破産などの手続きも代行してくれます。
債権者の代理人弁護士から受任通知兼代金請求書が届いたら、一人で悩まずあなたの代わりに相手と交渉してくれる弁護士に相談してみましょう。
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よくある質問
- Q. 受任通知兼代金請求書って、なんですか?
-
A.
受任通知兼代金請求書とは、弁護士が債権者の代わりに代金の支払いを要求する文書のことをいいます。携帯電話(スマホ)料金やインターネットプロバイダ料金などの未払い時に使われることが多いです。
- Q. 受任通知兼代金請求書を無視して放置すると、どうなりますか?
-
A.
受任通知兼代金請求書を放置すると、信用情報機関に名前が載り、クレジットカードなどが使えなくなります。もちろん、現在利用しているサービスも使用停止になりますのでご注意ください。
- Q. 受任通知兼代金請求書を受け取った後に債務整理はできますか?
-
A.
受任通知兼代金請求書受領後も債務整理は可能です。このような場合、すぐに弁護士にご相談ください。受任通知兼代金請求書は弁護士が送付するものなので、個人で戦うのは厳しいです。こちらも弁護士をつけ、弁護士対弁護士の形に持ち込みましょう。

