行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社

持株会加入資格の拡大等に係る内閣府令の改正

2020/09/25

令和2年9月18日付けにて、金融庁から「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令及び有価証券の取引等の規制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」に対するパブリックコメントの結果等について」が発表されています。

金融庁は、「持株会を通じた一定の要件を満たす株券の買付けについては、インサイダー取引規制の適用除外とされており、また、当該買付けに係る権利は、いわゆる集団投資スキーム持分の適用除外とされています。」「上記適用除外としての持株会加入資格は、株券の発行会社及びいわゆる形式基準(50%超の議決権の保有)による子会社等の役職員等とされているところ、企業のグループ経営の高度化等を踏まえ、この子会社等の範囲について、いわゆる実質支配力基準によるものに拡大します。」としています。

集団投資スキームに該当しない持株会の設立実務を巡っては、加入可能な者の範囲が狭いことが従前より問題になっていましたので、今回の範囲の拡大は、企業実務上歓迎すべきことであると考えます。

また、同パブリックコメントで、金融庁は、「「被支配会社等」とは、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第6条第3項において「会社法第2条第3号に規定する子会社に該当する会社をいう。」と規定しており、被支配会社等に含まれるのは、会社法第2条第3号に規定される子会社のうち、「会社」に該当するものに限定されます。そのため、組合やその他の法人は該当しません。」(No1)と回答しており、持株会の加入資格を満たすのは会社法上の子会社の役員又は従業員に限定され、「株券の発行者である会社」が実質的に支配していると考えられる労働組合、健康保険組合、医療法人、財団法人、社団法人等は含まれないことを明らかにしています。

本回答により、大企業の関連財団法人(〇〇育英財団や〇〇美術館等)や関連医療法人(〇〇記念病院等)等の役職員は持株会の加入の対象にならないことが、改めて明示された格好です。

こうした関連団体や、子会社に該当しない関連企業の役職員、あるいは発行会社の役職員OBをメンバーに含む持株会を、集団投資スキームに該当しない形で組成したいというニーズは、以前から根強く存在しますが、そうした拡大的な形での持株会の設立は引き続き金融商品取引業に該当する可能性があるとの整理が継続されます。

縁故的なエクイティファイナンス手法のうち、持株会と、ベンチャー企業における小口エンジェル投資家の名義をまとめるための投資事業組合は、必ずしも厳格な投資者保護の要請が強くないにも関わらず、金融商品取引法の施行に伴う集団投資スキーム規制の開始により、利便性が低下した二大類型のような気がします。とはいえ、これらを広い範囲で許してしまうと、規制の潜脱が行われる可能性が高いことから、現状の規制はやむを得ないのだと思います。

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