奨学金の一括請求は日本学生支援機構から届く、最終通告のようなものです。もしも払えないまま放置したり無視したりしていると、最終的には強制執行(財産や給料の差し押さえ)をされてしまう恐れもあります。
強制執行のような最悪の事態を回避するためには、奨学金の滞納を解消するしかありません。
そこで今回は、奨学金の一括請求を払えないとどうなるのか?一括請求を払えないときはどうすれば良いのか?について詳しくお伝えします。
奨学金の一括請求が届いている方は、早急に対応しなければ法的手続きに移行されてしまう恐れがあります。これからお伝えすることをぜひ参考にしてください。
もくじ
奨学金の一括請求を払えない場合に生じる影響
奨学金の一括請求を払えないでいると、下記のようなリスクが発生するでしょう。
- (連帯)保証人にも一括請求の書類が届く
- 個人信用情報にキズがつく
- 法的措置への移行後に財産の差し押さえが開始される
まずは、奨学金を払えないとどうなるのか?一括請求を放置しているとどうなるのか?についてお伝えします。
①(連帯)保証人にも一括請求の書類が届く
奨学金の一括請求は、まず初めに主債務者(奨学金を借りた本人)に対して行われます。しかし、主債務者が一括請求をしたあともなお、返済や連絡がない場合には、保証人あるいは連帯保証人にも一括請求が行われてしまいます。
奨学金の場合は借りる際に、連帯保証人および保証人の選任を求められます(機関保証を除く)。連帯保証人には親などがなり、保証人にはおじやおば、兄弟姉妹を選任するのが一般的です。そのため、自分の親族に迷惑をかけてしまう恐れがあります。
一括請求が届く順番は主債務者→連帯保証人→保証人ですが、いずれにせよ一括請求を払えないでいると連帯保証人などに迷惑をかけてしまうことに変わりありません。
とくに連帯保証人は主債務者と同じ債務を負っており、催告の抗弁権を有していません。そのため、日本学生支援機構が連帯保証人に一括請求をした時点で、連帯保証人は一括で奨学金を返済するしかなく、相当な経済的損失を受けることになるでしょう。
催告の抗弁権とは、債権者(日本学生支援機構)に対して「まずは主債務者に催告をしてください」と言える権利です。連帯保証人にはこの催告の抗弁権がないため、一括請求された時点で一括返済をしなければいけません。
なお、奨学金の機関保証を受けている方は、日本学生支援機構に対して代位弁済(代わりに返済をすること)をするため、日本学生支援機構との関係は終了します。その後は代位弁済した金融機関(機関保証センター)から一括請求をされます。
②個人信用情報にキズがつく
奨学金の一括請求がきた時点で、あなたの個人信用情報には長期滞による事故情報が掲載されています。この事故情報とは、いわゆるブラックリストのことであり、滞納を解消してから最大で5年程度経過するまで情報は掲載され続けます。
事故情報が掲載されていれば、クレジットカードを作成できなかったりローン契約の締結が難しかったりするでしょう。奨学金を借りてどれだけ立派な企業に就職できたとしても、クレジットカードやローン契約は非常に難しいです。
これから、ローンを組んで車が欲しいとか住宅ローンを組んでマイホームを購入したいと考えていても、滞納を解消するまでは難しいでしょう。
また、社会人になって自分で携帯電話を契約したり住まいを確保したりするために賃貸借契約をする際にも、個人信用情報がとても大切です。携帯を持てない、家を借りられないといったことはないですが、少なからず影響は出るでしょう。
携帯電話の場合は、携帯電話本体代金を一括で購入しなければいけない、賃貸借契約の場合は保証会社を介さなければいけないなど。必要以上にお金を用意しなければいけなかったり、お金がかかったりするなどの影響は避けられないでしょう。
③法的措置への移行後に財産の差し押さえが開始される
奨学金の一括請求は、日本学生支援機構側からの最終通告という意味合いがあります。「このままの状態が続くならば、法的手続きへ移行せざるを得ません。至急連絡をしてください」というのが、一括請求の狙いです。
そのため、一括請求を無視したり放置したりしてしまっていると、最終的には法的措置へ移行されてしまうでしょう。法的措置に移行されてしまうと、まずは、裁判所から書類が届きます。
書類が届いた時点ですぐに対応しておけば、最終段階である強制執行(財産や給料の差し押さえ)は避けられます。ところが、裁判所からの書類も無視・放置していると、本当に強制執行が始まることになるので注意してください。
【強制執行までの流れ】
- 日本学生支援機構からの一括請求
- 裁判所から支払督促状が届く
- 裁判所から仮執行宣言付支払督促状が届く
- 債務の確定、日本学生支援機構は差し押さえが可能になる
裁判所からの仮執行宣言付支払督促状を無視したり放置したりしていると、最終的には判決が確定します。その後は、あなたの財産を調査して差し押さえをし、不足する部分は給料から差し押さえを行うことになるでしょう。
給料を差し押さえられる場合は、あなたに対して給料を支払っている会社に対しても通知が届きます。そのため、奨学金を滞納している事実が、会社にもバレてしまう恐れがあります。
最終的な強制執行を避けたいと考えているならば、どれだけ遅くても仮執行宣言付支払督促状が届いてから2週間以内に異議申し立てを行いましょう。
ここでいう異議申し立てとは「そのような債務はありません」と、奨学金の事実を否定するものではありません。「一括では払えないので分割にしてほしい」など、支払い方法に対する異議申し立ても可能です。何もしなければ差し押さえられてしまうため、早急な対応を心がけましょう。
【対処法】奨学金の一括請求を支払えないときはどうすれば良い?
