2021/05/28
金融庁は、令和3年5月28日付で「犯罪収益移転防止法におけるオンラインで完結可能な本人確認方法に関する金融機関向けQ&A」を公表しています。
従来、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認は、特定事業者である金融商品取引業者又は登録金融機関にとって、とりわけ非対面取引の場合、顧客の住所/所在地への転送不要書留郵便の送付を行わざるを得ず、ネット証券、FX業者及びその他FINTECH関連事業者にとっては、ユーザーの口座開設等のボトルネックになってきました。
こうした状況を受け、平成30年11月に、FinTechへの対応の観点から犯罪収益移転防止法施行規則が改正され、本人確認書類の画像・ICチップ情報等を用いた新たな方法(通称e-KYC)が整備されました。e-KYCは、緩やかにかつ確実に金融関係事業者に導入が広がりつつあり、遠からず本人確認の主流となる可能性が高いとみられます。
今回のQ&Aは、従来、特定事業者にとってはっきりとしていなかった制度利用の具体的なガイドラインを示すものであり、e-kyc利用拡大に向けて非常に有益な指針です。
なかでも、「特定事業者が提供するソフトウェア」には第三者が開発した既存のアプリが含まれるかという設問に、金融庁はQ&Aで、その余地を肯定しました。
Line/Skype/zoom等の既存アプリを利用したe-kycに関し、その余地が明示されたことは、中小規模事業者にとって、低コストのe-kyc導入への弾みになるものです。
その他の項目に関しても、本Q&Aは、取引時確認の実務上非常に興味深い内容です。金融商品取引業者・登録金融機関の取引時確認担当者は、必ずフォローしておきたい内容です。