暗号資産交換業者の運営
平成30年1月26日に発生した、コインチェック事件以降、仮想通貨交換業者に対する監督体制は飛躍的に強化されました。従来は比較的緩やかに業界育成を重視していた当局も、同事件以降は利用者保護にすでに明確に舵を切っており、以前に増して適切な運営体制を確保することが重要になっています。
国会提出法案(第198回国会)「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」が公表されています。遠からず新ルールが導入されることになります。
現在の法令では、仮想通貨交換業者の主な義務としては、以下のようなものがありますが、この記載は現行法を前提としているため、これから新規で登録を行う場合には実質的には新規制の下で審査が行われることになります。最新の情報は随時こちらのホームページでもお知らせしていきます。
資金決済法関連
資金決済法及び仮想通貨交換業者に関する内閣府令では、仮想通貨交換業者に以下のような内容を義務付けています。
- システムの安全管理
- 委託業務の適正・確実な遂行を確保するための措置
- 利用者の保護等に関する措置
- 分別管理
- 財務諸表監査及び分別管理監査の実施
- 苦情処理措置及び紛争解決措置
- 帳簿書類の作成及び保存
- 報告書の提出
犯罪による収益の移転の防止に関する法律関連
仮想通貨交換業者は、犯罪による収益の移転の防止に関する法律の特定事業者に位置付けられており、特定取引を行う場合には、取引時確認等を行う義務があります。
- 取引時確認(本人確認)
- 確認記録・取引記録等の作成・保存
- 疑わしい取引の届出
- 社内管理体制の整備(教育、統括管理者選任、特定事業者作成書面の作成等)
求められる社内態勢
仮想通貨交換業者は、これらの義務を遂行できる社内規則や人的構成等の態勢を整備する必要があります。さらに、仮想通貨交換業者に求められる社内態勢のレベル感は、コインチェック事件以降、以前に増して高いものになっています。
金融庁のガイドライン上はコンプライアンス担当者に常勤までは求めていないものの、事実上、金融ビジネスに知識と経験を有する常勤の担当者でないと、諸々の義務を満たすだけの対応は難しい状況にあります。
また、法定の定期報告(事業報告書、業務報告書、利用者財産の管理に関する報告書、委託先に関する報告書)に加え、金融庁は登録業者に対して、折に触れて臨時の調査を実施しており、こうした臨時調査に対しても即座に回答ができるだけの態勢を日ごろから整備しておく必要があります。
また、システムの安全管理に関しても、委託先に丸投げということは許されず、社内に実効的な管理監督体制を構築する必要があるため、システムの管理に知識と経験を有する担当者を配置することが求められる現状にあります。
求められる社内態勢
仮想通貨交換業者の運営に求められる社内体制は、外部のシステム会社、法律事務所等に業務を丸投げしたり、または履歴書上は経験がありそうな役職員を名目だけ連れてきて、事実上の非常勤でたまに出社という程度のレベル感では、全く満たすことはできません。
十分な知識経験を有する常勤役職員を、役割ごとに配置して適切な社内体制を構築する必要がありますし、そうでなければ現在は仮想通貨交換業の登録自体が、実質的には極めて困難であると考えられます。
当事務所は、わずか16業者(平成30年1月時点)しかない仮想通貨交換業の登録申請を実際に代理人として通した経験を有することはもちろん、登録仮想通貨交換業者やみなし仮想通貨交換業者の日常の業務運営に関しても、複数の事業者からご依頼を受けて多数の取扱経験を有しております。
ご依頼の際の報酬額は料金表をご覧ください。仮想通貨交換業の業務運営支援は、ぜひともお気軽に当事務所にご相談いただければと思います。