行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

「重要情報シート」の記載手引きの公表

2021/05/14

金融庁は、令和3年5月13日に「重要情報シート」を作成・活用する際の手引きについてを公表しています。

「重要情報シート」は、金融審議会 市場ワーキング・グループの報告書「顧客本位の業務運営の進展に向けて」(令和2年8月5日公表)において「顧客にとって分かりやすく、各業法の枠を超えて多様な商品を比較することが容易となるように配意した「重要情報シート」が積極的に用いられることが望ましい」と打ち出された新しい書面です。

同報告書では「「重要情報シート」には、顧客が金融事業者の取扱商品のラインナップや金融商品・サービスに関する重要な情報を一目で把握して、適切な選択・判断をすることが容易になるよう、金融事業者に関する情報と金融商品・サービスに関する情報を簡潔に記載することが重要である。また、「重要情報シート」には、販売員との対話を促進し、顧客の理解をサポートする観点から、提供すべき情報に応じた質問例も記載することが適当と考えられる。さらに、各金融事業者においては、簡潔性や比較可能性という「重要情報シート」の趣旨に留意し、また、必要に応じて他の資料を適宜組み合わせるなどして、金融商品・サービスの特性等に応じて、顧客に分かりやすい情報提供のあり方を常に検討していくことが望まれる」とされています。

これを受けて打ち出された今回の手引きは、シートを作成・活用する際に参考となると思われる目線や今後考えられるベスト・プラクティスの例を挙げたものです。

すでに、令和3年2月15日付の金融商品取引業等に関する内閣府令の改正により「重要情報シート」等で簡潔な重要情報提供等を行い、かつ、契約締結前交付書面に記載すべき事項を顧客属性に応じて説明した場合、以下のような書面交付義務の免除が定められています。

①目論見書の電子提供を可能とする
②契約締結前交付書面の交付免除を可能とする(ただし、契約締結前交付書面に記載すべき事項を電子的に顧客の閲覧に供する必要がある。)

FITECH・ネット証券等関連事業者との関係で気になる項目は「インターネット販売の場合は、直接顧客に質問例の回答が出来ない場合も考えられる。その場合も質問例自体は「重要情報シート」へ記載した上で、質問例とその回答を別紙としてまとめて記載することが考えられる。また、質問例以外の質問への対応についてはあらかじめ備え置いた Q&A サイトへの誘導等で対応することも考えられる。」

「なお、今後考えられるベスト・プラクティスの一例としては、予め用意した回答をポップアップやリンクを貼るなどして顧客のスクリーン上に表示する(顧客の入力内容に応じた回答を用意したり、コールセンター等を設置して顧客の問合せに対応出来る環境を整備するなど、可能な限り当該事情を踏まえた回答ができるよう創意工夫することが期待される)といった対応も考えられる。」とされていることです。

顧客本位の業務運営に関する原則の採択は、今後の金融商品取引業者にとってマストに近い事項になっていくものと考えられています。そのため、オンライン取引業態は、従来以上に顧客の取引理解に役立つコンテンツを充実させることが求められるものと考えられます。

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