行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

金融商品取引業基礎試験の開始

2021/04/23

日本証券業協会は、新たな能力検定試験である金融商品取引業基礎試験の開始を公表しました。

日本証券業協会は、「金融商品取引業基礎試験は、従来から一般に開放している一種外務員資格試験及び二種外務員資格試験に加え、こうした新たな業務や、金融商品取引業をめぐる各種コンテンツ制作など間接的に金融商品取引業に携わる皆様、金融業界に関心がある皆様や就職を目指す学生の皆様などに、第一種金融商品取引業に関する基礎的な知識を習得していただくことを目的とした試験です」としています。

試験の性格

従来の証券外務員資格や内部管理責任者資格のように、何らかの業務を行う際に、その取得が義務付けられるような資格ではないようです。証券市場の基礎知識、 金融商品取引法及び関係法令、 金融商品の勧誘・販売に関係する法律・ 経済・金融・財政の常識、セールス業務等に関してが出題科目とのこと。

リリースだけでは、何が目的の制度なのかがわかりにくいですが、日本証券業協会の外務員等資格試験制度に関するワーキング・グループ(第 37 回)の議事要旨を見ると、この制度の狙いは、金融商品取引業者と取引をするウェブコンテンツ制作会社、アルゴリズム制作会社等のIT会社にも一定程度の金融商品取引業に関する知識を担保させることが狙いであるとわかります。

金融商品取引業基礎試験(以下、「新試験」という。)の受験者は、金融商品取引業者から委託を受けたウェブコンテンツ制作会社、アルゴリズム制作会社等が想定されているが、当該委託業者に対して試験合格を義務付けることは想定しているか。

⇒ 本協会の協会員である金商業者等とは異なり、委託業者への受験又は合格の義務付けは難しいと思う。一方で、金融庁の「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」において、金商業者から委託を受ける業者は、新試験に合格する等により一定の金商業に係る知識及び経験を有することが望ましい、と記載いただけないか検討しており、こうした業者が金商業に係る一定の知識を有していることを、金商業者に対して示すことに使用していただければと思う。

外務員等資格試験制度に関するワーキング・グループ(第 37 回)

金融商品取引業の適切な遂行のためには、業務委託先であるIT会社にも基礎的な金融商品取引法に関する知識があったほうが望ましいのは間違いありません。また、一部の金融商品取引業者では、法令遵守意識が希薄な業者に業務委託をすることにより、投資者保護上の問題が過去に実際に発生しています。

とはいえ、これはある意味、金融商品取引業の外枠に対しても当局の監督範囲を広げていくような話でもあります。金融庁が実際に日本証券業協会の要望通りに監督指針の改正を行うか動向が注目されます。

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