行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

NISA制度拡大にかかる税制改正に向けた要望案

2022/08/27

日本経済新聞の報道によれば、金融庁は25日の自民党財務金融部会で2023年度の税制改正に向けた要望案を正式に提示しました。

金融庁は、国民の資産運用を通じた資産形成(いわゆる「資産所得倍増プラン」)に関する政府方針に沿う形で、少額投資非課税制度、通称「NISA」の制度拡大を求めています。

具体的には、年間投資額の上限が、現状では一般NISAは年120万円、つみたてNISAは年40万円となっているところ、これを引き上げて投資期間も拡大するとともに、一般NISAは2028年まで、つみたてNISAは2042年までの時限制度となっているところ、制度として恒久化することを要望しています。

もともと、2024年には一般NISAの非課税対象および非課税投資枠の見直しによる2階建ての新制度に移行することが予定されています。しかしながら一部報道では、金融庁は2024年の改正を見送って、一般枠とつみたて枠を併用できる恒久制度を今回の税制改正を通じて2025年にも実現したいとの考えを示していると報じられています。

併せて、税制改正の要望案では、つみたてNISAとの併用を前提として株式投資も可能になる成長投資枠の新設も検討されているとされています。

これに先立ち先月、日本証券業協会もNISAの制度拡大を含む、中間層の資産所得拡大に向けて~資産所得倍増プランへの提言を公表しています。国民の資産所得の拡大を目指す岸田政権の意向に沿った今回の金融庁の税制改正要望は、実現する可能性が高いのではないかと報じられています。

金融業界のトレンド

NISAの制度拡大に伴う一般投資家の投資意欲の高まりや、日米株式相場の堅調を背景にしたインデックス投資への注目の高まりを背景にして、金融業界では、伝統的証券業務(第一種金融商品取引業)や投資信託等の資産運用業務(投資運用業)に対する注目が高まっています。

当事務所における相談も、5年前は、再エネ、個別株投資顧問、システムトレード、FINTECH、クラウドファンディング及び暗号資産等がかなり多かった印象ですが、近年様子が変わってきました。

再エネは固定価格買取制度(FIT)の制度終了で証券化の案件が激減しています。

また、暗号資産交換業も、登録ハードルが極度に高いことが知れ渡るとともに業界内の競争による優勝劣敗が明らかになりました。そのため、大企業の資本的参加がまったくない独立系新規業者の登録は困難であることに加え、純粋な新規業者が大きなシェアを確保することが事実上難しくなったと考えられており、暗号資産交換業の参入相談はほとんどなくなっています(暗号資産交換業に該当しないNFT及びセキュリティトークン関連業務を除く。)。

これに対して直近2、3年ほど、当事務所に寄せられる相談のうち、証券業、投資運用業、長期資産運用を前提とする投資助言・代理業などの長期的資産形成ビジネスの占める割合が年々高くなっています。

ひろゆき氏との対談

税制改正に向けた要望案の提示に先立ち、令和4年8月24日には、金融庁は2ちゃんねるの創設者である西村博之氏との対談動画を公表しました。

これに対して、産経新聞は、民事訴訟での賠償金不払い等の問題があるひろゆき氏を起用することにネット上で疑問の声が上がっていると報道しています。

これは要するにネット上で、というよりも、事実上当該産経新聞の記者が疑問に思っているということなのだと思います。

話題性と若年層への浸透効果を狙った金融庁のやわらかい取り組みが結果的に物議を醸したということなのかもしれません。とはいえ、出演料は支払っていないとのことですし、意欲的な行政機関の取り組みに対して、報道機関がこうした形で水を差すのは、いかがなものでしょうか。

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