行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

ソーシャルボンドガイドラインの確定

2021/10/29

令和3年10月26日付けで、金融庁からソーシャルボンドガイドラインが発表されました。SDGsが叫ばれる中で、SDGs債、いわゆるソーシャルボンドへの注目が集まっていましたが、環境省主導でガイドラインがまとまっていたグリーンボンドと異なり、ソーシャルボンドは、国主導のガイドラインがなく、証券業界からソーシャルボンドのガイドラインを早急に取りまとめる必要があるとの声が高まっていました。

今年の3月には、サステナブルファイナンス有識者会議の下に「ソーシャルボンド検討会議」が設置され、同会議でソーシャルボンドに関する実務指針について議論が行われていました。かかる議論を踏まえ、金融庁は「ソーシャルボンドガイドライン(案)」のパブリックコメントを実施していましたが、令和3年10月26日にパブリックコメントの結果が発表されるとともに、ガイドラインが確定するに至りました。

ガイドラインでは「発行体と投資家の双方にとって、ソーシャルボンド一般の「ソーシャル性」に対する社会的な信頼が維持されることは重要である。特に、グリーンボンドの普及においてグリーンウォッシュ債券が市場に出回ることを防止する必要があるように、ソーシャルボンドとしての実質を欠く債券がソーシャルボンドとして市場に出回ることを防止することは、ソーシャルボンドに投資を行う投資家の保護という観点からも極めて重要」としています

また、ガイドラインは「①調達資金の使途、②プロジェクトの評価及び選定のプロセス、③調達資金の管理、④レポーティングの4つの「核となる要素」に関して「べきである」と記載されている事項の全てに対応した債券は、ICMA ソーシャルボンド原則とも整合し、国際的にもソーシャルボンドとして認められ得るものと考えている」としています。

「本ガイドラインには法的拘束力はなく、ある行為等が、本ガイドラインに記載された事項(「べきである」と表記した項目を含む。)に準拠しなかったことをもって、本ガイドラインに基づき法令上の罰則等が課されるものではない」とされてはいるものの、とりわけ上場企業がソーシャルボンドを発行する場合や、非上場企業であっても証券会社にソーシャルボンドの引受又は取扱いを依頼する場合には、事実上、本ガイドラインを遵守する必要があるものと解されます。

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