2020/11/06
11月4日付の日本経済新聞は、金融庁が、株式売買の東京証券取引所への取引集中を緩和を目的として証券会社に私設取引システム(PTS)の利用を促すため、金融商品取引法に関する政令内閣府令を見直す意向であると報じています。
現在、我が国ではPTSの有価証券取引に占める比率は小さく、PTS側も証券会社側も、総じて事業者の参入意欲は低調です。
ところが、金融庁の検討しているとされる改正内容は、証券会社の最良執行方針において、東証よりもPTSが有利価格である場合に、顧客注文の執行にPTSを利用することを求める内容になるとのことです。
例外規定の内容や規模にもよりますが、これが実現すれば、今まで事実上東証に集中してきた有価証券取引が、一気に分散化することになります。これは、実務上きわめて大きなインパクトがあります。
将来において、PTSのプレゼンスが拡大をしていき、多数の業者により特徴的なサービスが提供されるようになれば、そのシステム的インパクトは、単なる東証のバックアップに留まりません。
取引の24時間化をはじめとするシームレス化、商品の多様化、果ては取引システムの自律分散化のように、未来的な新しい金融システムの創出につながるポテンシャルを有していると考えます。