行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

顧客本位の業務運営に関する原則及び金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針改正案の公表

2020/09/30

9月25日付けで、金融庁から「顧客本位の業務運営に関する原則」(改訂案)、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」及び「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)の公表についてが発表されています。

今回の改正案においては、顧客本位の業務運営に関する原則に注記が追加されていますので、内容を把握する必要があります。また、監督指針案は、Ⅲ-2-3-1 が「適合性原則」から「適合性原則・誠実公正義務」と改題され、その内容に大きな追加がなされています。

誠実公正義務は、金融商品取引法第36条(顧客に対する誠実義務)に基づくものです。同条では「金融商品取引業者等並びにその役員及び使用人は、顧客に対して誠実かつ公正に、その業務を遂行しなければならない。」とされています。監督指針案では、以下の通り、誠実公正義務に関して説明をしています。

「金融商品取引業者は、適正な投資勧誘の履行を確保するために整備した態勢に基づいて、顧客に対する誠実公正義務を果たす必要がある。そのため、金融商品取引業者は、投資勧誘の前提として、提供する金融商品の内容を適切に把握するための態勢を確立する必要がある。また、顧客の属性等及び取引実態を的確に把握し得る顧客管理態勢を確立することが重要である。さらに、金融商品の内容が顧客の属性等に適合することの合理的な理由があるかどうかの検討・評価を行うことが必要である。その上で、顧客に対してこのような合理的な理由を欠く投資勧誘行為や、不適当又は不誠実な投資勧誘行為が行われないようにする必要がある。以上を踏まえ、例えば以下のような点に留意して検証することとする。なお、投資勧誘の方法としては、営業店に来訪した顧客への勧誘、電話による顧客への勧誘、インターネットを利用した勧誘等の様々な方法が考えられるところではあるが、それぞれの特性に応じた適切な勧誘の方法を検討する必要があることもあわせて留意する。」

また、Ⅲ-2-3-1には、新たな下位項目として、「①金融商品の内容の適切な把握」「③投資勧誘に際しての合理的な理由についての検討・評価」「④不適当又は不誠実な投資勧誘行為」「⑤内部管理部門による検証」が追加されています。

従来、具体的な定めのなかった誠実公正義務に関し、上記のガイドラインを示すことで、顧客本位の業務運営に関する原則に基づく金融商品取引業者の業務運営について、より詳細な基準及び着眼点を示したいという金融庁の狙いが見て取れます。

今回の改正案は金融商品取引業者にとって重要な内容ですので、把握しておく必要があります。

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