2021/05/22
金融庁は、令和3年5月18日、最良執行のあり方等に関するタスクフォース報告書案を公表しました。
同報告書では、機関投資家と個人投資家の違いに着目して、「機関投資家にとって「最良の取引の条件」であるか否かは、価格のみならず、コスト、スピード、執行可能性等さまざまな要素を総合的に勘案して決定されるものであり、機関投資家に対する最良執行方針等について、制度導入当時の考え方を見直す必要性は、現状、必ずしも高くない」と、制度改正の必要なしと結論されています。
報告書案では「これに対して、個人投資家の場合、機関投資家と比較すると小口注文が多く、基本的には価格が最も重要な要素であると考えられる。また、近年、PTS のシェアの増加やSOR の普及等により複数の取引施設における価格を比較した注文執行が一定程度可能になっている。このため、個人投資家に対する最良執行方針等については、より価格を重視する方向に見直すことが考えられる」として、個人投資家向けの最良執行方針の制度見直しに言及しました。
具体的な対応策として、報告書案では以下の事項が言及されています。
・最良執行方針等の法定記載事項に、顧客が個人である場合については「主として価格面以外の顧客の利益を考慮する場合には、その旨及びその理由」を追加する。
・最良執行方針等の法定記載事項に、顧客が個人である場合については「ダークプールを使用する場合には、その旨及びその理由」を追加する。
・個人投資家に対する最良執行方針等についてより価格を重視する方向に見直すにあたっても、引き続き執行方法に関して顧客による選択の余地を認める。
・最良執行説明書の法定記載事項に「SOR を使用した場合は価格改善状況」を追加する。
・SOR に付随する利益相反構造については、最良執行方針等及び最良執行説明書の記載を通じてSORを透明化する。
・最良執行方針等の法定記載事項に「レイテンシー・アービトラージへの対応方針・対応策の概要」を追加する。