適格機関投資家等特例業務届出者の処分

2020/10/10

昨日付で、関東財務局より某適格機関投資家等特例業務届出者に対して、(1)営業所等の変更届出書を提出せず、関東財務局が営業所等を確知できない状況(2)事業報告書を提出していない状況を理由として、行政処分が行われています。具体的な行政処分は、以下の通りです。

(1)業務廃止命令
適格機関投資家等特例業務を廃止すること。
(2)業務改善命令
1) 主たる営業所等について、関東財務局へ連絡すること。
2) 適格機関投資家等特例業務に関して関与した全てのファンド(以下「ファンド」という。)について、ファンド持分を取得した全ての出資者に対し、行政処分の事実及び理由について速やかに説明を行うこと。
3) ファンド財産の運用・管理の状況を把握し、ファンド出資者に対し、当該状況その他必要な事項の説明を速やかに行うこと。
4) ファンド出資者の意向を踏まえ、ファンド財産の返還等に関する方針を速やかに策定し、実施すること。
5) 上記2)から4)までの対応、実施にあたっては、ファンドの出資者間の公平に配慮しつつ、ファンド財産の管理を徹底するなど出資者保護に万全の措置を講ずること。
6) 上記2)から5)までの対応・実施状況について、完了までの間(改善策が策定・実施され次第随時)書面により報告すること。

適格機関投資家等特例業務届出者は極めて多数に及びますので、行政処分にも特徴な傾向が見受けられます。

具体的には、昨年の9月以降は連絡が取れない業者以外への行政処分は行われていません。このことは、適格機関投資家等に該当しない一般投資家への勧誘を禁止した法令改正以降、少なくとも一般消費者を相手方とした悪質業者が激減し、現在ではほぼ存在しなくなったことを意味していると思われます。

また、過去の行政処分を見ると、行政処分を行う際には、複数の業者に対して同時に行われている傾向が見受けられます。

これは、適格機関投資家等特例業務届出者が、実質的に同一の事業体が複数の法人で適格機関投資家等特例業務の届出を行い、一体として事業を行っている例が多いことを示唆します。

そのこと自体は、各法人が自己募集・自己運用の原則に反せず、また特例業務対象投資家の人数制限の潜脱を目的とするものでなければ、単なるスキームの選択の問題なので、問題視すべきことではありませんが、業界構造として興味深いものがあります。

また、直近ではその傾向は弱まっているものの、事業報告書や各種届出書の未提出に関して、相互に関連がないと思われる事業者に一斉に行政処分が行われる例が、数年前まで多数見受けられます。このことは、財務局において、当該形式的な処分要件にあてはまる業者に対して、一斉に行政処分の手続きをしていたことを示唆します。

このように、行政処分をウオッチするうえでは、個社の状況だけなく、他業者や過去動向も踏まえた全体的な動向を俯瞰することで、現在の金融監督の情勢を把握することができます。

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