2021/12/24
令和3年12月22日、金融庁は金融庁の1年(2020事務年度版)を公表しました。
「金融庁の1年」の中で注目されるのは、資料のなかで、金融商品取引業者の業態別に、業者数の推移が掲載されていることです。これにより、全体的な金融業界における規制動向やセクターの盛り上がりの状況を定量的に把握することができます。以下、順番に見ていきましょう。
第一種金融商品取引業者は、2014年を底として、業者数が緩やかに増加に転じています。金融商品取引法施行直後は、増えすぎたFX業者の淘汰等もあって、かなりの速度で業者数が減少しましたが、現在ではかなり安定した状況となったといえます。
FINTECH関連や外資系の参入需要もあり、しばらくは今の微増の趨勢が継続しそうな雰囲気です。
第二種金融商品取引業者は、こちらも横ばいもしくは微増の傾向です。金融庁は、数が多すぎる第二種金融商品取引業は規制監督を厳密化して業者数を絞る方針とも言われていましたが、ここまでのところ数字にははっきり表れていません。
もっとも、休眠状態もしくはほとんど業務を行っていない業者が多いのも第二種金融商品取引業者の特徴であり、いわゆるアクティブな第二種金融商品取引業者の業者数は、直感的には減少しているような印象もあります。
投資助言・代理業は、ほぼ横ばいです。廃業と参入のバランスが取れている印象であり、投資助言・代理業者の新陳代謝は常に行われています。近年の資産運用ビジネスの盛り上がりの影響は直接的には受けていないことも見て取れます。
これに対して、投資運用業者は目立って数が増えてきました。資産運用ビジネスの活性化や海外からの誘致が国策となっていますが、これがはっきりと目に見える数字となって表れています。平成25年のボトムに300社そこそこであった業者数は、2020年には400社を超えました。
適格機関投資家等特例業務の届出者も、着実に増加しています。平成20年代半ばの規制の強化により急激に減少した事業者数ですが、直近では3000社が見える水準まで回復してきました。
さらに、消費者トラブルが続発した以前と異なり、適格機関投資家等特例業務に関連した重大な詐欺的事案や目を引く行政処分もさほど生じていません。
以前と比べ健全な形で適格機関投資家等特例業務が利用されていることが伺えます。