2025/02/15
顧客に対する情報提供の原則デジタル化(令和5年改正)
令和7年2月7日付で、金融庁より令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等に関するパブリックコメントの結果等についてが公開されています。同改正で金融商品取引業等にとって特に重要なのは、契約締結前等の顧客への情報の提供等に関する規定の整備であると考えられます。
同政令及び内閣府令を、金融庁は「契約締結前等における情報提供の方法を定める」「顧客属性に照らして行う説明義務の適用除外を定める」「情報提供の方法に応じクーリングオフの起算日の明確化を行う 等」と説明しています。
詳細はこちらの契約締結前交付書面に関する当方の記事をアップデートすることにより解説していますので併せてご覧ください。
本改正の趣旨は、従来、紙が原則であった契約締結前交付書面や契約締結時交付書面の原則デジタルへの移行であり、従来は顧客の同意が必要だった電磁的方法での交付について、事前告知でもこれを行うことが可能になりました。
旧来、顧客受け入れ時に電磁的方法により各種書面交付の同意を取得していた事業者は、あらたな情報提供への制度の切り替えに伴い電磁交付の根拠条文が変わるため、同意取得方法見直し又は事前告知方式への移行が必要となります。もっとも、同意取得のフローを維持する場合、根拠条文が一部違ったとしても、実際にやらなければならないことは殆ど同じである面もあります。
これに対して、金融商品取引法第37条の3第2項に新設された顧客属性に応じた説明義務に関しては、金融商品取引業者等は対応する体制の構築が必要になりそうです。施行日は令和7年4月1日が予定されていますので、既存の金融商品取引業者等は、早い段階で新制度への対応準備を進める必要があります。
投資運用関係業務受託業の創設(令和6年改正)
令和7年1月17日付で、金融庁より令和6年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表についてが公表され、パブリックコメント手続きが始まっています。
投資運用関係業務受託業は、投資運用業者等のコンプライアンス業務又は経理業務を受託する事業者の任意登録制度であり、投資運用関係業務受託業者に業務委託することにより、投資運用業者は、コンプライアンス担当者又は計理担当者にかかる登録要件の緩和を受けることができます。
今回のパブリックコメントでは、投資運用関係業務受託業者に対する行為規制の全貌や登録要件等の案が明らかになりました。
投資運用業にかかる財産規制緩和(令和6年改正)
公表された金融商品取引法施行令案では、投資運用業者が、その行おうとする投資運用業に関して、顧客から金銭又は有価証券の預託を受けず、かつ、密接関係者者に顧客の金銭又は有価証券を預託させない場合には、資本金及び純資産規制が1000万円に緩和されるとしています。
非上場有価証券特例仲介等業務の創設(令和6年改正)
非上場有価証券特例仲介等業務の制度は、第一種金融商品取引業の登録要件を緩和した特例的な制度です。一定の非上場有価証券につき、特定投資家等を相手に一定の売り付け又は買い付けの媒介、私募の取扱い並びにこれらに伴い顧客から金銭の預託を短期間受け入れすることができます。
改正金融商品取引法では対象となる有価証券について「金融商品取引所に上場されていないものに限り、政令で定めるものを除くとして」政令に委任されていました。金融商品取引法施行令案第15条の10の4では、非上場有価証券特例仲介等業務の対象から除かれる有価証券は、店頭売買有価証券のみとされています。
また、金融商品取引法施行令案第15条の7では、非上場有価証券特例仲介等業者の財産要件は、資本金及び純資産ともに1000万円とされています。