奨学金の一括請求を払えないときに、そのまま放置していても何ら改善されることはありません。払えないならば、払えないなりに正しく対処することが大切です。
では、奨学金の一括請求を払えないときはどうすれば良いのでしょうか?検討すべき選択肢は下記の2つです。
- 返還期限猶予・返還免除の申請をする
- 債務整理で奨学金を減額・免責を目指す
次に、奨学金の一括請求を払えないときの対処法についてお伝えします。
①返還期限猶予・返還免除の申請をする
奨学金の一括請求を払えないときは、まず先に返還期間猶予や返還免除の適用条件を満たしているかどうか確認してください。もし、満たせているのであれば、奨学金の返還を猶予されたり、免除されたりするでしょう。
【返還期限猶予の条件】
奨学金の返還期限猶予を受けるためには、奨学金の返還ができないことを証明しなければいけません。たとえば、何らかの事情で収入が減り、奨学金を返済できないのであればその証明をしてください。
病気になって収入が減ってしまった、失業をしてしまったなどなどさまざまな事情を抱えているが故に、奨学金の返済が困難になったはずです。その証明をして審査に通過すれば、返還期限の猶予を最大で10年間(滞納期間も含め)受けられます。
ただし、返還猶予を受ける場合にはかならず返還をしなければいけません。そのため、返還期限猶予後にかならず支払えるという見込みがなければ、審査に通る可能性は低くなります。
たとえば「病気で収入が減って現在は支払えないけど、いずれは復職して返還ができる」などの事情を抱えている方は、申請してみると良いでしょう。
【返還免除の条件】
奨学金は主債務者(奨学金を借りた本人)が死亡もしくは精神や身体の障害により、返還できなくなった場合は返還免除を受けられます。
奨学金の一括請求が届いている時点で、主債務者は生存されているかとは思いますが、精神疾患や身体の影響によって働けないならば免除を受けられる可能性があります。
仮にあなたがまだ働ける状態であったとしても、障害まどが原因で著しく収入が減っている場合は、申請が通る可能性があるでしょう。まずは、返還できない証拠をもとに申請を行ってください。
参考:日本学生支援機構「死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除」
②債務整理で奨学金の減額・免責を目指す
奨学金の一括請求を債務整理することで、一括請求を分割にしたり返済を免除(免責)にできたりします。債務整理には下記3種類ありますが、自分に合った方法の手続きを選択できます。
- 利息をカットして元金のみを原則3年程度で完済する「任意整理」
- 奨学金やその他の借金をまとめて最大で100万円まで減額できる「個人再生」
- 奨学金やその他の借金をまとめて免責にできる「自己破産」
債務整理の中で唯一、任意整理のみが法的手続きではありません。あくまでも日本学生支援機構と交渉をして、利息のカットを目指します。しかし、奨学金の金利は1%にも満たない超低金利であるため、任意整理をする意味がありません。
仮に、一括請求を分割払いに変更するのが目的だったとしても、日本学生支援機構は任意整理をしなくても相談に応じます。そのため、奨学金を任意整理する意味はないでしょう。
個人再生は奨学金を含めたすべての借金を合算して、最大で100万円まで減額できます。残った借金は返済計画案に従っておおよそ3年程度で完済を目指していくことになるでしょう。
個人再生も経済的なメリットはとても大きいですが、奨学金の一括請求を個人再生するくらいならば、自己破産をしてしまったほうが良いです。なぜなら、個人再生はかならず借金が残るためです。
自己破産をすれば、奨学金はもちろんのこと借金はまったく残らないため、リスタートも可能でしょう。
個人再生を選択するべき人は、マイホームを持っている方や資格制限を受ける恐れのある人たちです。自己破産をすることによって、マイホーム(ローン)を含むすべての借金・財産が対象になりますし、資格制限を受ける恐れもあります。
そのような影響を受ける恐れがある方のみ、個人再生を検討するべきでしょう。そうではない方は、自己破産を検討して奨学金を清算してしまったほうが、今後の影響は少なく済みます。
