不動産ファンドに代替した社債での資金調達

不動産ファンド設定の困難性

こちらで詳述しているように、「不動産ファンド」を組成するのは、社内体制を十分に整備して、許認可登録の手続きをする必要があります。現物不動産の証券化にあたっては、不動産特定共同事業許可が求められ、また、不動産信託受益権の取得によるGTKTでの不動産証券化は、投資運用業及び第二種金融商品取引業の登録が必要になります。

これらを開業するには、いずれも相当に高度な社内態勢の構築が必要であり、また自己資本も概ね1億円以上が必要になります。そのため、大規模な不動産アセットマネジメント業務の経験のあるシニアなプロフェッショナルが多数在籍している会社である必要があります。

適格機関投資家等特例業務

また、投資運用業及び第二種金融商品取引業の例外であり、手続き上は、比較的低いハードルで組成できる適格機関投資家等特例業務では、信託受益権化した物件を投資対象として、届出のみで組成が可能です。しかし、ファンドの取得勧誘の相手方は、適格機関投資家及び特例業務対象投資家に限定されますので、一般の投資家には勧誘・販売をすることはできません。

また、投資対象はいずれにせよ、信託受益権化されている物件である必要がありますので、信託会社が受託してくれるグレードの物件、すなわち、最低数億円以上の規模のクオリティーの高い物件である必要はあります。特定目的会社(TMK)を設立する方法もありますが、資産流動化計画等の組成事務コストの問題から同じく相当規模の証券化でないと実施は難しいとされます。

小規模事業者の実際

証券化の分野には、「GKTKを作ればいい」「SPCを作ればいい」と、ライセンスとヴィークルを混同していい加減なことを言っている人間が多いので、非常に混乱しますが、これらの投資ヴィークルを組成するには、ここで挙げてきたようないずれかのライセンスを受ける必要があります。

(極論ですが)あえてわかりやすく申し上げれば、小規模の宅建業者、不動産関係事業者にとっては(A)一般投資家相手の(B)不動産投資を目的とする(C)「ファンドの組成」は、無理です。

ファンドの形で証券化できるのは、大規模な不動産アセットマネジメント業務に経験豊富な証券化のプロが多数在籍している会社で、かつ、ファンドの投資対象は中規模以上のレジデンス・オフィスビル、ショッピングモール等商業施設等のハイグレード物件のみである必要があります。

もちろん、こうしたケースに似せて、1人、2人常勤かどうか怪しいような薄い関与形態で、銀行や証券のOBを採用してきたところで、当局には知識の薄さは簡単に見破られますので、登録許可は無理です。

よって、アパート一棟モノ、マンションのリノベ転売等の小規模な不動産関係事業では、人的構成面だけではなく事務・コスト面でもそもそもこれらのライセンスの取得自体ができない可能性が高いです。

ファンドの代替的手法

実際問題として、小規模不動産関係事業者が「ファンド」に代わって資金調達を検討するとすれば、許認可登録の手続きなしで行うことのできる、少人数私募社債の発行によることが現実的だと思います。不動産は、株式等と異なり予想利回りが見通しやすいので、商品としては社債による証券化に向いた特質があります。

他方、社債による場合の一般的な注意点として、上記リンクでも記載していますが、出資法違反にならないように不特定多数への出資勧誘を行わない必要があること、少人数私募の要件である半年間で一般投資家49人までの声掛け制限を守る必要があります。

また、不動産証券化特有の少人数私募社債の注意点としては、担保付社債信託法の制限があるため、複雑な手続きを踏まないと社債そのものに担保財産を付することができません。よって、不動産を担保とする社債というものは設定することができません。

社債にABS(資産担保証券)的性質を持たせるためには、いわゆる倒産隔離(SHGK)をしたうえで、1つの法人につき1案件1社債のみの保有・発行とする必要があります。そうしないと、当該社債が、他事業や他案件のキャッシュフローの影響を受けるためです。

不動産担保ローンの証券化

似たスキームとして不動産担保ローンの証券化がありますが、これは第二種金融商品取引業及び貸金業の範疇になりますので、いわゆる不動産証券化とは別のものです。貸付型ファンドによる第二種金融商品取引業の取得は、投資運用業の登録に匹敵する難度であり、同じく小規模の宅建業者、不動産関係事業者にとってほぼ不可能です。

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