行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

金融行政の英語化の進展

2021/01/16

令和3年1月12日付で、金融庁より「拠点開設サポートオフィス」の公表について及び「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等の公表についてが発表されています。

今回の発表では、金融庁は金融行政の英語化に向けて具体的に踏み込んできました。「拠点開設サポートオフィス」では、「新規に日本に参入する海外の資産運用会社等について、ワンストップで、登録の事前相談、登録手続及び登録後の監督を切れ目なく英語にて対応する」としています。

金融庁は、ビデオ会議等を活用し海外からの相談を含めオンラインでの事前相談等を行うことも可能とし、「拠点開設サポートオフィス」は、資産運用会社等以外にも、日本拠点開設を検討している海外金融事業者に対する一元的な相談窓口として、新規に日本に参入する海外の資産運用会社等以外の海外金融事業者による日本拠点開設についても、引き続き支援するとしています。

オンラインでの行政手続相談を当局が公式に受け付けることは、他の行政庁でもあまり聞いたことのないドラスティックな改革だと思います。

コロナ禍で外国人の入国が制限される現在ではありますが、現段階でも相当程度のニーズがあることは想定されますし、また、国際往来が本格的に復旧した場合には、我が国の国際競争力の向上に資する制度であることは明らかです。

また、併せて発表された内閣府令等の改正では、高度な専門性をもった海外の資産運用会社等の日本市場への参入を促進する観点から、新規に日本に参入する海外の資産運用会社等が提出する登録申請書等について、英語での提出を可能とするとしています。

内閣府令等の改正に対するパブリックコメントでは、「業務方法書は英語での提出が認められることになると解されるが、業務方法書と一体をなす別紙の社内規程も、英語による提出が可能との理解でよいか。」との問いにして、当局は「届出書等に添付される書類についても、英語での記載が可能です。」と回答しており、登録申請書を英語で提出することが認められるのみならず、社内規程も英語で登録を受けることが可能であることが示されました。

さらに、「金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「金商業等府令」)第 350 条第1項及び第2項の規定の適用を受ける者(英文での提出が認められる海外の資産運用会社等の者)については、登録の事前相談や登録手続に関するやり取りを英語で行う」ことや、「登録後の監督及び検査時のやり取りも英語で行うことも可能であり、監督上の一般的な照会や、例えば検査における質問票については、英語で対応すること」を想定しているとしています。

これに加え、今回のパブリックコメントで重要な点として、金融庁は、「今般の改正に伴い、登録審査の取扱いや基準が変更されるものではありません。登録審査に要する時間は、個別事例ごとに異なりますが、英語での登録手続が、日本語での登録手続に比べ必ずしも時間を要するものではないと考えております。」とパブリックコメントで回答しており、英語で登録手続きを行った際も、内国業者と比較した際に不利益のない制度設計にしようと考えていることが明らかになっています。

なお、パブリックコメントでは、「登録申請書及び変更登録申請書等を日本語で作成又は記載(以下「作成等」)した場合には、登録後も日本語で対応していただく必要があります。」としており、既存業者への行政手続きの全面的な英語化の許容ではないことに留意が必要です。

当事務所では、当事務所代表者の外資系金融商品取引業者での勤務経験を生かして、外国事業者に対する英語での手続き支援も行っております。既に、多数の海外資産運用会社を含む外資系金融事業者の国内参入を支援して成功させてきた実績がございます。ご検討の際は、是非お気軽にお問い合わせください。

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