奨学金の一括請求を債務整理で解決する場合の注意点3つ
奨学金を債務整理で減額したり免責にしたりする際には、下記のことに注意してください。
- (連帯)保証人に弁済義務が移行するので要注意
- 将来的に子供の(連帯)保証人になれない可能性がある
- 日本学生支援機構は任意整理に応じない可能性が高い
奨学金を債務整理する際の注意点についても、解説します。これから奨学金を債務整理しようとされている方は、これからお伝えすることも参考にしてください。
A.(連帯)保証人に弁済義務が移行するので要注意
主債務者(奨学金を借りた本人)が債務整理をしたとしても、連帯保証人や保証人の返済義務まで免除されるわけではありません。あくまでも、主債務者であるあなたのみの返済が免除されるだけです。
よって主債務者が債務整理をした場合は、弁済義務が連帯保証人や保証人に移行してしまいます。
「できれば連帯保証人などに迷惑をかけたくない…」と思う気持ちもわかりますが、連帯保証人や保証人がついている時点でそれは不可能です。もしも、連帯保証人なども奨学金の返済が厳しいならば、全員で自己破産をするしかありません。
B.将来的に子供の(連帯)保証人になれない可能性がある
奨学金を債務整理した場合、将来的に自分の子や親族が奨学金を借りるときの保証人や連帯保証人になれない恐れがあります。
通常、奨学金を債務整理(自己破産)したあとは10年経過すれば、個人信用情報が回復します。しかし、日本学生支援機構内ではあなたが自己破産をした事実を保有し続けているため、連帯保証人などになれない恐れがあるでしょう(いわゆる社内ブラック)。
昨今は、大学生の約50%が奨学金を借りていると言われているため、長い目で見たときに大きな影響になり得る恐れがあります。ただ、社内ブラックだからといって、かならずしも連帯保証人などになれないとは限りません。
そのときの状況次第では、連帯保証人や保証人として認められることもあるでしょう。
C.日本学生支援機構は任意整理の交渉に応じない可能性が高い
日本学生支援機構は基本的に任意整理には応じません。仮に任意整理に応じたとしても、金利が非常に低い分、カットできる金利は非常にわずかです。
また、分割払い交渉にも応じる準備ができているため、そもそも任意整理をする必要がありません。よって、奨学金の一括請求を払えずに悩まれている方は、自己破産を検討したほうが良いでしょう。
まとめ
今回は、奨学金の一括請求を放置しているとどうなるのか?一括請求を払えないときはどうすれば良いのか?についてお伝えしました。
奨学金の一括請求を払えずにいると、連帯保証人などへの請求や信用情報への登録、法的手続きへの移行などのリスクが発生します。最終的にはあなたの財産や給料を差し押さえてでも、奨学金を回収します。
万が一、給料が差し押さえられてしまえば、今後の生活への影響は避けられないでしょう。もしかすると、会社からの評価に影響を与えるかもしれません。
最悪の事態を避けるためにも、一括請求が届いた時点で正しく対応することが大切です。まずは、日本学生支援機構に相談をし、払えないのであれば債務整理も検討するべきでしょう。
今回お伝えしたことを参考にしていただき、奨学金の一括請求とどのように向き合うのかを検討してください。
奨学金の一括請求が来たらどうなるの?今後起こり得るリスクとは?
- Q. 奨学金を滞納しているのですが、いつ頃一括請求が届きますか?
-
A.
奨学金の一括請求は滞納開始から9か月程度経過した時点で行われる可能性が出てきます。一括請求が届いてしまうと、原則一括返済しか認められないため、一括請求が届いていないならば、早めに対応してください。
- Q. 一括請求を払えないのですが、どうしたら良いですか?
-
A.
一括請求を払えないのであれば、まずは日本学生支援機構に相談をしてください。そうすることで分割払いなどに変更してもらえる可能性があります。
- Q. 奨学金の一括請求を無視・放置していたらどうなりますか?
-
A.
最終的には強制執行(財産や給料の差し押さえ)が行われます。給料を差し押さえられてしまうと、今後の生活にも多大な影響をあたえる恐れがあるの、早めの対応を心がけてください。

