行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

コメ先物本上場の不認可

2021/08/06

大阪堂島商品取引所は、本日付で農林水産省に対して行っていた、コメ先物本上場にかかる認可申請(令和3年7月16日付)に関して、農林水産省より当該申請を不認可とする旨の結果通知があった旨をリリースしています。

朝日新聞によると、大阪堂島商品取引所は、農水省の審査に対して「取引に参加する生産者が、期限付きの「試験上場」が始まった2011年の2から今年6月末に66に増えたデータなどを示した。流通業者も同期間に83から102に増えたとし、15年のピーク時(128)に及ばないものの、「当初より安定した水準を維持している」とした。本上場が認められれば、さらに参加者増加が見込めると訴えた(引用元)」としていますが、農林水産省は、参加者の数が増えず認可の要件を満たしていないと判断しました。

経済界から国に対する批判も上がっていますが、いずれにせよ決定済みの事項であり、今後は同社は貴金属等を含む総合取引所として存続を図ることになります。

商品先物取引は、昔日の消費者被害とそれにもとづく不招請勧誘規制で、個人投資家の投機的な資金はほぼ入らなくなっており、取引高の減少で業界自体が存続の危機にある言われます。総合取引所構想で金融市場との融合が進んでいますが、原油や貴金属のように国際的なコモディティ・マーケットに繋がっていないコメ先物は、いずれにせよ機関投資家の投資先の商品としては成立しないと考えられます。実需に基づくヘッジ需要だけでは限界があるのは明らかです。

銀行が輸出業者に為替ヘッジ商品を販売しているように、もし、JAバンクなどがコメの生産者、流通者に近い販売チャネルで、ヘッジ目的のコメ先物又はこれを組み入れた仕組債等を農家、流通業者に対して提供できていれば、結果はまた違ったのかもしれません。しかし、そもそも日本の農業は市場原理が働くような産業構造になっておらず、また、取引の危険性、複雑性や系統金融機関の販売リテラシーを考えれば、夢物語でしょう。

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